12ヶ月点検(1年点検)とは?車検との違いや必要性・費用・項目を解説
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その中でも「12ヶ月点検」(法定一年点検)は、車の状態を把握し、トラブルを未然に防ぐ重要な点検です。
しかし、多くの方が「車検」との違いや、具体的な必要性について疑問を抱いているのではないでしょうか?
本記事では、12ヶ月点検の目的や費用、検査項目をはじめ、車検や24ヶ月点検との違いについてわかりやすく解説します。さらに、12ヶ月点検を受ける際に必要な持ち物や実施場所、点検にかかる時間についても説明しています。
安心してドライブを楽しむために、ぜひ参考にしてください。
目次
12ヶ月点検(一年点検/法定一年点検)とは?
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道路運送車両法で定められた12ヶ月点検は、事故や故障を未然に防ぎ、車両の性能を最大限に発揮させるための重要な機会となります。
以下で、その具体的な目的や車検との違い、そして必要性について詳しく解説していきます。
法定点検の目的
車は精密機械であり、運転頻度に関わらず外的要因などにより日々パーツの劣化が進んでいきます。
そのため、定期的な点検整備を行うことで車の状態を良好に保ち、重大な故障やトラブルを未然に防げます。
法定点検で重点的に確認するのは、ブレーキやエンジンルーム、タイヤなど安全運転に直結する重要な箇所です。
これにより異常が早期に発見でき、適切なタイミングで部品交換や修理をおこなえれば、安全性を確保することができるでしょう。
法定点検を実施すれば、メーカー保証の適用条件を満たすことができ、万が一の故障時も保証を受けられる可能性が高まります。
車検や24ヶ月点検との違い
以下の表で主な違いを比較してご説明します。
|
12ヶ月点検 |
24ヶ月点検 |
車検 |
|
|
点検項目 |
27項目 |
57項目(12ヶ月点検の27項目+30項目) |
安全面・環境面の基準適合検査 |
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費用 |
10,000円〜20,000円程度 |
車検と同時実施のため車検費用に含まれる |
軽自動車:約6〜12万円 |
|
法的義務 |
法律で定められた義務だが罰則なし |
法律で定められた義務だが罰則なし |
法律で定められた義務あり |
例えば車検時にはブレーキパッドの検査項目がありませんが、12ヶ月点検では対象項目となっています。
車の安全性を確実に維持するためには、定期点検と車検の両方を適切に受けることが望ましいでしょう。
12ヶ月点検の必要性
道路運送車両法第48条により、自家用車の所有者には実施が義務付けられています。
ただし、車検とは異なり、未実施の場合の罰則規定はありません。
しかし、12ヶ月点検を怠ると、メーカー保証が適用されないケースがあります。
点検項目に含まれる箇所で不具合が発生した場合、定期点検を実施していないことを理由に保証の対象外となる可能性があります。
また、事故や故障が発生した際に、定期点検を実施していなかったことで、法的な責任が重くなる場合も考えられます。
車は多数の精密な部品で構成された機械であり、日々の使用で劣化が進んでいきます。
12ヶ月点検を通して車の状態を定期的にチェックし、必要な整備をおこなえば、安全で快適なカーライフを長く楽しめるでしょう。
12ヶ月点検の実施時期|いつからいつまでか
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新車を購入した場合は、購入から1年経過後に初回の点検を受け、その翌年にも12ヶ月点検を実施します。
3年目からは車検と組み合わせて24ヶ月点検を受けることになります。
理想的な点検時期は、期限日から前後1ヶ月の期間内です。
この期間内に点検を実施できれば、定期的なメンテナンスのサイクルを効率よく保てるでしょう。
点検時期の目安を確認する際は、フロントガラス内側(助手席側)に貼付されている点検整備済ステッカー(ダイヤルステッカー)を見るとよいでしょう。
このステッカーには、次回の点検実施時期が分かりやすく表示されています。
ステッカーの中央の数字が次回実施すべき年を、外側の数字が実施月を示しています。
これを確認すれば、次回の点検時期を逃さずに済みます。
12ヶ月点検に必要な持ち物
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点検を円滑に進めるため、以下の持ち物を確認しておきましょう。
| 持ち物 | 内容 | |
|---|---|---|
