台風の損害で自動車保険は使える?補償対象や備えに役立つ特約を解説

台風の損害で自動車保険は使える?補償対象や備えに役立つ特約を解説

近年、大型台風による被害の発生を目にする中で、車の台風対策を考えている人も多いのではないでしょうか。台風は、人や家屋だけでなく、車にも大きな損害をもたらすことがあります。
ここでは、台風によって車が被る可能性がある損害どのように備えればいいのか備えとして車両保険を利用する場合に知っておきたいポイントについて解説します。

mokuji目次

  1. 台風による車への損害はどのようなものがある?
    1. 強風が原因の飛来物による損傷
    2. 強風による横転
    3. 道路の冠水や川の氾濫などによる水没
    4. 土砂崩れによる被害
  2. 台風による自分の車への損害は、車両保険で補償される
  3. 車両保険で台風に備える上で知っておきたいポイント
    1. 他人への車の損害は補償の対象にならない
    2. 損害の度合いによって保険金額が変わる
    3. 車両保険を使うと等級が下がる
  4. 台風に備えて入っておくと安心な自動車保険の特約
    1. レンタカー費用特約
    2. 車内手荷物等特約
    3. 全損時諸費用保険金特約
  5. 車両保険と特約で、台風による車の損害に備えよう

台風による車への損害はどのようなものがある?

台風による車への損害はどのようなものがある?

台風によって車が被る損害は、さまざまなものがあります。台風の規模や駐車している場所によっては、思いがけない被害が発生することもあるため、どのような損害が想定されるかを確認しておきましょう。

強風が原因の飛来物による損傷

台風の際、強風によって、看板や屋根瓦、ガレージの屋根、石などが吹き飛ばされ、車にぶつかって傷付くことがあります。飛来物による損傷は、ボンネットやルーフに起こることが多いです。

強風による横転

車の運転中に思わぬ強風を受けたり、樹木や電柱が倒れるぐらいの強風の中を運転したりした場合、横転事故が発生することがあります。風速25m/s以上になると通常の速度で車を運転することが困難になり、風速35m/s以上の環境下では、トラックでも横転事故が起こる可能性があります。

道路の冠水や川の氾濫などによる水没

台風による道路の冠水や河川の氾濫などに巻き込まれると、マフラーなどから水が入って車が動かなくなってしまうケースがあります。周辺の道路よりも低くなっている区間(アンダーパス)を通過する際なども、水没のおそれがあるため注意が必要です。

土砂崩れによる被害

台風による雨で地盤が緩むと、土砂崩れが起こることがあります。駐車または走行中の場所によっては、車が土砂崩れに巻き込まれてしまい、結果として命に関わる場合もあります。

台風による自分の車への損害は、車両保険で補償される

台風による飛来物や横転、水没、土砂崩れなどで生じた車の損害は、任意の自動車保険のうち「車両保険」に加入していれば補償されます。
車両保険は、契約車両が受けた損害を補償する保険です。事故で自分の車が壊れたときのほか、火災や爆発、台風、竜巻、洪水などによって損害を受けた場合も補償の対象となっています。

車両保険には、補償範囲の広い「一般型」と、補償範囲を限定する代わりに保険料を抑えた「エコノミー型」の2種類があります。両タイプの補償範囲は、保険会社によって多少の違いがありますが、台風による損害については、一般型とエコノミー型のどちらであっても補償対象です。

車両保険で台風に備える上で知っておきたいポイント

車両保険で台風に備える上で知っておきたいポイント

台風による自分の車への損害は、車両保険に入っていれば補償対象となります。しかし、車両保険を使う上では、いくつか気をつけたいことがあります。いざというときに困らないよう、下記の3点について確認しておきましょう。

他人への車の損害は補償の対象にならない

車両保険の補償対象は、自分の車が受けた損害に限定され、台風の影響で自分の車が他人の車に与えた損害などは対象外です。例えば、下記のようなケースはすべて補償対象外になります。

<車両保険の補償対象外となる例>

  • 駐車していた自分の車が台風の強風にあおられて、ほかの車両にぶつかって傷をつけた
  • 自宅の屋根瓦が台風の強風で飛んで、ほかの車両にぶつかり傷をつけた
  • 自宅のガレージの屋根が台風の強風で飛んで、人にぶつかりケガをさせた

損害の度合いによって保険金額が変わる

台風により車が損害を受けた場合、損害の度合いによって支払われる保険金額は変わります。
損害の度合いは、「分損」と「全損」に分けられます。分損とは、車の修理が可能で、修理代金が車両保険金額の支払限度額を下回る状態です。一方、全損とは、車の修理が不可能な状態か、修理しても修理代金が車両保険金額の支払限度額を上回る状態を指します。

