【自動車保険】個人から法人、親から子へ。契約者変更におけるメリットとは?

【自動車保険】個人から法人、親から子へ。契約者変更におけるメリットとは?(イメージ)

親から子に車を譲渡したり、契約者が死亡したりした場合などに、自動車保険の契約者を変更することがあるでしょう。また、経営者の中には、個人から法人に契約者を変更することもあるかもしれません。

契約者変更には、保険料の負担軽減などのメリットがあります。例えば子どもの保険料を親が負担するケースや、事業主が営業用に使用している車の保険契約者名義を法人に変更し、保険料を法人の損金として計上するようなケースです。

ここでは、自動車保険の契約者を変更するための基礎知識と、変更することで期待できるメリットを紹介します。

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契約者と記名被保険者について

自動車保険(任意保険)の場合、保険会社と契約を結び保険料を払う契約者と、契約した車を主に使用する記名被保険者が異なることが珍しくありません。自動車保険において「契約者」と「記名被保険者」は、以下のように定められています。
契約者保険会社と契約を結び、保険料を支払う人。

記名被保険者賠償責任保険などの補償を受ける中心となる人。生命保険の「被保険者」のように補償の対象となる人。契約の車を主に使用する人。使用する正当な権利を有する人。
個人で自動車を所有している場合、契約者と記名被保険者が同一であることが多いです。とはいえ、例えば妻や子どものために自動車保険に加入し、自分が保険料を払っているといったケースでは、契約者と記名被保険者が異なる場合があります。

自動車保険における個人向け・法人向けの違い

一般的に自動車保険には、個人向けと法人向けの商品があります。契約者変更を考える前に、法人向けの自動車保険の特徴や、自動車保険における法人向けと個人向けの違いを知っておきましょう。

法人向けの自動車保険とは

法人向けの自動車保険とは、法人が業務上使用する車の事故のリスクに備える目的で加入する保険のことです。契約者・被保険者・車両所有者が全て法人名義となっていることが、法人向け自動車保険の契約条件となっています。車両所有者がローン会社やリーズ会社となっている場合も、使用者が法人名義になっていれば契約可能です。

なお、一般的に法人向けの自動車保険料は、必要経費として損金への算入が認められるケースが多くなっています。

個人契約と法人契約の違い

法人向けの自動車保険と個人向けの自動車保険は、以下の3点で大きな違いがあります。

・ 保険料
・ 特約の補償内容
・ 加入対象となる自動車の種類

法人所有の自動車は多くの従業員が運転する可能性があることや、走行距離が長くなりやすいことなどから、個人向けの自動車保険と比べてリスクが高い分、保険料も高めに設定されていることが多いようです。

また、個人向け自動車保険では加入できないような特約を付加できるのも法人向け自動車保険の特徴です。例えば「積載貨物賠償特約」のような、事故により運送中の荷物を破損してしまった場合の補償に加入することもできます。

さらに、個人向け自動車保険に加入できるのは基本的に「自家用8車種」のみですが、法人向け自動車保険ではそれ以外のタクシーやトラックなど「業務専用車」も加入対象となっています。

フリート契約とは

フリート契約」とは、自ら所有もしくは使用している車が10台以上ある場合の契約のことです。これに対して9台以下の場合は「ノンフリート契約」と呼ばれます。ノンフリート契約と比べて、より大きな割引を受けられる可能性もあるのがフリート契約のメリットです。

これら2つの契約には、以下のような違いがあります。

フリート契約

ノンフリート契約

割増引率の適用単位

契約者単位

自動車1台単位

割増引率の決定方法

契約台数・保険料・支払われた保険金・前年度のフリート割引率など基に決定

前契約の契約期間・ノンフリート等級別料率・事故件数および事故内容などを基に決定

保険証券

1枚

台数分

ノンフリート契約とフリート契約では、保険料の決定方法に大きな違いがあることを覚えておきましょう。フリート契約では契約している台数と損害率(契約者が支払った保険料に対する、保険会社が支払った保険金の割合のこと)によって保険料が決まります。一方、ノンフリート契約では、自動車1台単位の等級に基づいて保険料が決定されます。

