iDeCo(イデコ)に加入できない人とは?対象外はどんなケース?

2022年に段階的に加入者の枠が広がった「iDeCo(イデコ、個人型確定拠出年金)」。節税効果の大きさが魅力の私的年金制度なので、この機会に開始を検討する人も多いだろう。その一方で、加入対象外となる人や、加入資格はあるもののiDeCoには向いていない…という人もいる。ここでは、そんなケースについて紹介する。
市川雄一郎

監修者 市川雄一郎

保有資格:CFP(R)、1級ファイナンシャル・プランニング技能士(資産設計提案業務)

加入者の枠が広がるiDeCo、国民“ほぼ”全員が対象に?

iDeCoの加入資格は2017年以降、20歳以上のほとんどの国民が加入できるように制度改正されている。2022年5月まで加入資格は、年齢、居住地、国民年金の加入状況、企業年金などそのほかの年金制度の加入状況を基に決められていた。この加入者の条件が、2022年には5月と10月の2段階で変わり、今までは対象外だった人も入れるようになった。
iDeCo加入条件の変更点

【2022年5月以降】 60歳以上65歳未満の人も、海外居住者も加入できるように

では、どのように変わるのか。まず一番注目されているのは新たに加入できる年齢が引き上げられること。これまで20歳以上60歳未満だったのが、20歳以上65歳未満の人にまで広げられた。

具体的には、会社員や公務員として雇用されている人(国民年金の第2号被保険者)や、もしくは国民年金に任意で加入している60歳以上〜65歳未満の人が新たな対象となる。

注意したいのは、公的年金を65歳前に繰り上げて受給している人は対象外となること。またiDeCoの老齢給付金をすでに受給した人も加入者の資格は失う。

また、これまでiDeCoでは自営業者などが対象となる国民年金第1号被保険者で、加入が認められるのは国内在住者のみだった。それが2022年5月の制度改正でこの条件も撤廃されるため、海外在住者も加入資格を持つことができるようになった。

ただし、海外居住者(住民票異動の手続きをした人)にとって国民年金の加入義務はないが、iDeCoには 国民年金の被保険者である必要があるため、「国民年金」に任意加入している必要がある。

【2022年10月以降】企業型DC加入者もiDeCoと併用しやすく、「マッチング拠出」には注意

2022年10月以降は、C企業年金などのそのほかの年金制度の加入状況についての条件も変わる。

これまで企業型確定拠出年金(企業型DC)加入者は、勤務先企業の「企業年金規約」でiDeCoの併用が認められていなければ利用できなかった。それが改正後には、企業型DC加入者でも個人の選択でiDeCoにも同時加入ができるように条件が緩和された。

ただし、企業型DCの掛け金との合計が5万5,000円以下でなければならない。また、企業型DCの中には会社が掛け金を負担するが、個人で掛け金を上乗せできる「マッチング拠出」という制度を利用できるものがある。このマッチング拠出を利用している場合は、iDeCoを利用することはできない。

マッチング拠出は、会社が口座管理手数料を負担してくれるメリットもあるが、会社側の掛け金の金額以下でしか拠出できないという制限もある。そのため、どちらが自分にとって効率がいいかは各自の状況によって異なるだろう。

iDeCo加入対象外となるケース

“ほぼ”国民全員が加入できるiDeCoだが、利用が制限される場合もあるため、検討中の人はまず初めに確認が必要だ。

加入対象外となるケース@ 国民年金の未加入者、未納分がある人

iDeCoの対象外となる人
■国民年金の「未納者」、「免除者」 
※障害基礎年金の受給権者は加入対象
■申請免除者は、「一部免除」や「学生納付特例」の適用者も加入対象外
※ただし、未納分を追納すれば、過去に未納期間があっても加入できる
iDeCo加入の前提条件は、第一に「国民年金保険の加入者」で保険料を納付していること。そのため、国民年金の「未納者」と「免除者」には、原則的に加入が認められていない。そのほかにも、農業年金加入者も対象外である。

「未納者」とは、国民年金の保険料に支払い漏れがある人のこと。ただし、この場合は、加入時に納付していればiDeCoに加入できる。また、加入中に未納月が発生した場合は、その月の掛け金は還付される。

保険料納付免除者も原則的に対象外となる。国民年金の免除者は大きく分けて、経済的な理由により納付が難しい場合に申請によって適用される「申請免除」と、法律で定められた要件を満たした人が適用される「法定免除」の2つがある。

「申請免除」の場合、保険料を一部負担する一部免除であっても、iDeCoの加入対象外となる。「法定免除」は障害年金を受給している人、生活保護を受けている人、ハンセン病療養所などで療養している人が当てはまる。「法廷免除」が適用される人の中で、障害基礎年金の受給権者には加入が認められている。

また国民年金の第1号被保険者(自営業など)で学生時代に「学生納付特例」による納付猶予を受けていた人は、現在保険料を納付していれば加入できる。

加入対象外となるケースA 満65歳以上の人

2022年5月の制度改正で、iDeCoに加入できる年齢の幅が20〜65歳未満に広がった。ただし気を付けたいのが、65歳になると加入資格を喪失するということと、掛け金の拠出も65歳になるとできなくなること。

