iDeCo拠出限度額の引き上げはいつから?制度改正の時期と最新情報を解説

iDeCo拠出限度額の引き上げはいつから?制度改正の時期と最新情報を解説

老後の資金準備にiDeCo(個人型確定拠出年金)の活用を考えている方は多いのではないでしょうか。

2024年12月にはすでに事業主証明書の廃止などの改正が実施され、2027年1月には拠出限度額の引き上げや加入可能年齢の70歳未満への拡大が予定されています。

この記事では、iDeCoの改正スケジュールと各改正の具体的な内容、改正によるメリットや注意点について解説します。

節税効果のシミュレーションも掲載していますので、iDeCoへの加入を検討している方も、すでに加入中の方もぜひ参考にしてください。
金子 賢司

監修者金子 賢司

東証一部上場企業(現在は東証スタンダード)で10年間サラリーマンを務める中、業務中の交通事故をきっかけに企業の福利厚生に興味を持ち、社会保障の勉強を始める。

mokuji目次

  1. iDeCo拠出限度額は2027年1月から引き上げ予定
  2. iDeCo拠出限度額はいくら上がる?
    1. 第1号は月7,000円増
    2. 第2号は最大42,000円増
    3. 第3号は変更なし
  3. 改正スケジュール
    1. 2024年12月|制度改正の実施済み
    2. 2026年1月|退職所得控除「5年→10年」
    3. 2027年1月|加入可能年齢が70歳未満へ
    4. 2027年1月|拠出限度額の大幅引き上げ
  4. iDeCo改正によるメリット
    1. 長期運用による資産形成の可能性
    2. 税制優遇メリットの拡大
  5. iDeCo改正で考慮すべき注意点
    1. 退職金を受け取るタイミングによっては控除額が減少する可能性あり
    2. 受け取り時の税負担増の可能性および手数料の発生に注意
  6. iDeCo改正を活用してより良い資産形成を始めよう

iDeCo拠出限度額は2027年1月から引き上げ予定

iDeCo拠出限度額は2027年1月から引き上げ予定

iDeCoの拠出限度額は、2027年1月の引き落とし分から引き上げられる予定となっています。この改正は、2024年12月27日に閣議決定された令和7年度税制改正大綱に明記されていたものです。

厚生労働省が公表した「私的年金制度の主な改正事項の施行スケジュール」によると、拠出限度額の引き上げは「令和9(2027)年の控除分からの実現を目指して準備を進める」とされており、2027年1月引き落とし分(2026年12月拠出分)から新たな上限額が適用される見込みです。

今回の改正では、これまで設けられていた「iDeCo単体での上限」が廃止され、他の企業年金制度との合計上限のみが適用される仕組みに変わります。

これにより、企業年金に加入していない会社員であれば、iDeCoだけで月額6.2万円まで拠出できるようになるのです。   

iDeCo拠出限度額はいくら上がる?

iDeCo拠出限度額はいくら上がる?

2027年1月からのiDeCo拠出限度額引き上げによって、被保険者の区分ごとにどのように変わるのかを確認しましょう。

iDeco拠出限度額比較表(2027年1月 改正)

※「穴埋め型」導入により、第2号被保険者はiDeCo単体の上限が廃止され、企業年金との合計で月額6.2万円まで拠出可能。
出典:財務省「令和7年度税制改正

第1号は月7,000円増

自営業者やフリーランス、学生などの第1号被保険者は、iDeCoと国民年金基金の共通拠出限度額が月額68,000円から月額75,000円へと7,000円引き上げられます。

年間に換算すると最大90万円まで拠出可能になり、掛金が全額所得控除の対象となることを考えると、所得税・住民税の節税効果もさらに拡大することになります。

ただし、この限度額は国民年金基金や国民年金の付加保険料との合算となるため、すでにこれらの制度を利用している場合は、実際にiDeCoへ拠出できる金額はその分だけ減ることになります。

第2号は最大42,000円増

会社員や公務員など第2号被保険者の拠出限度額は、勤務先の企業年金制度の有無によって変わります。

企業年金のない会社員の場合、現行のiDeCo拠出限度額は月額23,000円ですが、2027年1月以降は月額62,000円まで引き上げられ、39,000円の増額となります。

