投資歴30年の桐谷さんが解説! 一歩先行く“先読み”投資術「ポイントと落とし穴」

 株主優待生活で話題の“桐谷さん”こと桐谷広人氏が、投資初心者向けて株取引の“イロハ”を指南する連載『教えて桐谷さん「投資のイロハ」』。第5回目は、投資家なら誰もが夢見る“先読み投資法”をクローズアップ! 今後の市場予測は? 今買って、数年後に株価上昇が期待できる銘柄の選び方とは……などなど、先読み投資のポイントから、初心者が陥りがちな落とし穴まで、桐谷氏が徹底解説!
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投資歴30年の“眼力”で勝負! 先読み投資力を鍛える5つの方法

  • <桐谷さん画像>紙切れになった株券を持ち苦笑いをする、株主優待で話題の桐谷さんこと桐谷広人氏。“先読み投資力”を鍛える方法を解説!

 長い投資家生活の中で、バブル崩壊にリーマンショックと2度の大敗など、幾度も痛手を乗り越えてきた桐谷氏だからこそ、「市場予測はどんなに投資をしていても分からないもの」と、頭を掻きながら苦い笑い。
 しかし、その手痛い経験をバネに、いまは“独自のルール”でチャート分析からトレンドをチェックしているそう。今や現金0円生活を実践するほどの優待名人となった“桐谷流・銘柄先読み術”とは。
【初心者でもできる「先読み投資力を鍛える方法」5つ】

(1)新設株主優待の株価の流れをチェック
「優待新設の発表をした日は必ず朝が最高値を記録し、その後下がるという法則があります。これは、株主優待が新設されるというと、“優待族”と呼ばれる投資家が、朝一番から成行で買いを入れるため。その後、しばらくすると、優待新設を知らなかった人たちが買い注文を入れてきますので、株価はまた徐々に上昇します。ですから、上がって下がるという流れの後が買いのチャンスといえますね」

(2)適時開示情報閲覧サービスを利用する
「優待新設といった新しい情報は、投資家ブログや口コミで知らなくとも、東証が開示している『適時開示情報』でも確認ができます。私がこのサービスを知ったのはここ3〜4年で、以前は新聞や人のブログで情報見ながら調べていたので便利ですよ。【検索要件】という項目に優待と入力すると、全ての優待新設、廃止変更が調べられます。ここを見ていて思うことは、クオカードや食事券など、“実際に使えるもの”が優待品になると株価が上がりますね。これから株を始める人は、開示情報で優待を検索してから優待銘柄を選ぶことをオススメします」

(3)チャートの動きに注目し“とにかく安いところ”で買う
「毎日、チャートは見るようにしましょう。私は自分がずっと注目していて“安いな”と感じた時に買うようにしています。でも、買いたい! と思ってもすぐには買わず、本当に安いなというところまで待っているというのが基本ルール。半年ほど待つこともあります」

(4)買いのチャンスは“割安&落ち目”
「みんなが買っているときは買わないで、誰も見向きもしなくなった時がチャンスです。例えば、NTTは上場してから大人気となり、あっという間に318万円まで上がりました。その後、人気凋落で10分の1まで下がりました。最近は60万円ぐらいですが、30万円台の時にコツコツと買っていれば十分儲かっているはずです。と、言うのは簡単なのですが、なかなか実践できない(笑)。人気があるときは自分も買いたくなって高値掴みするし、人気がないときは見向きもしないというのが常ですね」

(5)株主総会での“幹部の様子”が、今後の動向の鍵!?
「株主総会に出席したとき、見ておきたいのは“幹部の様子”。意外と参考になります。前社長で会長も引退した人が復活したら、実際業績も戻ってきたという話や、幹部が優秀だと業績も良くなる可能性が高いという傾向もあります。優待族の人のブログを見ると、株主総会に行ったけども社長があまり冴えない人だった、など“生の声”が書かれていますので、株主総会になかなか参加できない人はぜひチェックしてみてください」

