休業損害証明書とは?書き方と作成時の注意点も解説

休業損害証明書とは?書き方と作成時の注意点も解説

 休業損害証明書は、交通事故で働けなくなってしまったときの収入を維持するために必要な書類です。交通事故の損害賠償や保険請求をする際に必要になりますから、どのようなことが書かれているのか知っておきましょう。

 本記事では、休業損害証明書の書き方や、作成時の注意点を解説します。

 なお、休業損害証明書を作成するのは、仕事を休んだ本人ではありません。書類は保険会社が用意し、記入するのは勤務先の給与計算担当者などです。とはいえ、内容に誤りがないかどうかは確認する必要があります。

mokuji目次

  1. 休業損害証明書は、休業による損害を証明する書類
  2. 休業損害証明書の記載項目
    1. 本人の情報
    2. 休業期間
    3. 欠勤、有休、遅刻、早退の日数
    4. 日ごとの休業状況
    5. 休業期間の給与
    6. 事故前3ヵ月の月例給与
    7. 社会保険からの休業補償給付、傷病手当金の有無
    8. 記入日
    9. 会社情報
    10. 休業損害証明書の提出先
  3. 休業損害証明書を作成する際の注意点
    1. 勤務先が書いてくれない場合は保険会社に相談
    2. 休業損害証明書以外にも必要書類がある
  4. いざというときに備え、休業損害証明書について覚えておこう

休業損害証明書は、休業による損害を証明する書類

 休業損害証明書は、交通事故によるケガなどが原因で休業することになった際に生じる損害を証明する書類です。

 自動車保険の「人身傷害保険」に加入している人は、交通事故で自分や同乗者がケガをしてしまい働けなくなった場合に、休業損害補償を受けることが可能です。

 また、加害者がいる場合は、加害者の加入している自賠責保険や自動車保険などから保険金が支払われます。この場合、人身傷害保険から支払われる保険金は、加害者からの賠償金を控除した額となります。

 ただし、休業損害補償を受けるためには、交通事故によってどの程度の損害を受けたのかを証明しなければなりません。そのために保険会社に提出する書類が、休業損害証明書です。

 なお、休業損害補償は、会社員やパート、アルバイトの人が仕事を休んだときだけでなく、個人事業主や家事従事者などが働けなくなった場合も対象となります。現在働いていなかったとしても、就職が決まっていたが入社予定日が事故によって遅れたといった場合は、対象になる可能性があります。
 休業損害証明書は、これまでの給与額などを勤務先が証明する書類ですから、対象者は会社員やパート、アルバイトなど、企業に雇用されて働いている人のみです。

 本記事では、主に会社員が休業損害証明書を取得する場合について解説しています。それ以外のケースについては簡単な説明にとどめているため、詳細は休業損害補償を受ける保険会社に問い合わせてみてください。

休業損害証明書の記載項目

休業損害証明書の記載項目

 休業損害証明書を記入するのは勤務先の担当者です。しかし、休業損害証明書は滅多に取り扱うことのない書類ですから、給与担当者や事務担当者も慣れていない可能性があります。書類の記入内容に間違いがないか確認するためにも、書き方を知っておくことが大切です。

 休業損害証明書の主な記載項目は、下記のとおりです。ただし、具体的なフォーマットは保険会社ごとに異なる可能性があります。書き方に不明点がある場合は、保険会社に確認してください。

本人の情報

 本人の情報は、休業する人に関する情報です。役職や職種、氏名、採用日などを記載します。

休業期間

 休業期間は、自動車事故によって休業する期間です。「◯◯年◯月◯日から◯◯年◯月◯日までの期間、仕事を休んだ」などと記載します。

欠勤、有休、遅刻、早退の日数

 自動車事故によって休業した期間のうち、欠勤有給遅刻早退した日があった場合、うち何日あるいは何回だったのかを記載します。

 同日に遅刻と早退を行うなど、同日に複数の短縮勤務をした場合は、回数を分けて記載してください。

日ごとの休業状況

 日ごとの休業状況は、カレンダー形式の一覧表にマークを書き入れる形で記載します。欠勤や有給のほか、半日欠勤、半日有給、遅刻・早退、傷病・忌引休暇、所定休日と細かく記載する必要があります。

