iDeCo(イデコ)のおすすめ金融機関は?3つの選び方のポイントで比較
金融機関選びのポイント@ 手数料
iDeCo手数料の仕組み
「国民年金基金連合会」(iDeCo実施機関 手数料の設定額は、どの金融機関を選んでもほぼ同額
「信託銀行」(事務管理) 手数料の設定額は、どの金融機関を選んでもほぼ同額
「金融機関」(運営管理機関) 手数料の設定額は、会社ごとに異なる
これはなぜかというと、そもそもiDeCoの運営には、実施者である「国民年金基金連合会」、資産管理をする「信託銀行」、運営管理機関である「金融機関」の3機関が関わっており、手数料の支払い先もこの3つの機関になるからだ。
「国民年金基金連合会」と「信託銀行」へ支払う手数料は、どの金融機関を選んでも同額料金がかかるが、「金融機関」の手数料は、料金の設定が会社ごとに異なる。つまり、「手数料を安く抑える」ためには、金融機関に支払う手数料に着目すればいい。
各金融機関が独自に設定する「運営管理手数料」に注目
加入時、運用中、給付時の基本的な手数料
加えて、金融機関が独自に設定している「運営管理手数料」を毎月支払う必要があるが、金融機関ごとに手数料の設定額が異なってくるので、加入時にはまずここを比較していきたい。
高くても数百円程度だが、できれば無料の金融機関を選びたいところだ。というのも、掛け金から手数料を引かれた額が実際の積立金額となるからだ。
また、そのほかにも金融機関を変更する際の「移換手数料」や「還付金(国民年金の未納月は掛け金拠出できないため、その月の掛け金が払い戻しされる場合などの返金のこと)」受け取り時の手数料も金融機関によって変わるので、こちらについても確認した上で検討しよう。
投資信託を運用する場合は、信託報酬にも注目
「元本確保型」は預貯金や保険商品のことで、確実に貯める貯蓄に向いているが、預けてもほとんどお金は増えないというデメリットもある。“お金を増やす商品”を運用したいと考えるなら、投資信託などの「価格変動型」を選ぼう。
ただし、投資信託を運用するには、上で述べた手数料とは別の手数料がかかる。これは、「信託報酬」といわれる運用管理手数料で、保有中はずっと支払い続けることになる。
この費用は投資信託の資産の中から差し引かれるのだが、その割合は運営管理機関のホームページや、取り寄せた資料の商品一覧などから確認できる。運営管理機関によって取り扱う投資信託のラインアップは異なるので、例えば“日本株のインデックスファンド”など同じカテゴリーの商品で信託報酬を比べてみるといいだろう。
金融機関選びのポイントA 商品ラインナップ
ちなみに2021年3月末時点でのiDeCoの運用商品選択状況を見ると、「預貯金」が約31%、「保険商品」が約13%なのに対して、「投資信託」等で運用している人は約55%と、投資信託を選択する人が大半となっている。
どの商品を運用するかで注意するポイントも変わるので、しっかりチェックしよう。
「元本確保型」商品は、手数料やペイオフに注意
元本確保型商品では、元本割れすることが原則ない代わりに、リターンも少ないというデメリットがある。そのため、定期預金につく利息よりも、iDeCoの手数料の方が高い場合は、差し引きでマイナスになってしまうこともあるからだ。さまざまな金融機関を確認し、手数料ができるだけ低い所を選ぶようにしよう。
また、定期預金を選ぶ場合には、今自分が持っている金融機関とは異なる金融機関を選びたいところ。なぜなら、「ペイオフ」といって、万一金融機関が破たんした場合に、元本1,000万円とその利息が保護される預金保険制度があり、iDeCoでの預金も同様の扱いになるからだ。
通常の預金とiDeCoでの預金は合算されて計算されるため、通常の預金が多い人は、iDeCoでは別の銀行を選ぶのがいいだろう。
投資信託は「バランス型」か「投資信託組み合わせ型」かの選択が決め手
投資信託を買い付ける際には「バランス型1本」か「いろいろな投資信託を買いたい」かによって、おすすめの金融機関は異なる。
「バランス型」の投資信託とは、それ1本で、国内や海外の株、債券など幅広い金融商品に分散させて投資するもの。これを選ぶ場合は、自分が欲しいと思うバランス型の投資信託を扱っている金融機関を選ぼう。
なぜならバランス型といっても、いろいろな資産が均等に入っているものもあれば、「国内の株が多めで、海外の株は少なめ」というように、配分が均等ではないものもあるからだ。どのような資産に投資しているか、中身についてしっかりチェックしてから選ぼう。
「いろいろな投資信託を買いたい」という人は、国内の株式に投資する投資信託を1本、海外の株式に投資するものを1本といった具合に、さまざまな投資信託を組み合わせることになるので、投資中級者に向いているといえる。
この場合、幅広い選択肢から選べるように、さまざまな投資信託を扱っている金融機関を選ぶのがよい。投資信託のラインナップが豊富なネット証券を検討してみよう。
金融機関選びのポイントB サポートサービス
・コールセンターの受付時間
・ホームページや管理操作画面
現在では、多くの金融機関が土日も対応しているiDeCo専用のコールセンターを設置している。ただし受付時間は金融機関によって変わるので、自分が利用可能な曜日・時間帯に対応しているかをチェックしよう。
また、ホームページや管理操作画面上で、調べたいことや選びたい操作がすぐに分かるようなデザインになっているかも、意外と重要なポイントだ。というのも、iDeCoで運用できる投資信託は価格変動型の商品なので、定期的に資産の状況をチェックしていくことが欠かせない。金融機関によっては管理画面のサンプル画像をホームページで閲覧できるので、事前にチェックしておくといいだろう。
そのほか、金融機関によっては無料のウェブセミナーなども開催しているので、積極的に運用管理していきたい人は、提供されるサポート内容が上手に使いこなせそうかも金融機関選択のポイントである。
老後までの長いお付き合いになるiDeCo。金融機関はじっくり考えて選ぶようにしよう。
監修者 市川雄一郎
生活者目線の自由なトークが持ち味。物腰やわらかで明快な講義は、全国に多数のファンがいる。グローバルファイナンシャルスクール校長。CFP(R)。1級ファイナンシャル・プランニング技能士(資産設計提案業務)。日本FP協会会員。日本FP学会会員。1969年生まれ。グロービス経営大学院修了(MBA/経営学修士)。日本のFPの先駆者として資産運用の啓蒙に従事。ソフトバンクグループが創設した私立サイバー大学で教鞭を執るほか、金融機関の職員や顧客に対する講義や講演も行う。「日本経済新聞」「日経ヴェリタス」「朝日新聞」「東洋経済」「週刊ダイヤモンド」などへの原稿執筆・コメント提供のほか、ラジオ日経などのメディア出演も多数。主な著書に『投資で利益を出している人たちが大事にしている45の教え』(日本経済新聞出版)がある。
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