つまり、フリート契約では契約者単位で割引率が決定されるため、例えば10台のうち1台が事故を起こして補償を受けていたとしても、契約全体としては割引を受けられる可能性があるのです。ただし、損害額が大きい場合は、全ての自動車に高い保険料が適用されてしまうリスクがある点には注意してください。

また、ノンフリート契約では自動車1台ごとに契約をするため、多くの場合、保険の開始日・満期日にはばらつきが出ます。一方、フリート契約では、全ての自動車に同じ保険開始日・満期日が適用されます。保険証券が一枚で済むため、多くの車両を所有している場合は管理が楽に感じられるでしょう。

ノンフリート契約の等級制度について、詳しくはこちらにまとめています。

【ケース別】契約者変更におけるメリット

 契約者変更として考えられるのは、一般的に下記のような組み合わせでしょう。

 (1)個人から個人へ(親→子、妻→夫など)
 (2)個人から法人へ
 (3)法人から個人へ

(1)個人から個人に契約者を変更する場合

親から子へ記名被保険者を変更する際は、等級の高い親から自動車保険料が割高になりやすい若い子どもに等級を引き継ぐことで、世帯全体の保険料負担を引き下げることができます。

これに対し契約者変更は、あくまで保険料を支払う人が変わるだけであるため、等級を引き継ぐ場合のような経済的なメリットはありません。しかし、親が独立した子どもを経済支援してあげたいなどの理由で、子どもの保険料を負担する場合などは、変更する意味があるでしょう。

また、夫婦が離婚する際は、自家用車も財産分与の対象となります。夫と妻の間でマイカーを分与するのであれば、自動車保険の契約者または被保険者も実情に合わせて変更しておくことで、後々の保険料負担を巡るトラブル回避に役立ちます。

等級の引き継ぎ方と注意点について、詳しくはこちらにまとめています

(2)個人から法人に契約者を変更する場合

現在加入している保険の契約者を個人から法人へ変更する場合、新規に設立された法人であること」が条件(各保険会社への問い合わせ・確認は必要)となります。例えば「個人事業主だったが法人を設立したので、事業用に使用していた車を法人名義にしたい」というケースが相当します。

この場合、記名被保険者の変更がないもの(代表者が記名被保険者を続ける)とすると、原則的には保険会社や保険契約そのものを、個人から法人へ引き継ぐことが可能です。もちろん、個人から法人へ等級を引き継ぐことも可能です。

先述したように、自動車保険は個人向けと法人向けの補償内容に大きな違いがあるため、補償を手厚くしたい場合は、個人から法人向けの自動車保険に変更して加入するメリットがあるでしょう。

また、冒頭でご紹介したように、法人契約の自動車保険料は損金処理できることから、事業主の個人負担を減らせるほか、法人の節税にもつながります。

(3)法人から個人に契約者を変更する場合

法人から個人への契約者変更も可能ですが、ルールが厳格で法人を解散すること」「法人解散後に事業を継続すること」「ノンフリート契約」が条件(上記(2)同様各社への確認が必要)となります。

したがって、法人を解散した事業主が、個人事業主として事業を継続する場合に等級を引き継ぐことができますが、個人で事業を継続しないのであれば、新規に加入しなければなりません。

自動車保険の法人契約と個人契約の違いを理解するのが大切

自動車保険の契約形態には、個人契約と法人契約の2通りがあります。まずはそれぞれの特徴・違いを理解してから契約者を変更すべきか検討しましょう。契約者を変更することで補償内容を充実させたり、保険料の負担を減らせたりするかもしれません。所有台数の多い法人は、より高い割引率に期待できるフリート契約を検討するのも一つの手です。


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この記事の監修者:酒井 富士子

  • 監修者:酒井富士子

    監修者:酒井富士子

経済ジャーナリスト/金融メディア専門の編集プロダクション・株式会社回遊舎 代表取締役。日経ホーム出版社(現日経BP社)にて「日経ウーマン」「日経マネー」副編集長を歴任。リクルートの「赤すぐ」副編集長を経て、2003年から現職。「お金のことを誰よりもわかりやすく発信」をモットーに、暮らしに役立つ最新情報を解説する。

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