自動車が盗難に遭った場合に車両保険は使える?補償内容について解説

自動車が盗難に遭った場合に車両保険は使える?

車両保険は、自分の自動車に生じた損害を補償してくれる保険です。事故などで自動車が壊れた際に使うイメージが強い車両保険ですが、自動車が盗難に遭った場合も補償の対象になります。

この記事では、自分の自動車が盗難に遭った場合に受けることができる補償の内容や対処法について解説します。車両保険の加入を検討している人は参考にしてください。

自動車の盗難被害には備えが必要

警察庁の統計によると、2022年度における自動車の盗難被害の認知件数は5,734件です。ピークだった2003年の6万4,223件からは大幅に減少しており、10年前に比べると3分の1以下、20年前に比べると10分の1以下にまで減っています。

しかし、現在でも全国で1日あたり平均にして15、16件は自動車の盗難被害は発生しており、被害に遭う可能性がなくなったわけではありません。そのため、自動車の盗難に対しては、引き続き備えが必要です。
※警視庁「自動車盗難等の発生状況等について

自動車の盗難は車両保険で補償される

車両保険に加入していれば盗難被害を受けた際、保険契約者や被保険者、保険金受取人に過失がないのであれば、契約に則って規定の保険金額を満額受け取ることができます。

なお、車両保険には、補償対象の広い「一般型」と補償対象を絞った「エコノミー型」の2タイプがありますが、盗難被害はどちらのタイプでも補償の対象となっているのが一般的です。

自動車本体以外で車両保険の補償対象となるものも

自動車本体ではなく自動車のパーツが盗難被害に遭った場合も、車両保険で補償されます。自動車の部品で特に狙われやすい、ナンバープレートタイヤ・ホイールなどは、いずれも補償の対象です。

ただし、ポータブルナビや自動車から取り外して保管してあるタイヤなどについては車両の一部とは認められず、補償を受けられない場合があります。

車両内から現金や物品を盗む車上荒らしに遭った場合は、破損した窓ガラスの修理費などは車両保険で補償されますが、自動車の中に置いていた現金やゴルフバッグなどの物品の被害は、車両保険の対象にはなりません。ただ、多くの保険会社では、車内手荷物等を補償する特約が用意されており、特約をつけている場合は補償の対象になります。

自動車が盗難被害に遭ったら保険金はいくら受け取れる?

自動車が盗難被害に遭ったら保険金はいくら受け取れる?

車両保険は加入の際に、契約内容契約車の車種年式型式などに応じて支払われる保険金額の上限が設定されます。保険金額の上限は、市場での自動車の時価相当額を基本として、保険会社の基準に照らして決まります。

なお、自動車が盗難被害に遭い、発見されない場合は全損扱いとなり、保険金額の上限まで支払われるのが一般的です。

ここで注意しておきたいのは、車両保険の保険金額の上限は保険会社の基準で決められ、自動車の市場価格相当となることです。

自動車は一般的に新車の状態が最も価値が高く、購入から年数が経つと市場価格が下がっていくので、保険金額の上限も下がっていきます。そのため、盗難被害に遭った自動車の年式が古い場合、車両保険だけでは十分な買い替え費用をまかなえないこともあるでしょう。

自動車が盗難被害に遭ったときの対応方法

自動車が盗難被害に遭ったとき、まず行うべき対応方法は2つあります。警察への通報や保険会社への連絡などについて詳しく見ていきましょう。

警察に通報し、盗難届を出す

自動車の盗難被害に気づいた時点ですぐに警察へ通報し、盗難届を提出します。盗難届を提出すると、その後の保険会社での調査や手続きなどに必要となる受理番号が発行されるので、必ず控えておきましょう。

なお、自動車の盗難届を提出するには、ナンバープレートの番号といった車両の情報が必要になるので、日頃から手元に車検証のコピーを保管しておくと便利です。

保険会社へ連絡する

盗難届の提出が済んだ後は保険会社へ連絡し、盗難の発生日時発生場所受理番号などを伝えます。車両本体に加え、車内やトランクに置いていたものについても補償の対象となる可能性があるため、被害状況も忘れずに伝えることが大切です。

自動車が盗難被害に遭ったときの保険金支払いまでの流れ

自動車の盗難被害に関する情報を保険会社へ連絡した後は、保険会社による調査などが行われます。保険金が支払われるまでの流れは下記のとおりです。

1. 保険会社による調査

保険会社から調査員が派遣されて、自動車の保管方法や盗難時の状況などについての調査が行われます。なお、保険会社による調査は1ヵ月程かかるのが一般的です。ここで保険契約者等に過失が認められず、車両保険の利用が可能と判断されると、保険金が支払われることになります。

2. 必要書類の用意・提出

保険金を受け取ると、盗難被害に遭った自動車の所有権が保険会社に移るため、自動車の名義変更の手続きが必要になります。保険金が支払われることになった場合は、保険会社から指定された必要書類をそろえてすみやかに提出しましょう。

3. 保険金の支払い

保険会社による手続きが完了すると、保険金が支払われます。保険金は、指定の金融機関口座への振込によって支払われるのが一般的です。

自動車が盗難被害に遭ったときの注意点

自動車が盗難被害に遭ったときの注意点

自動車が盗難被害に遭ったときは、いくつか注意したい点があります。続いては、盗難被害に遭った自動車が見つかった場合や保険金が支払われないケースなどについて詳しく見ていきましょう。