 間違いがないかチェックするためにも、交通事故で仕事に支障をきたした際は、休んだ日や遅刻して通院した日などを細かくメモしておきましょう。

休業期間の給与

 休業期間の給与は、「全額支給」「全額支給なし」「一部支給または減給」のうち、どのように処理されたのかを記載します。一部支給や減給の場合は、計算式と金額も明記します。

事故前3ヵ月の月例給与

 事故前3ヵ月の月例給与は、事故に遭って仕事を休む前3ヵ月の給与などについて記載します。記載項目は下記のとおりです。
<事故前3ヵ月の月例給与の記載項目>
・各月の稼働日数
・支給金額(本給および付加給。本給とは月による変動のない給与、付加給とは残業代のように月によって変動する給与)
・社会保険料
・所得税
・差引支給額
・給与の締め日
・所定労働時間
・給与計算方法(月給・日給・時給のいずれかとその額)
・1日の実働時間

社会保険からの休業補償給付、傷病手当金の有無

 労災や健康保険組合などから、休業補償給付傷病手当金などを受け取っているか否かを記載します。受け取っている場合は名称と電話番号も記入します。

記入日

 記入日は、各記載項目を記載した日にちです。

会社情報

 会社情報は、勤務先の所在地、電話番号、代表者氏名、担当者氏名、担当者連絡先を記載し、社印を押印します。

 担当者氏名と担当者連絡先とは、休業損害証明書に記入した給与計算担当者などのことです。記入内容などに疑問点がある場合、電話で問い合わせがくる可能性があるため、書類の記入内容について説明できる人の連絡先を記入してください。

休業損害証明書の提出先

 休業損害証明書は、休業損害の補償を受ける保険会社宛に提出します。具体的には、下記の3種類のいずれか、または複数です。
<休業損害証明書の提出先>
・加害者の加入している自動車保険の保険会社
・加害者の自賠責保険の保険会社
・被害者の加入している自動車保険の保険会社
 加害者が自動車保険に加入している場合は、任意保険の保険会社宛に提出します。加入していない場合は、加害者の自賠責保険の保険会社に送ることになります。

 また、加害者の自動車保険加入状況や加害者からの賠償の有無にかかわらず、被害者が自動車保険の人身傷害保険に加入していれば、該当の保険契約が定める補償を受けられます。その際の損害額の算定にも、休業損害証明書は必要です。

休業損害証明書を作成する際の注意点

休業損害証明書を作成する際の注意点

 休業損害証明書を作成する際の注意点を、2点紹介します。スムーズな手続きのために、何をすればいいのかを覚えておくことをおすすめします。

勤務先が書いてくれない場合は保険会社に相談

 勤務先が休業損害証明書を書いてくれない場合は、必要性やどこに何を書くのかを説明してみましょう。それでも対応してもらえない場合は、給与明細やタイムカードなど休業損害証明書の記載に必要な情報をそろえて、保険会社に相談してください。

 また、自分で対応するのが難しい場合、弁護士に相談する方法もあります。

休業損害証明書以外にも必要書類がある

 休業損害証明書の作成時には、ほかの書類も必要となることがあります。会社員であれば、前年の源泉徴収票を提出しなければならない場合があるため、適宜対応してください。

 なお、自営業者や専業主婦などの家事従事者は、休業損害証明書は不要です。休業損害補償を受ける場合、自営業者は確定申告書の控え、家事従事者は住民票を提出します。保険会社の案内に従って対応してください。

いざというときに備え、休業損害証明書について覚えておこう

休業損害証明書は、交通事故のケガなどによる休業で生じる損害を証明する書類で、休業損害補償を受ける際に必要となる書類です。

基本的に、休業損害証明書は勤務先の担当者が必要事項を記載しますが、手続きをスムーズに進めるために、記載事項や記載方法については覚えておくことをおすすめします。
 交通事故による休業損害は、加害者にとっても被害者にとっても大きな負担となります。そうした場合に備え、自動車保険に加入して、いざというときの負担を抑えられるようにしておきましょう。

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