【アパレルに自動車部品メーカーまで! 今選ぶべき3つの注目“先読み株”】

第1位 三陽商会(東証1部/8011)
 アパレル業界の老舗メーカー。バーバリーとの提携が解消となり、手放した投資家も多いかと思います。会社の事業には痛手ですが、会社の優秀さを考えると次の手に期待できますので、私は保有していますよ。今は「割安に放置されている状況」といえるのではないでしょうか。

第2位 ファルテック(東証2部/7215)
 自動車部品メーカーの銘柄で、5月29日に優待新設、6月末に1株を3株にする「株式分割」実施することが発表されました。株式分割で1株が3分割されれば、1株あたり10万円台で買えるようになり、株主が増えて株価上昇につながると読み、翌日30日に購入しました。

第3位 オーイズミ(東証1部/6428)
 カジノ関連の銘柄ですが、カジノ法案の話題が出るたびにその期待感からか株価が上昇します。1400円台まで上昇したときもあります。今はじっと株価の動向をうかがっている状況です。

投資初心者が見逃しがちな「意外な落とし穴」と回避法

  • <桐谷さん画像>株主優待で話題の桐谷さんこと桐谷広人氏が“先読み投資”で陥りがちな5つの落とし穴と回避方法を解説!

 投資初心者ほど、新聞で話題になった銘柄や、誰もが知っている有名な銘柄などに目を奪われがちですが、結果、高値掴みをしてしまい、なかなか儲けられないということも…。株の世界には色々なうわさや、都市伝説のようなアノマリーが飛び交いますが、「投資にこれだ! というセオリーはない」と桐谷氏。ここでは、投資で陥りがちな落とし穴と、その回避策を伝授してもらいます。


【5つの落とし穴と回避方法】

1:根拠のない噂や情報に惑わされる

解説&アドバイス

解説&アドバイス

以前「シャープ」の株価がものすごく高いころ、「デジタルが良い」、「液晶が良い」などとにかく色々と言われていましたね。でも、それだけを鵜呑みにして買った人は、今、購入価格の何分の一にまでなったのではないでしょうか。私はこういう状況の時は買わないようにしています。

以前「シャープ」の株価がものすごく高いころ、「デジタルが良い」、「液晶が良い」などとにかく色々と言われていましたね。でも、それだけを鵜呑みにして買った人は、今、購入価格の何分の一にまでなったのではないでしょうか。私はこういう状況の時は買わないようにしています。

2:雑誌や新聞等の「推奨銘柄」を鵜呑みにする

解説&アドバイス

解説&アドバイス

新聞や雑誌を見てすぐ反応する人が多いようで、関連ニュースやオススメ銘柄が載ると、すぐに株価が上がったり下がったりします。新聞や雑誌は“古い情報”と考え、最新情報を確認してから購入しましょう。

新聞や雑誌を見てすぐ反応する人が多いようで、関連ニュースやオススメ銘柄が載ると、すぐに株価が上がったり下がったりします。新聞や雑誌は“古い情報”と考え、最新情報を確認してから購入しましょう。

3:株主優待付き銘柄だから“絶対安心”だと思い込む

解説&アドバイス

解説&アドバイス

株主優待は株価下落に強いなどメリットが多いのですが、中には東証2部から1部へ昇格というように、上のクラスへ昇格する、または株主数不足による上場廃止を免れるために、一時的に優待を付けて株主を集めている企業もあります。そういう企業は、株主数が昇格条件を満たして昇格した途端に優待を廃止・改悪することもあります。初めのうちは見極めが難しいと思いますが、たくさん見ていくと分かるようになってくると思います。また雑誌などで紹介されて、株主が殺到してしまって優待廃止というケースもありますので気を付けましょう。

株主優待は株価下落に強いなどメリットが多いのですが、中には東証2部から1部へ昇格というように、上のクラスへ昇格する、または株主数不足による上場廃止を免れるために、一時的に優待を付けて株主を集めている企業もあります。そういう企業は、株主数が昇格条件を満たして昇格した途端に優待を廃止・改悪することもあります。初めのうちは見極めが難しいと思いますが、たくさん見ていくと分かるようになってくると思います。また雑誌などで紹介されて、株主が殺到してしまって優待廃止というケースもありますので気を付けましょう。

