増税後の投資、初心者が気を付けるポイントは? “株主優待名人”桐谷さん直伝「注意点&ヒント」

 株主優待生活で話題の“桐谷さん”こと桐谷広人氏が、投資初心者向けの連載『教えて桐谷さん「投資のイロハ」』をスタート! 第1回目は、消費税8%UPを踏まえて「増税と投資」をテーマに展開。消費増税後で経済動向が見えにくく、先行きが不透明ないま、どんな方法で銘柄を選べばいいの? など、投資にまつわる疑問や不安を、桐谷氏が分かりやすくアドバイスします! 増税は投資家にとって吉か凶か? 投資初心者が陥りがちな落とし穴と、プロが教えるうま味とは。

増税後の投資、初心者が注意した方がいいことは?

 現状は、1987年のブラックマンデー以来26年ぶりに外国人投資家が日本株を、週ベースで売り越しているそうです。外国人は一貫して、日本株が安いときは買い越し、高いときは売り越します。つまり、今は日本株が高値圏にあるとも言えます。こういうときに、さらに値上がりする株式を買うのは難しいものです。
 また、銘柄を一点に絞って投資してしまうと、万一、その銘柄を発行する企業が倒産したら、価値がゼロになってしまいます。私は実際、そんな経験もしているので、「値上がりを狙った銘柄を一点だけ購入!」といったことは避けたほうが無難だと思いますね。

あなたは大丈夫? 投資初心者がやってはいけない“3つのこと”
1)儲かる株、値上がりする株を探す
 持っている銘柄が値上がりすると、もっともっと上がる! と、人間はついつい妄想してしまいがちですね。しかし、そんなわけないんです! 気が付くと、買った株価より値が下がっていたということはいくらでもあります。昔は私も「儲かる株、儲かる株……」と、いわゆる“狩猟型”の投資に走っていましたが、結果、リーマンショックで大損をしました。新聞などで「これは!」という材料を見つけた時などには、その株はすでに値上がっています。素人で値上がりする株を見つけようとすることは、そう簡単なことではないのです。


2)一点集中買いをする
 株式投資での一点買いは相場が上がっていようが、下がっていようが、今のような先行き不透明なときでも、私はオススメしません。株価が下がり出し始め、あれよあれよ、という間に株価が半分、4分の1……、気がついたときには倒産ということも、私は1度ならずと経験しています。高額な銘柄で一点買いをして、こうした目に会ったら、とんでもないことになりますよ。


3)高配当の裏付けを取らない
 配当が高い銘柄を選ぶことはいいことなのですが、すぐに飛びつくのは危険です。高配当の銘柄の中には、前回配当を出した後に、急激に業績が下がり、結果、高配当のように見えている銘柄もあります。買う前には必ず業績の確認をしてください。

増税の影響なし! 増税時こそ株価下落に強い「株主優待」

 今の日本株について、私は「高値圏」だと思っています。ですから、私自身はほとんど株を買っていません。高値圏で買うと、今が高いわけですから、このあと、なにかのタイミングで市場が下がり出すと、多くの株が一斉に値下がり始めます。

 しかし、買える株がないかというと、そういうわけでもありません。私自身、以前は値上がり株を狙って探す“狩猟型株式投資派”でした。しかし、その結果、株式市場が大幅に下がったリーマンショックのときに、大損をしてしまいました。それ以来、市場が上がろうが下がろうが、『株主優待』といううま味を確実に得られる「株主優待付き銘柄」を買う“農耕派株式投資派”にくら替えしたのです。

 株主優待とは、保有している銘柄の会社から、年に1度か2度、自社製品や金券、米など決められたプレゼントが届くもの。必ずもらえるので、市場の上げ下げは関係ありません。これなら、多少、株価が下がっても、気にせずに銘柄を保有し続けられますし、株価が下がっても不安になってドキドキと心配することもありません。

増税時に狙いたい「株主優待付き銘柄」の見分け方とは

  • 【画像】「ここがポイント」と指を指す桐谷広人さん

 