| 必須 | 自動車検査証(車検証) | 車両の基本情報が記載された公的書類 |
| 点検費用 | 10,000〜20,000円程度 (車種や整備店により異なる) |
|
| 任意 | 点検整備記録簿 | 過去の点検整備履歴が記録された書類 |
| 点検整備済ステッカー | 次回点検時期が記載されたステッカー |
車両の基本情報が記載されているため、12ヶ月点検時には必ず持参しましょう。
点検費用は車種や整備店によって異なりますが、おおよそ1万円から2万円程度を見込んでおくとよいでしょう。
点検整備記録簿は、これまでの整備履歴を確認できる大切な書類です。
これがあることで、前回からの車両の状態変化を比較でき、より適切な点検整備が可能になります。
また、車を売却する際にも整備記録があれば有利になる可能性があります。
フロントガラスに貼られている点検整備済ステッカーには、次回の点検時期が記載されています。
このステッカーを確認すれば、次回の点検予定の把握が可能です。
整備記録簿とステッカーは必須ではありませんが、可能な限り持参しましょう。
12ヶ月点検はどこで受けるか
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法律で定められた27項目の点検内容は、どの場所で実施しても変わりません。
ただし、各施設にはそれぞれ特徴があるため、自分のニーズに合った場所の選定が大切です。
以下で各施設の特徴を比較してみましょう。
種類 | メリット | デメリット |
ディーラー | ・メーカー純正部品を使用 | ・費用が比較的高額 |
カー用品店 | ・費用が比較的安価 | ・車種ごとの専門性はディーラーより劣る |
整備工場 | ・地域密着で相談しやすい | ・設備が十分でない場合がある |
ガソリンスタンド | ・費用が比較的安価 | ・専門的な整備には限界がある |
また、コストを抑えながらも品質の良い点検を受けたい方は、カー用品店が適しているでしょう。
地域に密着した整備工場は、きめ細かな対応と相談のしやすさが特徴です。
整備士と良好な関係を築きながら、長期的な車両管理をおこないたい方に向いています。
一方、ガソリンスタンドは、立地の便利さと予約の取りやすさから、忙しい方や気軽に点検を受けたい方に適しています。
それぞれの場所の特徴を理解したうえで、自分の予算や希望する整備内容、車の使用状況などを考慮して、最適な点検場所を選びましょう。
12ヶ月点検の費用相場
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例えば、軽自動車と普通自動車では費用が異なり、また同じ車種でもディーラーとカー用品店では料金設定が違ってきます。
点検の結果、部品の交換や修理が必要と判断された場合は、基本料金とは別に整備費用が発生する可能性も少なくありません。
具体的には、エンジンオイルの交換やオイルフィルターの交換、ブレーキパッドの交換など、消耗部品の取り替えが必要になる場合もあるでしょう。
これらの追加整備にかかる費用は、使用する部品の種類や作業工賃によって変わってきます。
なかには、基本点検料金が安くても、整備内容によって部品代や交換作業費が高額になるケースもあります。
そのため、点検料金だけでなく、部品代や作業工賃も含めた総合的な費用の検討が重要です。
なお、一部の整備店では、追加費用なしで独自の点検項目を実施するサービスを提供しているところもあります。
予算に応じて、このような特典のある整備店を選ぶのも有効な選択といえるでしょう。
12ヶ月点検の検査項目
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それぞれの機能分類ごとに、具体的な点検項目と点検内容をまとめました。
| 機能分類 | 点検項目 | 点検内容 |
|---|---|---|
| かじ取り装置 | パワーステアリング装置 | ・ベルトの緩みや損傷の確認 ・側面や内側の摩耗、亀裂のチェック |
| 制動装置 | ブレーキペダル | ・ペダルの遊びの確認 ・床との隙間測定 ・ブレーキの効き具合の確認 |
| 駐車ブレーキ | ・引きしろの確認 ・ブレーキの効き具合の確認 |
|
| ブレーキホース・パイプ | ・液漏れや損傷の有無の確認 ・接続部の緩みのチェック |
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| マスターシリンダー・ホイールシリンダー・ディスクキャリパー | ・液漏れの有無の確認 ・シリンダー周辺の状態チェック |
|
| ブレーキドラム・シュー | ・ドラムとライニングの隙間確認 ・シューの摺動部分とライニングの摩耗確認 |
|
