自動車保険の年齢条件とは?保険料を抑えるために知っておきたいこと

自動車保険の年齢条件とは

自動車保険を契約する際は、必ず年齢条件を設定しなければなりません。年齢条件は補償する運転者の年齢を限定することで、保険料の割引が受けられるというものです。一般的に自動車保険は、契約者の年齢が上がるごとに割引率が大きくなるため、年齢条件を上げると保険料を節約できる可能性があるでしょう。

今回は、自動車保険の年齢条件の仕組みや適用される範囲、保険料を節約するために知っておきたいことなどを解説します。

自動車保険の年齢条件は保険料の割引制度

自動車保険を契約する際、運転者の年齢を限定することで、保険料が割引されますこれを年齢条件といい、一般的に保険料は年齢が上がるほど安くなるため、「全年齢対象」にすれば保険料は高くなるでしょう。

自動車保険に、年齢条件が設定されている理由は、交通事故のリスクが関係しています。警視庁が2023年3月に発表した「令和4年中の交通事故の発生状況」によると、原付バイク以上の免許取得者10万人あたりの交通事故件数は、16〜19歳が1,039.2件と突出しており、20〜24歳は597.2件、25〜29歳は414.8件でした。70歳以降は件数が増えるものの、30〜69歳は年齢区分でも300件前後となっています。

一般的に若年者は運転経験が浅く事故のリスクが高いとされており、ある程度の年齢からは運転経験が増えて、事故のリスクは低くなるとされています。こうした違いを保険料に反映するために、運転者の年齢条件が設定されているのです。
■免許保有者10万人あたりの事故件数

免許保有者10万人あたりの事故件数グラフ

※警視庁「令和4年中の交通事故の発生状況」

年齢条件の区分

自動車保険の年齢条件は運転者の年齢記名被保険者の年齢の2種類に分けられます。それぞれについてご説明しましょう。

運転者の年齢

運転者の年齢条件とは、事故を起こした運転者の年齢によって補償を限定するものです。例えば、「全年齢補償」であれば、運転者の年齢がいくつであっても事故の補償がされますが、「30歳以上補償」の場合は、30歳未満の運転者が起こした事故では保険金が支払われません。

運転者の年齢条件は下記のように区分され、保険会社によっては「30歳以上補償」「35歳以上補償」を設けている場合もあります。前述のように事故のリスクの関係から、年齢条件を広くするほど保険料は高くなります。
■運転者の年齢条件と補償範囲

年齢条件

補償範囲

全年齢補償

運転者の年齢に関係なく補償する

21歳以上補償

21歳以上の人が運転する事故を補償する

26歳以上補償

26歳以上の人が運転する事故を補償する

記名被保険者の年齢

運転者の年齢条件の区分のうち、「26歳以上補償」は、記名被保険者の年齢によってさらに区分されます。
■記名被保険者の年齢に応じた区分

記名被保険者の年齢に応じた区分表

前述したように20代以下は事故のリスクが高く、30〜60代は低めですが、70代以上の事故リスクは増加します。年齢条件を運転者の年齢記名被保険者の年齢の2つに分けているのは、こういった年令による事故のリスクを保険料に反映するためです。

そのため、運転者の年齢区分を「26歳以上補償」にしていても、記名被保険者の年齢によって保険料には違いがあり、30〜50代は低めですが、60代、70代と保険料が高くなっていく傾向があります

年齢条件で保険料を節約するには?

年齢条件で保険料を節約するには?

自動車保険の年齢条件の設定によって、保険料を節約できる可能性があります。十分な補償を受けつつ保険料を抑えるため、下記を確認した上で検討してください。

年齢条件を正しく設定する

家族で車を共有している場合は、誰に年齢条件を合わせるべきか迷う場合もあるでしょう。年齢条件は、契約車を運転する人のうち、最も年齢の若い人に合わせて設定するようにしてください。

さらに、知っておきたいのは年齢条件が適用される対象です。自動車保険の年齢条件の適用対象は、下記のとおりです。
<年齢条件の適用対象>
(1)記名被保険者
(2)記名被保険者の配偶者
(3)(1)または(2)と同居の子・親族
(4)(1)〜(3)のいずれかの業務に従事する使用人(家事を除く)
「21歳以上補償」や「26歳以上補償」といった年齢条件は上記にのみ適用され、記名被保険者の別居の子供や、別居している親族、友人には年齢条件は適用されません。

