対物賠償保険の補償範囲

 自動車事故で他人の財産に損害を与えた場合には、法律上の損害賠償責任を負います。対人賠償保険が“人”に対する賠償だったのに対し、こうした“物”に対する損害賠償責任を担保するのが対物賠償保険です。

対物賠償保険の意義

 交通事故を起こしてしまったとき、自動車同士であれば当然相手の自動車に損害があるでしょう。自分側に非がある場合は、相手車の修理費を請求されることになります。同様に、電柱やガードレールといった公共物を壊してしまった場合も賠償責任が生じます。さらに、店舗に車ごと突っ込んでしまったというような事故の場合、お店の修理代以外にも破損してしまった商品や、修理の間の休業損害に対する補償が必要となってきます。

 これらが少額で済むようであれば自分のヘソクリでなんとかなるかもしれませんが、対人賠償と同様、高額の場合は大変なことになります。そんな“他人の財物に損害を与えてしまった場合”に適用されるのが対物賠償保険です。

 強制保険である自賠責保険には、物損に対する補償は一切ありません。もし対物賠償保険に加入していない状態で交通事故を起こし、他人の財物に損害を与えてしまったら、それらは全額自己負担となってしまいます。下記にもある通り、物損事故でも億を超える請求をされることがあることを考えると、対物賠償保険も対人賠償保険同様、必ず加入すべき重要な保険だといえるでしょう。

【参考】交通事故高額賠償判決例(物損事故)

認定損害額

判決年月日

対象

2億6135万円

H6.7.19

積荷(呉服・洋服・毛皮)

1億3580万円

H8.7.17

店舗(パチンコ店)

1億2037万円

S55.7.18

電車・線路・家屋

1億1347万円

H10.10.26

電車

6124万円

H12.6.27

積荷

(出典/損害保険料率算出機構)

 なお、対物賠償保険の支払い限度額は、契約の際に決めた保険金額となります。「500万円」「1000万円」など限度額が決まっているものから「無制限」まで選ぶことが可能で、当然限度額によって保険料も変わってきます。

対物賠償保険の「直接損害」と「間接損害」

 対物賠償には、「直接損害」と「間接損害」があります。「直接損害」とは、その事故によって生じた損害そのもののこと。例えば、自動車や塀、ガードレールなどの修理費用、レッカー代などです。それに対し、「間接損害」とは何を指すのでしょうか。これは、事故がなければ当然得られるはずだった利益、事故によって失われてしまった将来の利益のことを表します。

 自動車事故の相手がバス・タクシーだった場合や、商店などの店舗だった場合は、修理の間は休業を余儀なくされ、修理代以外にも損害を被ることになります。また、店舗の場合はその間の従業員の給与なども対象になります。対物賠償には、こうした休業損害など逸失利益に対する補償も含みます。そのため、商用車や商業施設に対する損害は賠償額が高額になる傾向にあるといえます。

対物賠償保険の補償範囲

 対物賠償保険で補償される範囲は、対人賠償保険と同様、「他人」の財物に限られます。以下の人が使用・所有・管理している財物は補償の対象外となるので注意が必要です。

 自分や配偶者などの車および物の損害、例えば追突事故を起こしてしまった際の自分の車の修理費などは対象外となります。また、自宅での車庫入れに失敗し、自分の車だけでなく、自宅の壁や門柱などを破損してしまったような場合も、保険金は支払われません。

対物賠償保険で補償されるのは、自分自身の過失だけ

 対物賠償保険で、相手に支払われるのは自分自身の過失割合の相当額のみです。相手に対する「賠償責任」のため、相手の過失分に関しては支払う必要がありません。

 例えば自動車同士の事故で、相手方の損害額が500万円というとき、過失割合が50対50の場合に相手に支払われるのは250万円。また、自分の過失が大きく過失割合が80対20(自分の過失割合が80%)の場合は、500万円×0.8=400万円となり、相手への賠償額は400万円となります。

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自動車保険選びのポイント

任意保険には、対人・対物賠償や人身傷害補償、車両保険などさまざまな種類があります。事前にチェックして重視する補償を決めることが大切です。

自動車保険会社は、ダイレクト系と代理店系の2つに大きくわけられます。双方のメリット・デメリットをきちんと踏まえて選びましょう。

人身事故の最高賠償金額は約5億円。物損事故でも約3億円にのぼるケースがあります。まずは実際の事故事例を見て任意保険の必要性を知りましょう。

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