 私がオススメする狙い目銘柄は、【株主優待があり、配当もしっかりある銘柄】です。ネット証券に口座を開くと、“株主優待付き銘柄コーナー”のようなページがあり、そこで検索すると株主優待付き銘柄が一覧で表示されるので簡単に調べられますよ。

 ただ、株主優待付き銘柄は1000銘柄以上ありますから、その中から選ぶ場合、配当が高いものをピックアップするといいでしょう。株主優待がもらえるうえに、配当もしっかりもらえれば、一石二鳥だからです。
≪桐谷氏が伝授する“狙い目の銘柄の見分け方”≫

<ポイント1> 高配当である
 現在の日経平均株価225種の平均配当利回りが約2%のため、これを超える数値の銘柄は高配当銘柄といっていいですね。ネット証券にはスクリーニング機能がありますので、それらを利用すると簡単に見つけられます。例えば4%以上と条件を入力すると、該当銘柄だけ表示されるわけです。

<ポイント2> 割安に放置されている
 高配当銘柄というのは、配当のわりに株価が安いために、結果、高配当になっていることが多いです。つまり、割安に放置されている銘柄ということがいえます。しかし先ほどの注意点のように、中には高配当に見えるけれど、急激に業績が下がってしまったためやむを得なく、という場合がありますので、そうした銘柄を選ばないようにしてください。

<ポイント3> 10万円以下の安い価格で購入できる
 投資初心者が、いきなり「1単元50万円」や「〜100万円」といった高額な銘柄を購入するのは、ハードルの高いものです。10万円以下で買える株主優待付き銘柄を5〜10銘柄に分散して購入することをオススメします。ネット証券の中には、10万円以下の取引なら売買手数料無料というところもありますので、よりお得です。

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【桐谷さん直伝! これで安心、投資を楽しむ方法まとめ】
  • 【画像】「これで安心」とピースサインをする桐谷広人さん

(1)先行き不透明の今こそ、株主優待付き銘柄に投資しよう!

(2)株主優待付き銘柄は高配当のものを選ぶと、優待+配当がもらえてよりお得!

(3)まずは10万円以下の銘柄からスタート! 高額な1銘柄への投資は危険なので、価格が安い5〜10銘柄に分散投資しよう!
“今月の桐谷さん”
桐谷氏の“イチオシ”株主優待付き銘柄を、毎回ご紹介します! 今月末に権利確定を迎える銘柄の中から、桐谷氏が選んだのはこの銘柄!!

【伊藤園】
桐谷氏コメント:伊藤園には「普通株」と「優先株」があり、私は優先株を保有しています。優先株というのは議決権がない代わりに、配当が普通株より高く設定されているんですよ。伊藤園の場合は25%割増しです。普通株より株価が安いのに、優待品に差がありません。利回り重視の方におすすめです。
■銘柄データ
必要最低投資金額:約18万円/上場市場:東証1部/コード:25935/売買単位:100株/株価:1842円(4月10日時点)/配当利回り:2.58%(2014年4月末時点の年間配当予想にもとづく)
※データは優先株の情報、株価は該当日終値
※注意点:株主優待付き銘柄を買って、優待をもらうためには「権利確定日」に株主名簿に載っていることが大前提。名簿に記載されるまで、中2営業日かかるので、売買は3営業日前の「最終売買日」に済ませておきましょう。


【プロフィール】
桐谷広人(きりたにひろと)
1949年生まれ。広島県出身。元プロ棋士七段で、2007年に引退。その後は、所有する優待銘柄をやりくりして生活費をまかなうという“異色のライフスタイル”と、明るい人柄がテレビなどで取り上げられ話題に。著書に『桐谷さんの株主優待生活』(KADOKAWA角川書店)、『桐谷さんが教える はじめての株主優待』(総合法令出版)などがある。


※今回の特集内で紹介している株価データや企業情報は2014年3月末現在のものです。変更されている場合もありますので、ご注意ください。
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