| ブレーキディスク・パッド | ・ディスクとパッドの隙間確認 ・パッドの摩耗確認 |
|
| 走行装置 | ホイール・タイヤ | ・タイヤの溝の深さ確認 ・空気圧、亀裂の有無の確認 |
| 動力伝達装置 | クラッチ | ・ペダルの遊びの確認 ・クラッチの切れ具合の確認 |
| トランスミッション・トランスファー | ・オイル漏れの確認 ・オイル量の確認 |
|
| プロペラシャフト・ドライブシャフト | ・ジョイント部分の緩みの確認 ・取付ナットの緩みの確認 |
|
| 電気装置 | 点火装置 | ・点火プラグの状態確認 ・点火時期の確認 |
| 原動機 | エンジン本体 | ・アイドリング回転数の確認 ・排気ガスの色の確認 |
| 潤滑装置 | ・オイル漏れの確認 ・オイル量の確認 |
|
| 冷却装置 | 冷却装置全般 | ・水漏れの有無の確認 ・ファンベルトの緩み、損傷の確認 |
| 排気装置 | エキゾーストパイプ・マフラー | ・取付部の緩みの確認 ・損傷の有無の確認 |
| その他 | 電子制御装置 | ・診断機による故障コードの確認 ・インジケーターの点灯確認 |
専門的な知識と技術、設備が必要となるため、整備士のいる認証工場や指定工場での実施をおすすめします。
点検時に不具合が見つかった場合は、早めに修理や部品交換をおこない、つねに最適な状態を保つようにしましょう。
12ヶ月点検にかかる時間
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事前に予約をしていれば、この時間内で基本的な点検項目をすべて確認できます。
ただし、これは車両に大きな不具合がない場合の標準的な所要時間です。車の状態によっては、作業時間が延びる場合があります。
例えば、点検の結果、ブレーキパッドやエンジンオイルなどの消耗部品の交換が必要と判断された場合、その交換作業に追加の時間が必要となります。
また、車種や年式、走行距離によっても点検に要する時間は変動します。
整備士が点検中に予期せぬ不具合を発見した場合は、整備士から状況の説明を受け、修理や部品交換の必要性を判断します。
安全な運転のために必要な整備は、多少時間がかかっても実施することが望ましいでしょう。
12ヶ月点検に関するよくある質問
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自己点検の可否や車検との関係、他の法定点検との違いなど、重要なポイントを説明します。
12ヶ月点検を自分で行うことはできる?
ただし、点検には専門的な知識と技術が必要となるため、自己点検に不安がある方は、プロの整備士への依頼をおすすめします。
自己点検を行う場合は、まず点検項目をしっかりと把握する必要があります。
とくにバッテリーなどの高電圧部位を扱う際は細心の注意が必要です。
また、オレンジ色で塗装されている部位は高電圧が流れている危険な箇所のため、不用意に触れないようにしましょう。
なお、プロに依頼した場合は点検整備記録簿への記載や点検ステッカーの発行を受けられ、車の売却時にも有利にはたらく可能性が高まります。
12ヶ月点検と車検を同時に行うことはある?
新車購入後は1年目と2年目に12ヶ月点検を受け、3年目に車検と24ヶ月点検を同時に実施します。
その後は2年ごとの車検時に24ヶ月点検を、その間の1年目に12ヶ月点検を受けるというサイクルで点検をおこないます。
12ヶ月点検以外の法定点検はある?
それぞれの点検項目数や実施時期は以下のとおりです。
種類 | 対象車種 | 検査項目数 |
3ヶ月点検 | ・事業用車両(バス、タクシー、トラック、レンタカー) | ・一般車両:51項目 |
6ヶ月点検 | ・乗用レンタカー | 24項目 |
12ヶ月点検 | ・自家用車(普通車) | 27項目 |
24ヶ月点検 | ・自家用車(普通車) | 57項目(12ヶ月点検の27項目+30項目) |
一方、一般の自家用車は12ヶ月点検と24ヶ月点検が法定点検として定められており、これらを適切に実施すれば、安全な車両状態を維持できるでしょう。
12ヶ月点検で安心ドライブ!自動車保険の見直しも
12ヶ月点検により車両の状態を適切に管理することで、予期せぬトラブルや事故のリスクを軽減できます。
しかし、点検だけでは万が一の事態に備えることはできません。
事故や故障が発生した際の経済的な負担を軽減するためにも、適切な自動車保険への加入が重要になってきます。
とくに、12ヶ月点検で車両の状態を把握したタイミングは、現在加入している保険の補償内容を見直す絶好の機会です。
車両の経年劣化や使用状況の変化に応じて、必要な補償範囲も変わってくる可能性があるためです。
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