【事故事例】高級車が破損したら… 賠償額はどう決まる?
<事例1>渋滞時、低速歩行の乗用車がランボルギーニに追突
【事故内容】
名神高速道路上の合流地点付近で、渋滞による低速走行のなか、乗用車がランボルギーニに追突。双方ともに損傷した。
【判決】
このスーパーカーの修理に必要となった費用は、約1106万円。社有車だったため、自社の任意保険から支払われたが、所有会社はさらに「車両の代車費用」や「評価損」など合計1575万円を乗用車側に求めて訴えを提起した。裁判所はこれを一部認め、乗用車側に約884万円の支払いが命じられた。
これに対し、控訴審では「修理費用の見積もり金額には疑わしい点が多く、信用できない」「この見積書が適正であることを前提に認定された代車費用、評価損、休車損等についてもすべて認めることができない」として、第一審判決を取り消した。
裁判では、事故時の衝撃は軽度だったとして修理費用の妥当性に疑問を呈され、事故原因が乗用車側の前方不注意であることは明白でも損害賠償金は0となりました。ただ、もし任意保険に加入していなかったら、修理費用は自腹となっていたはず。万が一に備え、補償が充実している保険に加入しておくことの大切さがわかる事例といえます。
<事例2>プロのロードレーサーが乗る貴重な自転車が破損
【事故内容】
京都府内の府道を自転車3台(A、B、C)が一列になって走行。五差路の交差点に差しかかったとき、乗用車が左方から進入しようとしているのが見えたが、停止していたため、3人はそのまま進行した。だが、乗用車は急発進、直後に急停止。これを先頭のAは寸前で避け、Bも急停止したが、Cは止まりきれずにBに追突。これにより、Bの自転車が損傷した。
【判決】
Bは乗用車のドライバーに対し、損傷した自転車の修理費用など約88万円を求める訴えを起こした。
実は、Bはプロのロードレーサーで、乗っていたのは全世界で限定20台のイタリア製の自転車だったため、裁判ではその価値について争われた。ドライバー側は「プロレーサーの自転車の耐用年数は1〜2年」と主張したが、事故までの間に2度しか乗っていなかったことなどから「一般の自転車と同等の5年」とされ、「減価償却率」や「新品価格」などを踏まえ、時価額は約74万円と算定。
また、適切な車間距離をとるようCに指示していなかったBにも落ち度があるとされ、過失割合をBが20%、乗用車のドライバーが80%と認定。ドライバー側には約65万円の支払いが命じられた。
新橋IT法律事務所 弁護士・谷川徹三氏
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