搭乗者傷害保険の特徴と人身傷害補償保険との違い

搭乗者傷害保険の特徴と人身傷害補償保険との違い

 他人のケガや死亡に対してのみを補償する自賠責保険や対人賠償保険と違い、契約している自動車が交通事故に遭った際に、車に乗っている人のケガ・死亡を対象に保険金が支払われるのが「搭乗者傷害保険」だ。補償範囲や特徴、事故例、人身傷害補償保険との違いなどを紹介する。

補償範囲と特徴

 搭乗者傷害保険は、ほかの保険とは関係なく支払われ、請求した場合も比較的簡単に保険金の支払いが行われるが、もちろんすべてのケースで保険金が支払われるわけではない。その補償範囲には、以下3つの特徴がある。

(1)相手の有無に関係なく補償する
 運転手や同乗者、運行供用者が事故でケガをしても、上述の通り自賠責保険では保険金が支払われない。この運行供用者とは、「自己のために自動車を運行の用に供する者」 を指す。たとえば、夫が最寄駅まで妻の運転する車で送ってもらうケースでは、夫が運行供用者となる。このような場合に交通事故でケガをしたら、搭乗者傷害保険からは保険金が支払われる。

 また、相手の有無に関わらず保険金が支払われる点も特徴のひとつ。車同士の事故、単独事故、過失割合が100%の事故でも支払いが受けられる。保険会社によっては、乗降時にドアで指を挟んだり、車内を歩けるワンボックスタイプの車で転んでケガをしたといった場合でも支払われる。

(2)保険金が支払われないケースもある
 搭乗者傷害保険では、以下のようなケースでは保険金が支払われない可能性がある。

・無免許、酒気帯び、麻薬などを使用して運転していた場合
・故意または重大な過失によって生じた傷害
・定員オーバーで乗車していた場合
・車外に身体の半分を出していたなど、座席に座らず、シートベルトなどを着用していなかった場合
・座席ではない荷台などに乗車していた場合
・地震、噴火、津波によって生じた傷害

 もちろん、通常の運転で発生した事故には問題なく支払われることになる。ちなみに自然災害のなかでも、台風、洪水、高潮などに巻き込まれた場合は支払われる。

(3)部位や症状別に保険金額が決まっている
 搭乗者障害保険の保険金の支払方法には、「日数払い」と「部位・症状別払い」の2種類がある。「日数払い」とは、あらかじめ補償金額を決めておく方式。たとえば「入院の場合1日につき保険金額の0.15%、通院の場合は0.1%」という補償の場合、保険金額1000万円では「入院日額1万5000円」「通院日額1万円」という計算になる。

 「部位・症状別払い」とは、ケガが生じた部位や症状によって補償金額が決められている方式。部位ごとに分類されるほか、症状(打撲、骨折、切断など)に応じて金額が細かく定められている。

【部位・症状別の支払例】

<症状>
骨折または脱臼

<部位>
頭部:45万円
顔面部:15万円
けい部(首):60万円
上肢部(肩から手指):15万円
下肢部(足/指を含む):25万円

 入院や通院が終了してからの支払いとなる「日数払い」と比べ、入院・通院の日数に関係なく保険金が支払われるため、現在ではこちらが主流となっている。「部位・症状別払い」しか選べない自動車保険会社も多いようだ。また、治療費の確定より前に、ケガの部位や程度が判明した段階で支払いが可能というスピーディな点もメリットのひとつだ。

 支払われる保険金額は保険会社により異なるため、自分が加入している保険会社ではいくら支払ってもらえるのか、WEBサイトなどで確認しておこう。

 また、保険証券や見積もり時に搭乗者傷害保険の項目を見たとき、「保険金1000万円」という記載があったとする。この「保険金」は死亡時、または後遺障害時に支払われる最高額なので、「保険金1000万円」としていたなら、死亡時に支払われるのは1000万円となる。後遺障害の場合は、程度や保険会社によって異なるが、保険金額の約4〜100%となる。

 さらに保険会社によるが、搭乗者傷害の保険金額は約500〜3000万円に価格を設定することが可能だ。他の保険との兼ね合いだが、「人身傷害保険+搭乗者傷害」と両方から支払いを受けられる。事故を起こした相手がいれば、相手の「対人賠償保険」から保険金を受け取り、自身の「搭乗者傷害」から支払いを受けることもできる。ただし「保険金額を3000万円に設定する」「人身傷害保険と搭乗者傷害の両方をつける」など補償を手厚くする分だけ、月々に払う保険料もアップしてしまうので、バランスを考えよう。

