ネット証券とIPO その概要と選び方のポイント
ただ、ネット証券を利用してから、これまで聞いたことがない専門用語が出てきて戸惑っている人もいるのではないでしょうか。ここでは、株式売買をしていると目にする機会が多い「IPO」について解説していきます。
IPOとはそもそも何か、IPOにはどのような魅力があるのか、IPOを利用するために有利なネット証券会社はあるのか、IPOの基本的な仕組みから実戦的な内容まで解説していきます。
初心者におすすめ!これだけは知っておきたいIPOの魅力
通常の株式取引でキャピタルゲイン(値上がり益)を狙うためには、企業の情報を調べ、一定期間保有してタイミングを図らなければなりません。一方IPOは、上場して取引が開始されるのではなく、上場前に公開価格で売却されます。この公開価格より、上場後につく初値の方が高くなることが多く、この点がIPOの魅力となっています。さらに上場後すぐに初値で売却する機会が訪れる手軽さも魅力です。
ただし、投資家であればだれもがIPOを購入できるわけではありません。多くの投資家のなかからIPOを購入できる人を選ぶための「抽選」が行われます。株式の売り出しにおいて元引受契約の内容を取り決め、販売等を行う会社を「幹事会社」と呼び、それら複数の幹事会社の代表を「主幹事」と言います。この主幹事となる証券会社は、他の引受会社に比べ購入可能な新規公開株数が多いため、購入できる可能性が高くなります。主幹事が取り扱うIPO株数は、全体の8〜9割を占めますのでよく確認しておきましょう。
これだけ魅力のあるIPOを「ぜひ、購入したい」と思った人も多いのではないでしょうか。それではIPO購入権の抽選方法について確認しておきましょう。IPOは主幹事の証券会社が仮の公開価格を設定します。この公開価格に対して、投資家が購入価格と購入株数を提示することでIPOの抽選が始まります。これを「ブックビルディング」と言います。このブックビルディングで最も多く提示された価格が公開株価となり、投資家の抽選が行われます。
IPOを手に入れられるかどうかは抽選ですが、当せん率をアップさせる方法があります。それは事前にIPOの主幹事となることが多い証券会社に口座を作っておき、それらの口座から申し込む方法です。ここで抽選方法の違いを理解しておく必要があります。抽選方法には公平性が担保された一人一票の「同率抽選」と、一口一票の「比例抽選」があります。比例抽選は、申込口数が多いほど当せんする確率が増えます。これから株式投資をしようという人は、同率抽選を行う証券会社がおすすめです。投資額に関わらず抽選機会が平等に与えられており、当せんする確率が比例抽選より多いためです。
IPOにおけるネット証券の選び方のポイント
証券会社【取扱銘柄数】※2017年3月15日時点で購入できるIPO株式数 | 参加手数料・購入時手数料/個人配分割合 | 事前入金/抽選方法・他 |
みずほ証券【6】 | 無料/10% | 必要/同率抽選 |
SMBC日興証券【6】 | 無料/10% | 必要/同率抽選 |
SBI証券【6】 | 無料/10% | 必要/同率抽選・IPOチャレンジポイント |
野村證券【3】 | 無料/10% | 必要/同率抽選 |
エース証券【3】 | 有料/10% | 不明(非公表)/同率抽選 |
カブドットコム証券【3】 | 無料/不明(非公表) | 必要/同率抽選 |
大和証券【2】 | 無料/15% | 必要/同率抽選・チャンス抽選 |
マネックス証券【2】 | 無料/100% | 必要/同率抽選 |
松井証券【1】 | 無料/不明(非公表) | 不要/同率抽選 |
楽天証券【1】 | 無料/不明(非公表) | 必要/比例抽選 |
岡三オンライン証券【0】 | 無料/10% | 不要/過去の取引実績別に同率抽選 |
GMOクリック証券【0】 | 無料/100% | 必要/同率抽選 |
年間を通して取扱銘柄数が多い証券会社は、総口座数も多く、募集人数も多い可能性があります。取扱銘柄数をベースに、再抽選の機会がある証券会社などを選択することで当せん機会が増えることにもなるでしょう。
しかし一方では、上場したばかりで、これからどのように成長していく企業なのか不透明な点があります。また、過去のIPOの初値が必ず値上がりしているとは言えません。株式投資ですので元本割れリスクを想定しつつ、無理のない範囲で投資するようにしましょう。