搭乗者傷害保険とは?人身傷害保険との違い、必要性をわかりやすく解説
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今回は、搭乗者傷害保険の補償内容や人身傷害保険との違いについてわかりやすく解説します。搭乗者傷害保険の保険金が支払われないケースにもふれていますので、ぜひ参考にしてください。
監修者ファイナンシャルプランナー 金子賢司
東証一部上場企業で10年間勤務後、業務中の交通事故を機に福利厚生や社会保障に関心を持ち、学びを深める。
現在はファイナンシャルプランナーとして、個人・法人の相談対応やテレビ番組のコメンテーター、セミナー講師(年約100件)として活動。健康とお金を軸に豊かなライフスタイルを発信している。
目次
搭乗者全員が対象となる搭乗者傷害保険
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自動車保険には対人賠償や対物賠償といった補償がありますが、これらはいずれも交通事故の相手方(被害者側)に対する補償です。
また、被保険者である運転者や同乗者に対しても人身傷害という補償があります。この人身傷害に上乗せして補償できるのが搭乗者傷害保険です。
搭乗者傷害保険の特徴は、相手との過失割合にかかわらず保険金が支払われる点にあります。
たとえば、自分に過失がない「10:0」の事故はもちろん、自分の過失が100%の事故や単独事故の場合であっても、契約時に定めた保険金を受け取ることが可能です。
搭乗者傷害保険の補償内容
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補償の内容は商品にもよりますが、大きく「死亡保険金」「後遺障害保険金」「医療保険金」の3つの区分があります。
死亡保険金
搭乗者傷害保険は定額払いの仕組みであるため、人身傷害保険や生命保険など、他の保険から保険金を受け取っていたとしても、それとは別に受け取ることが可能です。自賠責保険や相手方の対人賠償保険とも併用できます。
後遺障害保険金
一般的に、後遺障害等級に応じた支払割合は4%から100%の範囲で定められています。
なお、180日を超えて治療が必要な場合は、医師の診断に基づいて後遺障害の程度が認定されます。症状が確定した段階で請求できるため、実際の損害額が確定するのを待つ必要はありません。
また、同一の事故ですでに支払われた後遺障害保険金がある場合には、その額を差し引いた金額が支払われる仕組みです。
医療保険金(ケガへの補償)
部位症状別払いの場合、入通院の日数が4日以内であれば一律1万円が支払われ、5日以上の場合はケガの部位・症状に応じて10万円・30万円・50万円・100万円のいずれかが支払われるといった形式が一般的です。
たとえば、事故で骨折した場合は30万円、脳損傷や脊髄損傷のような重篤なケガの場合は100万円といった金額が設定されています。
一方、日数払いの場合は入院・通院の日数に応じて1日あたりの定額が支払われる仕組みです。ただし、支払い対象日数に上限(原則180日)が設けられているほか、部位症状別払いに比べると支払い金額が確定するまでに時間がかかる傾向がある点に留意しておきましょう。
いずれの方式でも、治療費の実費にかかわらず、入院や通院の事実があれば定額の保険金が支払われます。
搭乗者傷害保険は等級に影響しない
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等級とは、事故の有無に応じて保険料の割引・割増率を決定するための区分で、事故の内容や回数に応じ、契約者ごとに等級が1〜20等級まで設定されています。等級は、無事故の期間が長くなるにつれ上がっていき、事故を起こすと下がっていく仕組みです。等級が上がると保険料は安くなり、反対に等級が下がると高くなります。
保険会社間で共有されるため、どこの保険会社と契約しても同じ等級になります。
事故を起こして自動車保険の保険金を受け取った場合、基本的には等級が下がりますが、搭乗者傷害保険の場合はあてはまらず、搭乗者傷害保険を使ったとしても、翌年の等級に影響することはありません。
そのため、「保険料が高くなるなら搭乗者傷害保険を使わないほうがいいのではないか」といったことを考える必要はないのです。
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搭乗者傷害保険と人身傷害保険の違い
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どちらも搭乗者の身体的な損害を補償する点では共通していますが、「保険金の決まり方」「受け取れるタイミング」「補償の範囲」に違いがあります。以下の表で主な違いを確認してください。
比較項目 | 搭乗者傷害保険 | 人身傷害保険 |
保険金の計算方法 | 定額払い:あらかじめ決めた金額 | 実損払い:実際の損害額を補償 |
支払われる保険金 | 入院日数やケガの部位に応じた額 | 治療費、休業損害、逸失利益など |
支払いのタイミング | 早い:損害確定前でも受け取れる | 時間がかかる:損害額確定後の支払い |
補償の範囲 | 原則、契約車両に乗っている時のみ | プランにより他人の車や歩行中も対象 |
等級への影響 | ノーカウント事故(影響なし) | ノーカウント事故(影響なし) |
主な役割 | 当座の費用や上乗せの補償 | 経済的な損失を幅広くカバー |
定額払いと実損払いの支払い方法の違い
一方、人身傷害保険は、過失割合にかかわらず、治療費や休業損害、精神的損害(慰謝料)、逸失利益などの「実際の損害額(実損額)」が保険金額を上限に支払われる仕組みです。損害額の算定は、保険会社が約款に定める基準に従って行われます。