補償される事故例

 搭乗者傷害保険で補償される事故には、一例として以下のようなものがある。

【事故例】
・1人で車を運転していて他の車と衝突し、胸を強く打って骨折
・友人を乗せて車を運転していた際に誤って電柱に激突。自分も友人もケガを負った
・家族でドライブ中、多重事故に巻き込まれて全員が打撲・むちうちなどの症状で病院に行った

 搭乗者傷害保険はケガの治療費などの「実費」に対して支払われるのではなく、事故が起きた際は契約の際に定めた「一定の金額」が支払われる保険となる。また、単独事故や、自分側に100%過失がある事故も補償の対象になっている。自賠責保険や対人賠償保険からの支払い、相手からの賠償金の支払いに関係なく支払われるというのも特徴だ。

支払われる保険金の種類

 搭乗者傷害保険で支払われる保険金には以下の種類がある。

死亡保険金:搭乗者が事故発生から180日以内に死亡した場合、保険金額の全額が支払わる

シートベルト(座席ベルト)装着者特別保険金:死亡保険金が支払われるケースで、搭乗者がシートベルトを装着していた場合には、優遇措置として死亡保険金とは別にその保険金額の30%にあたる額が特別保険金として上乗せされる

後遺障害保険金:事故発生から180日以内に当該事故が原因で搭乗者に後遺障害が認められた場合、後遺障害の程度に応じて保険金額×4%〜100%が支払われる

重度後遺障害特別保険金・重度後遺障害介護費用保険金:後遺障害保険金が支払われるケースで、重度の後遺障害を被り、かつ介護を要すると認められる場合、後遺傷害保険金とは別に支払われる。重度後遺障害特別保険金は保険金額の10%(100万円限度)、重度後遺障害介護費用保険金は後遺障害保険金の50%(500万円限度)

医療保険金:搭乗者がケガをして入院や通院をした場合、定額で支払われる

人身傷害補償保険との違い

 搭乗者傷害保険と似たような保険に、「人身傷害補償保険」というものがある。これは、契約している自動車が交通事故に遭った際に、搭乗者のケガ・死亡などの損害に対して保険金額の範囲内で損害額を補償するもの。搭乗者傷害保険が「定額払い」であるのに対し、人身傷害補償保険は実際にかかった費用が補償される「実損払い」となっている。また、補償範囲も若干異なる。

 たとえば治療費が高額になってしまった場合などは、「定額払い」である搭乗者傷害保険よりも「実損払い」の人身傷害補償保険のほうが厚い補償といえるだろう。逆に、かかった治療費が搭乗者傷害保険で支払われる金額よりも低かった場合などは、搭乗者傷害保険のほうが受け取れる金額が大きくなることもある。

 同時に加入して、双方の保険金を受け取ることもできるが、当然保険料はその分高くなる。コストと補償のバランスを考え、どちらかに加入しないというのも選択肢として頭に入れておこう。ただし、保険の主契約の内容によっては、搭乗者傷害保険を外すことができない自動車保険会社もあるので注意が必要だ。

搭乗者傷害保険の注意点

 搭乗者傷害保険の中身は各社横並びではない。厚い補償が欲しければ「人身傷害保険+搭乗者傷害」ということになるが、保険会社によっては人身傷害保険で搭乗者のケガが補償されるため、搭乗者傷害保険を付帯しないとするところもある。保険会社によっては、人身傷害保険に加入していても、搭乗者傷害保険を追加するか選択可能であったりと、ケースはさまざまだ。

 なお、搭乗者傷害保険を使った事故は「ノーカウント事故」となり、ほかに保険を使っていなければ翌年は通常通り1等級アップする。保険会社に相談し、検討してみてはどうだろうか。

自動車保険選びのポイント

任意保険には、対人・対物賠償や人身傷害補償、車両保険などさまざまな種類があります。事前にチェックして重視する補償を決めることが大切です。

自動車保険会社は、ダイレクト系と代理店系の2つに大きくわけられます。双方のメリット・デメリットをきちんと踏まえて選びましょう。

人身事故の最高賠償金額は約5億円。物損事故でも約3億円にのぼるケースがあります。まずは実際の事故事例を見て任意保険の必要性を知りましょう。

オリコン日本顧客満足度ランキングの調査方法について

当サイトで公開されている情報(文字、写真、イラスト、画像データ等)及びこれらの配置・編集および構造などについての著作権は株式会社oricon MEに帰属しております。これらの情報を権利者の許可なく無断転載・複製などの二次利用を行うことは固く禁じております。