盗難被害に遭った自動車が見つかった場合は手続き方法が変わる

警察に盗難届を提出し、保険会社との手続きを進めているあいだに、盗難被害に遭った自動車が見つかることもあります。この場合、自動車が見つかったタイミングによって手続き方法が変わるため注意が必要です。

・保険金が支払われる前に見つかった場合
保険金が支払われる前に自動車が見つかった場合は、保険金を受け取って自動車の所有権を保険会社に引き渡すか、受け取った保険金で自動車を修理してそのまま乗り続けるかを選ぶことができます。

・保険金が支払われた後に見つかった場合
保険金が支払われた後に自動車が見つかった場合は、すでに自動車の所有権は保険会社に移っているため、自動車は保険会社の所有になります。

ただし、保険金の支払いを受けた日の翌日から60日以内など、一定期間内であれば、保険金を返還して自動車を引き取ることも可能です。この場合、自動車が見つかるまでに生じた損害については、保険金の支払いを請求できます。なお、一定期間の設定は保険会社によって異なるため、車両保険に加入する際に確認しておきましょう。

保険金が支払われないケースがある

自動車が盗難被害に遭っても、保険金が支払われないケースがあることも注意点のひとつです。自動車が盗難被害に遭った場合の保険金の支払いは、保険契約者や被保険者、保険金受取人に過失がないことが条件です。

例えば、「道の駅の駐車場でエンジンをかけたままトイレに行った」「コンビニの駐車場でドアは閉めたが窓を開けたまま駐車し、買い物に行った」など、盗難防止対策が十分ではなかったと判断される事情がある場合、保険金は支払われません。

過失と認められる行為の程度はグレーゾーンなところもありますが、エンジンをかけたまま自動車を離れたりドアをロックしなかったりする行為は、過失と判断されることが多いようです。

車両保険を利用すると等級が下がる

自動車が盗難被害に遭った際の注意点として、車両保険を利用すると、翌年の自動車保険の等級が1つ下がることが挙げられます。

また、下がった等級を戻すためには、無事故を1年間維持しなければなりません。そのため、車両保険を利用した翌年に支払う保険料は、等級が下がる分高くなります。

自動車の盗難被害に備える方法

自動車の盗難被害は、2003年のピーク時に比べれば減っていますが、依然として全国で被害は発生しています。そのため、盗難対策を徹底するほか、万一盗難被害に遭った場合に備えておくことが重要です。それぞれについて、詳しく見ていきましょう。

盗難対策を徹底する

自動車の盗難被害に備える方法として、盗難対策を徹底することが挙げられます。近年では、約75%がキーをつけていない状態で被害に遭っているほか、施設の駐車場だけでなく、自宅の駐車スペースで被害に遭うケースも少なくありません。そのため、十分な盗難対策を行うことが重要です。

・狙われやすい車種は特に注意する
一般社団法人日本損害保険協会の「第24回 自動車盗難事故実態調査結果」によると、盗難被害が多いのはランドクルーザーやプリウス、レクサスといった車種です。これらの車種に乗っている場合は、特に防犯対策に力を入れるのがおすすめです。

・自動車を離れるときは必ず施錠する
基本的な防犯対策のひとつですが、自動車を離れる際は、少しの時間でも必ず施錠することを心掛けましょう。

・盗難防止装置や防犯グッズを利用する
自動車のハンドルを固定して動かなくするハンドルロックや防犯カメラなど、物理的に盗難を妨げ、窃盗犯を心理的に牽制する防犯グッズの利用も有効です。

・屋内駐車場を利用する
一般社団法人日本損害保険協会の「第22回 自動車盗難事故実態調査結果」によると、車両本体の盗難の多くは自宅や施設の屋外駐車場で発生していることがわかっています。そのため、駐車をする際は、可能な限り屋内駐車場を利用することで、盗難リスクを下げることが可能です。

車両保険に加入する

車両保険に加入することも、自動車の盗難被害に備える方法のひとつです。最近では、さまざまな防犯グッズが販売されていますが、窃盗の手口も巧妙化しており、完全に盗難被害を防ぐのは難しいのが現状です。そのため、盗難対策と並行して、万一盗難被害に遭った場合にも備えておくことが重要といえます。

自動車が盗難に遭った場合は、車両保険に加入していれば補償を受けることができるほか、特約をつけていれば、車内に置いていた物品の盗難被害も補償されるため、車両保険は心強い盗難対策となるでしょう。

自動車の盗難被害に備えて自分に合った車両保険を検討しよう

自動車の盗難は、どんなに気をつけていても自力で完全に防ぐことは難しいため、被害を受けた場合のことを考えておくことが必要です。自動車の盗難被害に備える方法のひとつとして、車両保険への加入があります。なお、車両保険は一般型とエコノミー型のどちらでも、自動車の盗難は補償対象です。

盗難の備えのために車両保険を契約したいが、保険料はできる限り抑えたいという場合は、保険会社を比較して選ぶのがおすすめです。

車両保険の保険金額の上限や保険料、補償の範囲、自動車が見つかった際に保険金の返還が可能な期間などは、保険会社によって異なります。そのため、比較検討した上で、補償内容と保険料のバランスがとれているものを選びましょう。

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