分損の場合
分損の場合、支払われる保険金は、実際の修理費用から車両保険契約時に設定した自己負担金(免責金額)を差し引いた額になります。例えば、修理費用が50万円、自己負担金が10万円の場合、支払われる保険金は50万円−10万円=40万円です。

全損の場合
全損の場合は自己負担金額にかかわらず、車両保険金額の全額が支払われます。
例えば、車両保険金額が100万円、修理代金が150万円の場合、自己負担金にかかわらず、支払われる保険金は車両保険金額の全額である100万円です。

車両保険を使うと等級が下がる

自動車保険は、「ノンフリート等級」という1等級から20等級で区分される等級に応じて保険料の割引率・割増率が決まり、等級の数字が大きいほど保険料が安くなります。
初めて自動車保険に加入する場合は、原則6等級からスタート。自動車保険の契約期間中、自動車保険を使わずに過ごせば翌年に等級が上がり、自動車保険を使った場合は事故内容に応じて等級が下がるという仕組みです。

また、7等級以上で自動車保険を使った場合は、事故内容に応じて「事故有係数適用期間」が1〜3年間追加されます。同じ等級でも事故有係数適用期間は、保険料が割り増しになるのです。
台風による損害で車両保険を使った場合、翌年のノンフリート等級が1等級下がり、1年間の事故有係数適用期間が追加されるので、翌年の保険料が上がります。

例えば、現在20等級で事故有係数適用期間なしの人が台風による損害で車両保険を使った場合、等級と保険料の割引率は次のように変化します。

台風による損害で車両保険を使った場合の等級・保険料割引率の変化

等級

保険料割引率

現在

20等級・事故有係数適用期間なし

63%

1年後

19等級・事故有係数適用期間1年

50%

2年後

20等級・事故有係数適用期間なし

63%

※1回のみ車両保険を使った場合

なお、保険料の負担増を懸念して車両保険を使わなかった場合、修理費や保険料の額によっては、車両保険を使った場合よりも自己負担額が大きくなることもあるので注意が必要です。
車両保険を使うか自費で修理を行うか、どちらが負担を軽減できるのかしっかり確認しましょう。

台風に備えて入っておくと安心な自動車保険の特約

台風に備えて入っておくと安心な自動車保険の特約

車両保険は、オプションで特約を付加することができます。名称や補償内容は保険会社により多少異なりますが、次のような特約を追加しておくと、台風によって損害を受けた際に役立ちます。

レンタカー費用特約

レンタカー費用特約は、事故で契約車両の修理が必要になった場合に、レンタカーを借りる費用を補償するものです。契約時に金額、期間、支払限度日額を設定しておき、実際にレンタカーを使用した日数に応じて保険金が支払われます。

車内手荷物等特約

車内手荷物等特約(車内外身の回り品補償特約)は、車に積んでいた荷物が破損や盗難に遭った際に、その損害を補填する保険です。台風によって車載物が損害を受けた際、保険金額を限度として保険金が支払われます。

全損時諸費用保険金特約

全損時諸費用保険金特約は、車が全損扱いになった場合に、廃車や車の買い替えにかかる諸費用として保険金が支払われるものです。支払われる保険金の額は実費ではなく一律で、車両保険の10%(20万円限度)としている保険会社が多くあります。

車両保険と特約で、台風による車の損害に備えよう

台風によって車が受ける損害には、飛来物による損傷、河川の氾濫などによる水没、強風による横転、土砂崩れへの巻き込まれなど、さまざまなものがあります。契約車両に対する損害は車両保険の補償対象になりますが、保険を使うと翌年の保険料が上がるといったデメリットもあります。
また、車両保険と特約で万が一の事態に備えられるとはいえ、台風による車の損害が出ないに越したことはありません。強風による横転や冠水場所に入り込んでの水没リスクを避けるためにも、台風が来ているときは、運転を控えるのが一番です。河川の氾濫などのおそれがある場合は、できる限り早い段階で車を高台に移動させておきましょう。

なお、車両保険やその特約の内容は保険会社によって異なるため、保険会社をしっかりと比較検討することが大切です。
オリコンでは、日本最大級の規模で調査を行い、毎年「自動車保険 オリコン顧客満足度ランキング」を発表しています。商品内容の充実さや事故対応、ロードサービスの充実さなどのランキングを確認することもできるため、保険会社選びの参考にしてください。
オリコン日本顧客満足度ランキングの調査方法について

\ 14,015人が選んだ /
自動車保険ランキングを見る