証券会社に聞く! 消費税引き上げと投資市場「影響と対策とは?」

 平成26年4月から、消費税は5%から8%へと引き上げられる。日本の経済がどのような動きを見せるのか? 投資家たちの関心は高く、特に投資初心者にとっては、増税と株価の関係や増税対応策が気になるところだろう。そこで今回は、増税前後の投資にまつわるメリット・デメリットを知るべく、専門家であるネット証券の大手3社に、『増税は投資にどのような影響を与えるのか』について、アンケートを実施。増税が投資にどのような影響があるのか、メリットは? またリスクや取引時の注意点などをみていこう。

日経平均、TOPIX……増税は株価にどんな影響を与える?

 まず、消費税の引き上げが株価に影響を与えるかについては、3社そろって「影響がある」との見解。その要因として、一時的な消費の冷え込みによる「景気減速」や、消費に関わる税率変更による「小売業や不動産業などの企業業績の変動」などが挙げられた。

 消費税が3%から5%に引き上げられた前回の増税時は、消費税増税を閣議で決めた1996年6月26日に高値2万2666円を付け、実際に増税が施行された1997年4月1日までに株価が21.2%も下落。その後は反発局面を迎えたものの、アジア通貨危機などが起こり、さらに下落した経緯がある。

 しかし、今回の増税について「株価は基本的に堅調に推移するのでは」との予想もある。SBI証券は、具体的な値動き予想として、「増税後すぐは状況の見極めが行われるため、増税の影響が分かり始める4月下旬〜5月に入ってから株価が動き始めると想定している」との見解を述べた。
 その理由として、(1)大企業が中心ではあるが賃上げの動きもみられる、(2)2011年の東日本大震災の発生で7.8%引き下げられていた公務員給与が2014年4月から回復される、(3)住宅ローン減税が強化されることなど、政策的な消費・投資引き上げ効果もあるとしたうえで、「意外に景気が落ち込まず、株高になるケースも想定できる」とした。

<表1>「増税後、株価に影響は出ると思われるか?」に対する各社の回答

会社名(アンケート回答者)

回答

SBI証券
(投資調査部 シニアマーケットアナリスト 藤本さん)






≪影響あり≫

・基本的には、4月に入ってすぐは、消費税増税の影響を見極めたいとの思惑から、積極的に株式を買う動きがなくなり、上値の重い展開に。増税影響の結果がある程度分かり始める4月下旬〜5月上旬に動き始めることになりそう。
・想定以上に景気が落ち込みそうな場合は、日銀の更なる金融緩和や、政府の財政出動による景気刺激策、アベノミクスの成長戦略の具体化などの対応策によって、株価は上昇すると考えられる。

GMOクリック証券
(担当 小谷さん)





≪影響あり≫

増税後、一時的な消費の冷え込みによる景気減速が株価に悪影響を与える可能性がある。発生する可能性は低いと思われるが、消費が冷え込んだにも関わらず、企業側が生産体制を維持した場合は過剰な在庫が積み上がる可能性があり、業績の圧迫や株価への悪影響となることも考えられる。

楽天証券
(広報担当 土信田さん)


≪影響あり≫

消費に関わる税率変更のため、景気に与える影響が想定される。
(例:小売業や不動産業などの企業業績など)

増税後の取引、どんな点に気を付けるべき?

 投資初心者にとって、知っておくべき注意点については、まずは増税時に限ったことではないが、投資家が“最もしてはいけないこと”は「状況判断が困難な時に株式投資を行うこと」だろう。増税の影響が見えにくい時期に中長期投資は避け、様子を見るという姿勢が賢明だ。

 また、一時的な冷え込みなどで株価が下落した場合について、「保有株の取得価格よりも時価が大幅に下回る可能性もある」と指摘したのはGMOクリック証券。過剰な期待をせずに、回復の見込みがないと思ったら早めに損切りをするなど対策を取ろう。

 次に、気を付けておきたいのが「取引を行う際に支払う手数料」だ。取引手数料のほか、投資信託の場合、信託報酬などに対して消費税がかかるため、「取引コストの上昇」に注意が必要と明かすのは、楽天証券。その際、表示価格が“税抜き”なのか、“税込み”なのかを確認することも重要だ。楽天証券の場合、価格表示に両方を併記するなど、投資家にとって分かりやすい措置を取るとしている。

<表2>「増税後の取引における注意点と対策とは?」に対する各社の回答

会社名

増税後の取引で注意する点

対策&アドバイス

SBI証券



消費税増税が経済にどのような影響を与えるかについて、判断が難しく、状況が判らないときに中長期投資を行うこと。

消費税増税後、しばらくは様子をみて、影響を見極めてから動くほうが良い。

GMOクリック証券



株価が下落した場合に、自身が保有できる以上の評価損を抱えてしまうこと。

過剰な株価上昇 の期待を抱かず、早めに損切りし、影響を見極められる状況になるまでしばらく様子を見る。

楽天証券




取引手数料や信託報酬などに消費税がかかり、取引コストが上昇する。そのため、実際の売買価格と取得平均価格との違いが大きくなりやすい。

表示されている価格は税抜きなのか、税込みなのかを確認すること。


4月から投資家デビューしたい! 増税後に投資するメリットとリスク

 最後に、増税後に投資をする際に考えられるメリットとリスクを確認していこう。

■メリット
 消費税率引き上げ後のメリットについて、SBI証券は「輸出関連株が有利になる可能性がある」との予測を打ち出した。その理由として、消費税率の上昇に伴い、“輸出還付金の増加”が期待されるとしている。輸出還付金とは、輸出に充てた仕入れに含まれる消費税分を税務署が還付するというもので、輸出比率の高い企業ほど恩恵を受けやすい傾向にある。
 2012年度の輸出還付金は合計で2.5兆円あるとの分析もあり、これが消費税8%の時代にはさらに増える計算になる。SBI証券によると、ソニーやトヨタといった電気機器、輸送用機器の典型的な輸出株に加え、住友商事や三菱商事、三井物産など「商社銘柄」も株価上昇が期待できるという。

<表3-1>「増税後に投資を行うメリットとは?」に対する各社の回答

会社名

回答

SBI証券




・消費税増税前後で、株式の物色の方向性が変わる可能性あり、消費税増税で落ち込むと想定される内需株に対して、相対的に外需株である輸出関連株が上昇する可能性がある。
・商社関連銘柄は、予想配当利回りが高い銘柄も多いため、3月末に向け、投資チャンスとなる可能性がある。

GMOクリック証券

株価の下落が一時的で、その後、上昇するなどした場合は、絶好の買い場になる可能性がある。

楽天証券

投資は得られた利益に対する課税(キャピタルゲイン課税)への関心が高いため、消費税増税そのものが投資に与えるメリットは少ない。

■リスク
 増税後の取引に伴うリスクとして、GMOクリック証券は「景気減速が継続した場合に、株価下落も続く可能性がある」としている。楽天証券もまた、安値のタイミングで買ったつもりが、さらに下落することもあり、投資タイミングが難しくなる可能性もあるだろうと言及している。

<表3-2>「増税後に投資を行うことで生じると思われるリスクとは?」に対する各社の回答

会社名

回答

SBI証券

特になし

GMOクリック証券

増税に伴う消費の冷え込みにより景気減速が継続した場合、株価下落が続く可能性がある。

楽天証券


消費税増税そのもののが投資に与えるリスクは少ない。消費増税によって景気が悪化し、株式市場が大きく下落するなどで投資タイミングが難しくなる可能性はある。

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