受給の要件(加入期間10年以上)を満たしている人は60歳から受け取ることもできるし、受給開始時期の上限である75歳(2022年4月以降、受給開始時期が70歳から75歳に延長されている)まで、運用指図者として運用を続けることもできる。

加入対象外となるケースB 企業型DCとの併用状況にも注意

会社員にとっては、企業年金の加入状況次第では対象外となる場合がある。2022年9月末までは、勤め先の企業年金規約でiDeCoの併用が認められていない会社員は加入対象外となる。総務部や人事部など、年金を扱っている部署に規約を問い合わせる必要がある。

ただし、2022年10月以降はこの状況が大きく変わる。勤め先で企業型DC(企業型確定拠出年金、企業型確定給付)に加入している場合でも、上限額の範囲でiDeCoに同時加入ができるようになった。

その場合でも、企業型確定拠出年金に個人で上乗せ拠出できる「マッチング拠出」を行っている人は、iDeCoと併用ができないので対象外となる。

対象外ではないが…iDeCoに“向いていない”3つのタイプ

ここまで、iDeCoに加入できるかどうか、加入対象の条件について紹介してきた。iDeCoは節税効果も大きく、多くの人にとって魅力的な制度だが、対象者ではあるものの、メリットが限定的で“向いていない”というケースも存在する。

そこで、続いてはiDeCoに“向いていない”3つのケースについて解説する。

「60歳になる前に、お金を引き出したい」 普通預金のように使いたい人

この先、数年後や十数年後くらいに、住宅購入や子どもの教育費などで大きなお金が必要になったりはしないだろうか。そのときに「iDeCoで積み立てたお金を引き出したい」と思う可能性があれば要注意。なぜなら、iDeCoで積み立てたお金を引き出せるのは、原則的に60歳以降だからだ。

60歳になるまでの間に、ある程度まとまったお金が必要になることが分かっていれば、普通に預貯金で取っておくのがよいだろう。それを確保できた上で、iDeCoを始めるようにしよう。

「専業主婦(夫)は節税メリットが限定的」 所得税支払い不要な人

iDeCoには3つの税制メリットがある。「積み立て時」「運用時」「受け取り時」の3つのタイミングだ。

最初の「積み立て時」のメリットというのは、積み立てた全額が所得控除となり、その分の税金が安くなるという仕組みだ。つまり、支払った税金が戻ってくるイメージなので、例えば専業主婦(夫)や年収103万円以下で所得税を支払う必要のない場合には、このメリットがない。

もちろん、「運用時」の運用益が全額非課税になるほか、「受け取り時」には控除が受けられるので、専業主婦(夫)だから損をするという意味ではないが、全体的なメリットが小さくなることを理解しておこう。

「運用の利益が少なくなる」 受給開始年齢まで期間が短い人

iDeCoで選べる運用先としては、投資商品(投資信託)のラインアップが多い。老後まで時間があれば、積み立てながらじっくり運用していくことで、相場の上げ下げなどをならす効果が期待できる。

ところが、加入から受給を開始したい年齢までの期間が短い人は要注意だ。

iDeCoでは、加入期間に応じて受給可能年齢が決まっている。60歳で受け取れるのは、加入期間が10年以上ある場合となる。

また、65歳以降はiDeCoで新たにお金を積み立てることができないので、所得控除という前述の一つ目の税制メリットがなくなる。iDeCoでは、金融機関によって異なる口座管理手数料がかかる。メリットよりも手数料が大きくなる場合もあるので要注意だ。iDeCoは若いうちに始めた方がメリットは大きくなるといえるだろう。

もちろん例外もあるが、iDeCoは老後資金準備として長期間にわたり付き合うものなので、自分にとって本当にメリットがあるかどうかをしっかり確認してから始めよう。
市川雄一郎

監修者 市川雄一郎

生活者目線の自由なトークが持ち味。物腰やわらかで明快な講義は、全国に多数のファンがいる。グローバルファイナンシャルスクール校長。CFP(R)。1級ファイナンシャル・プランニング技能士(資産設計提案業務)。日本FP協会会員。日本FP学会会員。1969年生まれ。グロービス経営大学院修了(MBA/経営学修士)。日本のFPの先駆者として資産運用の啓蒙に従事。ソフトバンクグループが創設した私立サイバー大学で教鞭を執るほか、金融機関の職員や顧客に対する講義や講演も行う。「日本経済新聞」「日経ヴェリタス」「朝日新聞」「東洋経済」「週刊ダイヤモンド」などへの原稿執筆・コメント提供のほか、ラジオ日経などのメディア出演も多数。主な著書に『投資で利益を出している人たちが大事にしている45の教え』(日本経済新聞出版)がある。
グローバルファイナンシャルスクール(GFS)公式サイト(外部リンク)
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