言い換えれば、記名被保険者の別居の子供や、別居している親族、友人などが契約車で事故を起こしたとしても、年齢条件に関係なく補償されるということです。「普段契約車を使うのは夫婦のみだが、別居の子供が帰省したときに車を使うことがある」などという場合なら、夫婦の年齢の若いほうに年齢条件を合わせれば良く、子供の年齢に合わせる必要はありません。

運転者限定特約を利用する

自動車保険 年齢条件

年齢条件は契約車を運転する人のうち、最も年齢の若い人に合わせて設定すると説明しましたが、保険料を節約したい場合は、「運転者限定特約」についても知っておいてください。これは、運転する人を限定することで保険料の割引を受けられる特約で、補償の対象を限定するほど保険料は安くなります

保険会社によって多少違いがありますが、運転者限定特約の適用範囲は、主に下記のよう区分されます。
■運転者限定特約の適用範囲の区分

運転者の区分

契約車を運転する人

運転者本人限定

・記名被保険者

運転者本人・配偶者限定

・記名被保険者
・記名被保険者の配偶者

運転者家族限定

・記名被保険者
・記名被保険者の配偶者
・記名被保険者またはその配偶者の同居の子供・親族

限定なし

制限なし

運転者を「運転者本人限定」にした場合は、記名契約者の年齢で年齢条件を設定してください。「運転者本人・配偶者限定」「運転者家族限定」の場合は、運転する人のうち、最も年齢の若い人に合わせれば問題ありません。

ただし、運転者を限定すると、範囲外の人が事故を起こしたときは補償の範囲外となるため、慎重に検討してください。心配な場合は、割引は受けられませんが、運転者限定特約を利用しなくてもいいでしょう。

運転者限定特約について、詳しくはこちらにまとめています
自動車保険会社の割引サービス

等級を引き継ぐ

等級を引き継ぐことでも、保険料を節約できます等級とは、保険料の割引率を決めるための区分です。1等級から20等級まであり、自動車事故で保険を使えば1〜3等級ダウンすることがありますが、使わなければ毎年1等級ずつ上がっていきます。20等級の割引率は最大63%で、最低の1等級は反対に108%割り増しされます。

等級は年齢に関係なく、引き継ぐことが可能です。例えば、親が20等級で契約している車があり、同居している21歳の子が新しく車を購入した場合、親の等級を引き継ぐことで、年齢条件であまり割引が受けられない若年者でも、保険料を抑えられます。

同居の家族との別の自動車保険契約がある場合、複数台所有の新規契約は、7等級からスタートすることになります。子に等級を引き継がせた場合、親は新規に自動車保険を契約しなければなりません。7等級になってしまいますが、年齢条件で割引を受けられるため、子が新たに契約するより保険料は安くなるでしょう。

等級の引き継ぎ方と注意点について、詳しくはこちらにまとめています

保険会社ごとの特約や割引を確認する

保険会社は、各社さまざまな割引サービスを用意しています。「ドライブレコーダー割引」「ゴールド免許割引」「ネット契約割引」など、その内容は保険会社によってさまざまです。

これらの特約や割引を年齢条件と組み合わせることで、保険料の節約に役立ちます。保険会社を比較検討するときは、どのような特約や割引があるのかも確認してみましょう。

自動車保険の代表的な特約について、詳しくはこちらにまとめています

年齢条件は、いつ変更する?

年齢条件は、いつ変更する?

家族で車を共有している場合、「子が就職して家を出た」といった車を共有している人が増減したとき、「子が26歳になった」といった年齢が変わったときなどは、年齢条件を見直すタイミングです。年齢条件はいつでも変更でき、保険会社に連絡して事情を伝えれば、すぐに手続きが可能です。手続き自体は難しくなく、変更によって保険料が返還される可能性もあります。

一方で、「18歳の子が免許を取得して車を共有する」などといったときは、年齢条件を広げる必要があり、変更によって追加で保険料を支払う場合もあります。どちらにせよ、放っておくと間違った保険料を払い続けたり、万が一の際に補償が受けられなくなったりすることがありますから、注意してください。

年齢条件の変更がいつ反映されるかは保険会社によって異なり、通知した当日に反映されることもあれば、その翌日からというケースもあります。

年齢条件を適切に設定して保険料を抑えよう

自動車保険の年齢条件をうまく設定することで、保険料を節約することが可能です。ただし、補償範囲を限定したせいで必要なときに保険金が受け取れないということがないよう、慎重に検討してください。特約や割引も組み合わせて、無理なく自動車保険を利用しましょう。

自動車保険は保険会社で補償の内容や保険金が異なりますから、特徴をよく理解して比較検討することが重要です。オリコンでは、日本最大級の規模で調査を行い、毎年自動車保険満足度ランキングを発表しています。
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