4:手持ち資金ギリギリまで投資してしまう

解説&アドバイス

解説&アドバイス

相場状況が良くて、どの株もグングン上がっているときは、どんどん買いたくなりますが、暴落は忘れた頃にやってきます。バブル時も、誰もが「まさかこんなに下がるなんて」という感じでした。何が起こるか分かりませんので、現在は暴落に備えて、目一杯は買わないようにしています。

相場状況が良くて、どの株もグングン上がっているときは、どんどん買いたくなりますが、暴落は忘れた頃にやってきます。バブル時も、誰もが「まさかこんなに下がるなんて」という感じでした。何が起こるか分かりませんので、現在は暴落に備えて、目一杯は買わないようにしています。

5:インサイダー取引をしてしまう

解説&アドバイス

解説&アドバイス

もし私が“桐谷さんグッズ発売”情報を事前に知っていて、その企業の株を買うとします。これを『インサイダー』と言い、犯罪行為なので捕まってしまいます。このように取引先の新製品情報や内部関係者しか知らない情報を発表前に知っていて、その会社の銘柄を買うことはNGです。

もし私が“桐谷さんグッズ発売”情報を事前に知っていて、その企業の株を買うとします。これを『インサイダー』と言い、犯罪行為なので捕まってしまいます。このように取引先の新製品情報や内部関係者しか知らない情報を発表前に知っていて、その会社の銘柄を買うことはNGです。

【知らないと大問題! 株にまつわる“法律違反”とは】
 最後に株にまつわる法律を確認しておこう。知らないうちに犯罪行為していた!ということがないように、初心者は特に注意しよう。

■インサイダー取引
 情報が公開される前に、内部者として知っており、株価が上がるだろうと売買するのはインサイダー取引にあたる。これは証券取引法で禁止されており、違反すると罪になる。会社の従業員とその家族はもちろん、取引先、顧問弁護士や監査法人なども対象に含まれる。

■追加徴収
 株価が上がって買値より上がって儲けが出た際、儲けに対して2割の源泉徴収税が課される。100万円の儲けなら、実際の受取額は80万円になる。特定口座(源泉有り)以外は、毎年、損をしても儲かっても、確定申告をして、国に1年間の決算結果を報告しなければいけない。そのまま知らん顔でいると、追加徴収といった余計大きな出費につながる。
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“今月の桐谷さん”
桐谷氏の“イチオシ”株主優待付き銘柄を毎回ご紹介します! 今月末に権利確定を迎える中から桐谷氏が選んだのはこの銘柄!

【ビックカメラ】
桐谷氏コメント:おすすめ銘柄にたびたび挙がる人気銘柄です。100株以上500株未満で、2月に2000円、8月に1000円の買物優待券がもらえ、長期保有者は8月に2000円加算されます。家電だけでなく日用品にも、さらに「ビックロ」やネット通販でも優待を使える点がいいですね。「コジマ電気」と業務提携したので、全国規模で使えるようになった点も大きいです。
■銘柄データ
必要最低投資金額:約9万円/上場市場:東証1部/コード:3048/売買単位:100株/株価:897円(7月31日終値)/配当利回り:1.14%(2014年4月末時点の年間配当予想にもとづく)
※株価は該当日終値
注意点:株主優待付き銘柄を買って、優待をもらうためには「権利確定日」に株主名簿に載っていることが大前提。名簿に記載されるまで、中2営業日かかるので、売買は3営業日前の「最終売買日」に済ませておきましょう。

【プロフィール】
桐谷広人(きりたにひろと)
1949年生まれ。広島県出身。元プロ棋士七段で、2007年に引退。その後は、所有する優待銘柄をやりくりして生活費をまかなうという“異色のライフスタイル”と、明るい人柄がテレビなどで取り上げられ話題に。著書に『桐谷さんの株主優待生活』(KADOKAWA角川書店)、『桐谷さんが教える はじめての株主優待』(総合法令出版)などがある。4月下旬よりガチャガチャアイテム『桐谷さんの株主優待生活 クリーナーストラップ』(タカラトミーアーツ)が販売されている。

※今回の特集内で紹介している株価データや企業情報は2014年8月現在のものです。変更されている場合もありますので、ご注意ください。
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