桐谷さんが教える『NISA(ニーサ)』活用術! 基礎知識から見る“買うべき銘柄”とは
NISA(ニーサ)の基礎知識から考える「賢い使い方」
これだけは覚えておこう「NISA基礎知識」
「NISA(ニーサ)は、1年間に100万円分までの投資にかかる売買益と配当が、最大5年間、非課税になります。これは、手取りが増えるので、投資家にとってうれしい制度。100万円の非課税枠は2023年までの10年間、毎年追加されます。ただ通常の証券口座と違い、他の口座との損益通算や株式移管はできないので、すでに複数の口座で取引をしている人は注意しましょう」
NISA口座 | 証券口座(特定・一般口座) | |
一人一口座 | 開設できる口座数 | 制限なし |
100万円まで | 1年間あたりの投資上限額 | 制限なし |
不可能 | 他口座との損益通算 | 可能 |
不可能 | 他口座からの株式移管 | 可能 |
不要 | 確定申告 | 口座の種類や取引状況によっては必要 |
「NISA口座でも、もちろん優待付き銘柄は運用できます。NISA(ニーサ)は「売買益と配当が非課税になる制度」であり、「株主優待品をもらうこと」とは、直接関係ありません。
ただし、株主優待銘柄はなるべく長期で保有するのが基本であり、配当も高いに越したことはありません。NISA口座で高配当の優待銘柄を保有すれば、配当金を非課税で受け取り、かつ優待品も手に入るので、メリットは大きいと思いますよ」
「分散投資」がおすすめ
「非課税枠の上限が年間100万円であるということは、投資額が1単元・50万円など、高い銘柄を選んだ場合は「2単元持てば、それで枠がいっぱい」ということです。適切な投資とはいえないですね。
そこで、NISA口座では10万円未満などの割安株を複数持って、株価が上がったら売却するといった利用法がオススメです。例えば、年間の投資が80万だった場合、未使用枠を次年に繰り越すことはできませんが、「100万円を使い切らなければいけない」ということでもありません。投資に不慣れな方なら、少額から始められては?」
・長期で保有するなら、高配当の株主優待銘柄を持ったほうが有利
・少額の分散投資がおすすめ! 株主優待付き銘柄でも、「値がさ株(株価が高い銘柄)」だと100万円の枠があっという間に埋まってしまうので、不向き
・10万円未満などの優待銘柄を複数持って、値上がり時に売却益も享受するのがベター。
NISA活用のカギを握る“買うべき銘柄”の特長
教えて桐谷さん!「NISAをフル活用したい!銘柄選びの“5つの疑問“」
「値がさ株を選んではダメですね。30万〜40万円というと、私の中ではもう高すぎます。1銘柄10万円前後を目安にしてみては」
Q2:NISAも分散投資を心掛けた方がいい?
「もちろん分散投資が基本。いくらNISAで非課税だといっても、1単元100万円の銘柄を買って、もし倒産したらそこで終わりです。それなら10万円以下で買える銘柄でリスク分散をしたほうが賢いですよ」
Q3:値上がりしそうな銘柄の特長は?
「実は高配当銘柄には、株価が割安に放置されている銘柄があります。業績がよくなったり、新製品が注目されたりして、一気に値上がりする可能性が高いものは結構多いんです」
Q4:お得な銘柄の特長は?
「やはり高配当+株主優待で総合利回りの高いものですね。たとえば、『TOKAIホールディングス』は最低投資金額3万6000円(売買単位/100株)。その場合、株主優待で1000円分のQUOカード(500円×年2回)と、配当が1株当たり12円あるとすると1200円もらえます。3万6000円の投資で2200円もらえることになり、利回りで換算すると6.1%になります。見逃す手はないですよね」
Q5: NISAで運用する銘柄も優待重視?
