増税後の投資、初心者が気を付けるポイントは? “株主優待名人”桐谷さん直伝「注意点&ヒント」
増税後の投資、初心者が注意した方がいいことは?
また、銘柄を一点に絞って投資してしまうと、万一、その銘柄を発行する企業が倒産したら、価値がゼロになってしまいます。私は実際、そんな経験もしているので、「値上がりを狙った銘柄を一点だけ購入!」といったことは避けたほうが無難だと思いますね。
1)儲かる株、値上がりする株を探す
持っている銘柄が値上がりすると、もっともっと上がる! と、人間はついつい妄想してしまいがちですね。しかし、そんなわけないんです! 気が付くと、買った株価より値が下がっていたということはいくらでもあります。昔は私も「儲かる株、儲かる株……」と、いわゆる“狩猟型”の投資に走っていましたが、結果、リーマンショックで大損をしました。新聞などで「これは!」という材料を見つけた時などには、その株はすでに値上がっています。素人で値上がりする株を見つけようとすることは、そう簡単なことではないのです。
2)一点集中買いをする
株式投資での一点買いは相場が上がっていようが、下がっていようが、今のような先行き不透明なときでも、私はオススメしません。株価が下がり出し始め、あれよあれよ、という間に株価が半分、4分の1……、気がついたときには倒産ということも、私は1度ならずと経験しています。高額な銘柄で一点買いをして、こうした目に会ったら、とんでもないことになりますよ。
3)高配当の裏付けを取らない
配当が高い銘柄を選ぶことはいいことなのですが、すぐに飛びつくのは危険です。高配当の銘柄の中には、前回配当を出した後に、急激に業績が下がり、結果、高配当のように見えている銘柄もあります。買う前には必ず業績の確認をしてください。
増税の影響なし! 増税時こそ株価下落に強い「株主優待」
しかし、買える株がないかというと、そういうわけでもありません。私自身、以前は値上がり株を狙って探す“狩猟型株式投資派”でした。しかし、その結果、株式市場が大幅に下がったリーマンショックのときに、大損をしてしまいました。それ以来、市場が上がろうが下がろうが、『株主優待』といううま味を確実に得られる「株主優待付き銘柄」を買う“農耕派株式投資派”にくら替えしたのです。
株主優待とは、保有している銘柄の会社から、年に1度か2度、自社製品や金券、米など決められたプレゼントが届くもの。必ずもらえるので、市場の上げ下げは関係ありません。これなら、多少、株価が下がっても、気にせずに銘柄を保有し続けられますし、株価が下がっても不安になってドキドキと心配することもありません。
増税時に狙いたい「株主優待付き銘柄」の見分け方とは
私がオススメする狙い目銘柄は、【株主優待があり、配当もしっかりある銘柄】です。ネット証券に口座を開くと、“株主優待付き銘柄コーナー”のようなページがあり、そこで検索すると株主優待付き銘柄が一覧で表示されるので簡単に調べられますよ。
ただ、株主優待付き銘柄は1000銘柄以上ありますから、その中から選ぶ場合、配当が高いものをピックアップするといいでしょう。株主優待がもらえるうえに、配当もしっかりもらえれば、一石二鳥だからです。
現在の日経平均株価225種の平均配当利回りが約2%のため、これを超える数値の銘柄は高配当銘柄といっていいですね。ネット証券にはスクリーニング機能がありますので、それらを利用すると簡単に見つけられます。例えば4%以上と条件を入力すると、該当銘柄だけ表示されるわけです。
<ポイント2> 割安に放置されている
高配当銘柄というのは、配当のわりに株価が安いために、結果、高配当になっていることが多いです。つまり、割安に放置されている銘柄ということがいえます。しかし先ほどの注意点のように、中には高配当に見えるけれど、急激に業績が下がってしまったためやむを得なく、という場合がありますので、そうした銘柄を選ばないようにしてください。
<ポイント3> 10万円以下の安い価格で購入できる
投資初心者が、いきなり「1単元50万円」や「〜100万円」といった高額な銘柄を購入するのは、ハードルの高いものです。10万円以下で買える株主優待付き銘柄を5〜10銘柄に分散して購入することをオススメします。ネット証券の中には、10万円以下の取引なら売買手数料無料というところもありますので、よりお得です。
(2)株主優待付き銘柄は高配当のものを選ぶと、優待+配当がもらえてよりお得!
(3)まずは10万円以下の銘柄からスタート! 高額な1銘柄への投資は危険なので、価格が安い5〜10銘柄に分散投資しよう!
桐谷氏コメント:伊藤園には「普通株」と「優先株」があり、私は優先株を保有しています。優先株というのは議決権がない代わりに、配当が普通株より高く設定されているんですよ。伊藤園の場合は25%割増しです。普通株より株価が安いのに、優待品に差がありません。利回り重視の方におすすめです。
必要最低投資金額:約18万円/上場市場:東証1部/コード:25935/売買単位:100株/株価:1842円(4月10日時点)/配当利回り:2.58%(2014年4月末時点の年間配当予想にもとづく)
※データは優先株の情報、株価は該当日終値
桐谷広人(きりたにひろと)
1949年生まれ。広島県出身。元プロ棋士七段で、2007年に引退。その後は、所有する優待銘柄をやりくりして生活費をまかなうという“異色のライフスタイル”と、明るい人柄がテレビなどで取り上げられ話題に。著書に『桐谷さんの株主優待生活』(KADOKAWA角川書店)、『桐谷さんが教える はじめての株主優待』(総合法令出版)などがある。