【比較表あり】ドライバー保険とは? 1日自動車保険との違いやデメリットも
ドライバー保険を詳しく解説
ドライバー保険はドライバーに紐づく保険
ドライバー保険は、正確には「自動車運転者損害賠償責任保険」といいます。基本となる補償は、「対人賠償」と「対物賠償」の2つです。これはどちらも、事故時の相手方に対する補償です。これだけでは自分自身や同乗者のケガ、後遺障害などは補償されませんので、「人身傷害保険」を特約で付けた方がよいでしょう(最初からセットになっている保険会社もあります)。
ドライバー保険にはいくつか注意すべき点があります。まず、運転していた車の破損を補償する「車両保険」は付帯できません。また、本人や配偶者、同居の親族が所有する車など、保険の対象にならない車があります。
契約期間は、自動車保険と同じように、基本的に1年です。無事故であれば、契約更新時に等級が上がり割引率が高くなるのも、自動車保険と同じです。ただし、年齢区分は「21歳以上(保険料が安い)」と「21歳未満(保険料が高い)」の2つだけと、シンプルになっています。
自分では車を所有していないけれど、たまに車を借りて運転する人に向いているドライバー保険。契約を検討する際、「1日自動車保険」とどちらがよいのか比較されることが多いです。この2つを比べながら、ドライバー保険について解説していきましょう。
ドライバー保険 | 1日自動車保険 | |
契約期間 | 原則として1年契約 | 1日ごと |
保険契約の対象 | 借用自動車 | 特定の借用車両 |
保険料 | 等級制度あり。無事故なら翌年度の契約から割引率が高くなる(通常の自動車保険との引き継ぎはできない) | 等級制度なし |
年齢条件「21歳以上」と「21歳未満」で保険料が異なる | 年齢は関係なく保険料は一律 | |
対象車種 | ・自家用乗用車(普通、小型、軽四輪) | ・自家用乗用車(普通、小型、軽四輪) |
補償内容 | 対人賠償責任保険、対物賠償責任保険 | 対人賠償責任保険、対物賠償責任保険 |
特約 | 人身傷害保険特約、搭乗者傷害保険特約、自損事故傷害保険特約、ロードアシスタント特約など | 人身傷害保険特約、搭乗者傷害保険特約、自損事故傷害保険特約、ロードアシスタント特約など |
車両保険 | 付帯できない | 付帯できる |
注意点 | ・車両保険を付けられない | ・一般的な乗用車以外は対象外 |
加入をおすすめする人 | ・車を借りて乗る機会が頻繁にある人 | ・車を借りて乗る機会がたまにしかない人 |
ドライバー保険と1日自動車保険の違い
まず大きな違いとして挙げられるのは、契約期間です。ドライバー保険は原則として1年契約で、1年ごとに契約を更新します(1カ月契約できる保険会社もあります)。それに対して、1日自動車保険は、その名の通り、1日単位で加入するもので、最長7日まで可能です(12時間から契約できる保険会社もあります)。
したがって、1年に数回しか運転しない人なら、1日自動車保険の方が安くなります。頻繁に運転する人なら、ドライバー保険の方がお得です。補償内容や年齢などによって保険料が異なりますので、何回以上ならドライバー保険の方が安くなるかどうかは、一概にはいえません。
ドライバー保険は、ドライバーとして車を運転する「人」に紐づくものです。その人が借りた車を運転している時に起きた事故が補償されます。1日自動車保険は、通常の自動車保険と同じで、特定の車が対象となります。契約対象になっていない車での事故は補償されません。
ドライバー保険は、自動車保険と同じように等級制度があり、1年間、無事故なら等級が上がり、保険料が安くなります。逆に事故を起こして保険を使うと、等級が下がり、保険料が高くなります。また、自動車保険と同じように年齢区分で保険料が違います。ただし、年齢区分は「21歳未満」と「21歳以上」の2つだけです。1日自動車保険の保険料は、年齢に関係なく一律です。等級制度もありません。複数の友人で交代で運転するような場合、同時に契約すると割安になる保険会社もあります。
ドライバー保険の対象となる車種は幅広く、いわゆる自家用車はもちろんのこと、引っ越しの手伝いに使うような自家用普通貨物車や、キャンピングカー、オートバイも対象です。
1日自動車保険の対象車種は自家用乗用車のみで、一部の輸入車やスポーツカーは対象外の保険会社もあります。
ちなみに、ドライバー保険では、レンタカーやカーシェアリングの車も補償の対象となります。