「そうとばかりも言えません。例えば、優待内容が良くても、成長性が乏しい企業は、値上がりの可能性が少ない傾向にあります。そんな時、配当が高くない銘柄なら、NISA口座ではなく、通常の証券口座で運用すれば十分。50万円など株価の高い銘柄も、NISA口座にこだわる必要はありません。ケースバイケースですね」
NISA口座開設までの4つのステップと5つの注意点
下準備:証券口座を開設する
NISA口座だけを開くことはできません。必ず総合口座とセットで開く必要があります。まずは最低3社くらいのネット証券に総合口座を開いて、比較してみるといいでしょう。総合口座を開設するのは無料ですし、取引で一番利用する「スクリーニング機能」などの使い勝手をよく調べてみてください。
【ココに注意!】
総合口座はいくつも開設できますが、NISA口座は一人一口座のみ。自分に合う証券会社選びはNISAに限ったことではありませんが、より重要になります。
STEP1:証券会社を選ぼう
“海外銘柄が強い”、“ノーロード投信が充実している”など、会社ごとの特長をよく理解しましょう。開設する証券会社で迷った場合は、口座開設をしただけでQUOカードがもらえるなど、キャンペーン内容で選ぶのも一つの手です。
STEP2:証券会社から申し込みに必要な書類を受け取ろう
証券会社でNISA口座を開くためには、まずネットで資料請求をして「口座開設キット」を入手します。書き損じることもあるので、2部請求しておくと安心ですよ。
STEP3:証券会社に書類を送ろう
書類が届いたら、必要事項を記入します。NISA口座開設の際は、住民票の写しが必要となるので、事前に市区町村の役所で取り寄せを。本人確認資料となる、免許証やパスポートのコピーの用意も必須です。
【ココに注意!】
NISA口座は、開設までに4週間程度かかります。書類に不備があった場合は差し戻しとなり、口座開設までさらに時間を要することも。投函前に、今一度チェックを!
STEP4:NISA専用口座が開設!商品を購入しよう
口座が開設できたら、お目当ての銘柄を購入してみましょう。ただし、焦って割高で購入しては身も蓋もありません。“安く買う”、“買えなかったらご縁がないと思って諦める”が私の信条。必ず、売買値を指定する「指値」注文機能を利用して、思い通りの値で買うことも重要です。
【ココに注意!】
「指値」にこだわり過ぎて、売買タイミングを失って損を出すのは避けたいところ。株式注文は成り行き買いが優先なので、場合によっては「成行」注文に変更しましょう。
桐谷氏の“イチオシ”株主優待付き銘柄を毎回ご紹介します! 今月末に権利確定を迎える中から桐谷氏が選んだのはこの銘柄!
【三光マーケティングフーズ】
桐谷氏コメント:「東方見聞録」や「月の雫」などの居酒屋チェーンを経営している企業です。株主優待は100株保有すると6000円の株主優待券(3000円×年2回)がもらえます。1度に何枚でも利用できますし、「ぐるなび」などのサービスクーポンや、「ジェフグルメカード」などとも併用できます。他のサービスと併用が可能という場合は意外と少ないので、株主優待券が使いやすく、株主に優しい会社といえます。
必要最低投資金額:約10万円/上場市場:東証2部/コード:2762/売買単位:100株/株価:923円(5月27日時点)/配当利回り:1.73%(2014年5月28日)
※株価は該当日終値
桐谷広人(きりたにひろと)
1949年生まれ。広島県出身。元プロ棋士七段で、2007年に引退。その後は、所有する優待銘柄をやりくりして生活費をまかなうという“異色のライフスタイル”と、明るい人柄がテレビなどで取り上げられ話題に。著書に『桐谷さんの株主優待生活』(KADOKAWA角川書店)、『桐谷さんが教える はじめての株主優待』(総合法令出版)、『桐谷さんの株主優待ライフ』(小学館)などがある。4月下旬からガチャガチャアイテム『桐谷さんの株主優待生活 クリーナーストラップ』、5月下旬から『優待生活 桐谷さんのメッセージスタンプ』(ともにタカラトミーアーツ)が販売されている。