たとえば、事故で骨折して入通院が5日以上になった場合、搭乗者傷害保険からは30万円(部位症状別払いの場合)が定額で支払われます。
これとは別に、人身傷害保険からは実際にかかった治療費や休業損害などの実損額が補償されるため、両方に加入していれば合計した保険金を受け取ることが可能です。
なお、どちらの保険も、自分に100%の過失がある事故や単独事故であっても補償の対象になります。この点は両者に共通するメリットといえるでしょう。
保険金が受け取れるタイミング(支払時期)の違い
これに対し、人身傷害保険は、治療が完了して治療費や休業損害の総額が確定してから保険金額が計算されます。損害額を確認できる書類がそろうまでに時間がかかり、保険金の受け取りまでに時間がかかる場合もあるでしょう。
たとえば、事故直後に緊急入院が必要になった場合、入院費用を一時的に自己負担するケースもあります。このようなとき、搭乗者傷害保険から支払われる定額の保険金があれば、当座の入院費用や通院の交通費に充てることができます。
人身傷害保険だけでは対応しにくい「事故直後の急な出費」をカバーできる点が、搭乗者傷害保険の特徴です。
補償される事故の範囲(車内・車外)の違い
一方、人身傷害保険には、契約車両に搭乗中のみを補償する「車内のみ補償タイプ」のほか、他人の車に乗車中や歩行中の自動車事故までカバーできる「車内・車外補償タイプ」が用意されている場合があります。
たとえば、家族が歩行中に車にはねられた場合や、友人の車に同乗中の事故、バス・タクシー乗車中の事故などは、搭乗者傷害保険では補償されません。
搭乗者傷害保険は必要?必要性が高いケース
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「保険料を安く抑えたい」という視点だけでなく、事故直後に保険金がスピーディーに支払われるメリットや、家族以外の同乗者も含めて定額の補償を受けられるという視点も、判断基準となります。
手元の貯蓄だけでは事故直後の入院費や通院費をまかなえるか不安な方にとっては、心強い備えになるでしょう。
人身傷害保険の上乗せ補償として活用する
そのため、搭乗者傷害保険をセットしておけば、入通院の事実に基づいて定額の保険金がスピーディーに支払われるため、当座の入院費用や通院費用をまかなえます。
また、後遺障害が残った場合には、人身傷害保険から治療費や逸失利益が支払われるのに加え、搭乗者傷害保険から定額の後遺障害保険金を別途受け取ることが可能です。両方に加入しておくことで、経済的な備えをより手厚くできます。
家族以外の友人や知人を車に乗せる機会が多い人にとっても、搭乗者傷害保険は役立ちます。これは、過失割合にかかわらず定額の保険金が速やかに支払われるため、同乗者がケガをした場合のお見舞い金に充てることもできるからです。
搭乗者傷害保険をつけないケース
搭乗者傷害保険を付帯すると、その分だけ自動車保険の保険料は上がるため、補償の手厚さとコストのバランスを考慮して判断することが重要です。
すでに加入している生命保険や医療保険で、交通事故による入通院や死亡・後遺障害が手厚く補償されている場合は、補償の重複を避けるために搭乗者傷害保険を付帯しないという考え方もあるでしょう。
また、自身の貯蓄に余裕があり、「実損額さえ補償されれば保険金の支払いスピードは重視しない」という方であれば、搭乗者傷害保険を外して保険料を節約することも選択肢のひとつです。
搭乗者傷害保険が支払われないケース
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被保険者の故意または重大な過失がある場合
明らかに危険な行為が見られた場合、本人の過失によって生じた事故とみなされるからです。
例えば、窓から車両外に身を乗り出して運転していた場合や、乗車定員を超過していた場合、車両の荷台に乗車していた場合などが該当します。
正常に運転できないおそれがある状態での運転の場合
搭乗者傷害保険によって補償されるのは、あくまでも通常の運転時に起きた事故により生じた傷害です。
地震・噴火またはこれらによる津波による自然災害の場合
被保険者の脳疾患、疾病または心神喪失による場合
道路交通法第66条に「過労、病気、薬物の影響そのほか理由により、正常な運転ができないおそれがある状態で車両等を運転してはならない」と定められており、病気などによって正常な運転が難しいと判断される場合には、そもそも車を運転するべきではないとされているからです。
持病をお持ちの方は、自動車保険の契約時に十分注意しておく必要があります。
競技・曲技によって生じた場合
搭乗者傷害保険の特徴を把握して、さらなる安心感をプラスしよう
最低限の補償があれば良いという人は人身傷害保険のみ加入、上乗せの補償も受けられるようにしておくことで安心感を得たいという人は搭乗者傷害保険にも加入することをおすすめします。
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監修者ファイナンシャルプランナー 金子賢司
東証一部上場企業(現在は東証スタンダード)で10年間サラリーマンを務める中、業務中の交通事故をきっかけに企業の福利厚生に興味を持ち、社会保障の勉強を始める。
以降ファイナンシャルプランナーとして活動し、個人・法人のお金に関する相談、北海道のテレビ番組のコメンテーター、年間約100件のセミナー講師なども務める。趣味はフィットネス。健康とお金、豊かなライフスタイルを実践・発信しています。
・CFP ®資格(資格番号:90260739)
・日本FP(ファイナンシャルプランナー協会)幹事