ただ、そういった車には運営会社が保険を掛けているので、ドライバー保険を使用する機会はないかもしれません 。ただし、レンタカーやカーシェアリングの保険の補償を超えて自己負担が発生する可能性もゼロではありません。その場合は自分が契約しているドライバー保険を使用することも想定し、あらかじめレンタカーやカーシェアリングで掛けられている保険の内容を確認しておけば事故の際に慌てずにすむでしょう。
補償内容は必ず確認を
ドライバー保険の基本補償は「対人賠償責任保険」と「対物賠償責任保険」です。それ以外の補償は、保険会社によっては最初からセットになっているものもありますが、必要に応じて特約を付けることになります。ドライバー保険の場合、特約として付けられるのは「搭乗者傷害保険」「人身傷害保険」「対物超過修理費用特約」、ロードサービスなどになります。
補償内容に関して、ドライバー保険と1日自動車保険の大きな違いは、先述の通り車両補償を付けられるかどうかにあります。ドライバー保険には車両補償を付けることができません。もし事故を起こして借りている車を破損した場合、ドライバー保険では補償されません。1日自動車保険では車両補償を付けることができます。保険を検討する際は、この点によく注意してください。
それぞれの補償内容がどのようなものか、説明します。
運転中の事故で、相手にケガをさせたり死亡させたりして、損害賠償責任を負った時に保険金が支払われます。相手のドライバーがケガをして後遺障害が残った場合や、誤って歩行者をはねて死亡させた場合などが、これに当たります。
運転中の事故で、他の車や物を壊し、損害を与えた時に補償される保険です。衝突して相手の車を破損させた、ガードレールや信号にぶつかり破損させた、家屋の壁にぶつかり倒壊させた、といった場合が当てはまります。
運転中の事故で、ドライバー自身や同乗者がケガや後遺障害を負ったり、亡くなったりした場合、保険金が支払われます。治療費、慰謝料、休業によって得られなかった収入などが補償されます。特約で付けるものですが、最初からセットになっている保険会社もあります。
人身傷害保険と同じくドライバー自身や同乗者への補償ですが、支払われる保険金の決まり方が異なります。人身傷害保険は、損害額に応じて保険金の額が決まりますので、支払われるまで時間がかかることがあります。搭乗者傷害保険は、損害額とは関係なく、契約時に決めた保険金額が支払われます。損害額の算定を待たなくてよいので、速やかに支払われ、当座の生活費用の確保などに役立ちます。
電柱や壁などとの衝突や崖からの転落といった相手のいない事故(自損事故)で、ドライバーや同乗者がケガを負ったり死亡したりした場合に、保険金が支払われます。
車両保険とは、運転している車が事故で破損した時、その修理代などが支払われるものです。ドライバー保険では、車両保険を付けることができません。友人や別居の親族の車を借りて破損させた場合、修理費用をどうするかを事前に話し合っておいた方がいいでしょう。1日自動車保険だと、車両保険を付けることができます。ただし、保険会社によっては利用開始の7日前までに申し込みが必要といった制約があります。
ドライバー保険が適用されないケース
・配偶者が所有する車
・同居親族が所有する車
・本人が役員となっている法人の所有する車
また、ドライバー保険が適用されないケースに、業務での使用があります。会社の車を仕事のために運転していた時の事故は、保険の対象外です。
ドライバー保険のメリット・デメリット
ドライバー保険 4つのメリット
・借りた車で事故を起こしても補償される
・幅広い車種が対象なので、ショッピングや実家の親の手伝いといった日常的な利用だけでなく、引っ越し、キャンピングカーでの旅行、バイクでのツーリングなどにも使える
・等級制度があるので、無事故なら毎年保険料が安くなっていく
・事故を起こしても、車を貸してくれた人の自動車保険の等級を下げずに済む
ドライバー保険 3つのデメリット
・1年契約が基本なので、年に数回しか運転しない人には割高になる
・配偶者や同居の親族が所有する車は保険の対象外。本人所有の車も対象外
・車両保険を付けることができないので、車を破損した場合の補償がない
ドライバー保険はこんな人におすすめ
・手伝いや介護などで親の車を運転する人(同居の親の車は対象外)
・友人と車で旅行する時、交代で運転する人
・引っ越しの手伝いに何かと呼び出される人
・キャンピングカーやオートバイを貸してくれる友人がいる人
この記事の監修者:酒井富士子
日経ホーム出版社(現日経BP社)にて「日経ウーマン」「日経マネー」副編集長を歴任。リクルートの「赤すぐ」副編集長を経て、2003年から現職。「お金のことを誰よりもわかりやすく発信」をモットーに、暮らしに役立つ最新情報を解説する。