一方、企業型確定拠出年金(企業型DC)や確定給付企業年金(DB)など企業年金に加入している会社員の場合、これまではiDeCo単体で月額20,000円の上限が設けられていました。

改正後はこのiDeCo単体の上限が撤廃され、企業年金等との合計で月額62,000円まで拠出できるようになります。企業年金の掛金が少ない人ほど、iDeCoへの拠出余地が広がる(最大42,000円)ことになるのです。

公務員についても同様で、これまでは月額20,000円だったiDeCo単体の上限が撤廃されます。公務員には共済掛金相当額(現在8,000円)が設定されており、共通拠出限度額の月額62,000円からこの金額を差し引いた月額54,000円がiDeCoの拠出上限となる見込みです。

第3号は変更なし

第2号被保険者に扶養される配偶者である第3号被保険者については、2027年1月以降も拠出限度額の変更はありません。現行どおり月額23,000円(年額276,000円)が上限となります。

第3号被保険者の方でさらに積極的に資産運用したい場合は、iDeCoと同様に運用益が非課税となるNISA(少額投資非課税制度)の活用を検討するとよいでしょう。

改正スケジュール

改正スケジュール

iDeCoに関連する制度改正は段階的に実施されます。今後のスケジュールを時系列で確認しておきましょう。

改正スケジュール

2024年12月|制度改正の実施済み

2024年12月(2025年1月引き落とし分)から、すでにいくつかの制度改正が実施されています。
まず、会社員がiDeCoに加入する際に必要だった「事業主証明書」が廃止されました。

これにより、加入手続きが簡素化され、勤務先への確認や書類作成の手間が軽減されています。

また、確定給付企業年金(DB)などの他制度に加入している会社員や公務員については、iDeCoの拠出限度額が従来の月額12,000円から最大20,000円に拡大されました。

ただし、iDeCoの掛金と企業年金の掛金の合計額が月額55,000円を超えることはできないため、企業年金の掛金額によっては上限が20,000円に届かない場合もあります。

2026年1月|退職所得控除「5年→10年」

iDeCoを退職金より先に一時金で受け取る場合、現在は「5年ルール」が適用されています。

このルールは、iDeCoの一時金と会社の退職金を5年以上の間隔を空けて受け取ると、それぞれに対して別々に退職所得控除が適用される(最大限控除される)制度です。

一方で、以下の具体例のように、iDeCoの一時金が支給されてから4年以内に退職金を受け取ると、iDeCoの加入期間と勤務期間で重複している期間の控除が差し引かれるため、控除額が減ってしまい、結果として税負担が増えてしまうのです。
iDeCoを退職金より先に一時金で受け取る場合、現在は「5年ルール」が適用されています。

このルールは、iDeCoの一時金と会社の退職金を5年以上の間隔を空けて受け取ると、それぞれに対して別々に退職所得控除が適用される(最大限控除される)制度です。

一方で、以下の具体例にように、iDecoの一時金が支給されてから4年以内に退職金を受け取ると、iDeCoの加入期間と勤務期間で重複している期間の控除が差し引かれるため、控除額が減ってしまい、結果として税負担が増えてしまうのです。

受取例

退職所得控除の適用

税負担

・iDeCoを60歳で受け取る
・退職金を65歳で受け取る

それぞれ別々に適用される

税負担が軽減される

・iDeCoを60歳で受け取る
・退職金を64歳で受け取る

退職所得控除が重複計算される

税負担が増える

この5年ルールが2026年1月からは10年ルールに変更となります。

つまり、60歳でiDeCoを一時金で受け取った場合、勤務先からの退職金に退職所得控除を適用させるには70歳まで待つ必要があるのです。実質的に退職金とiDeCoの一時金それぞれに退職所得控除を適用させるのは難しくなったといえるでしょう。

以下は、iDeCoの受取方法による税制上の違いをまとめた表です。
    
受取方法 適用される控除 税制上の特徴 向いている人注意点
一時金方式 退職所得控除 ・勤続年数に応じた控除額が適用される
・控除額 = 40万円×加入年数
・(20年超の場合は70万円×(加入年数-20年)+800万円)
・まとまった資金が必要な人
・加入期間が長い人
・第1号被保険者(自営業者など)
・企業からの退職金と同時受取だと控除が十分に活用できない
・改正で5年ルールが10年ルールに変更
年金方式 公的年金等控除 ・年金収入に応じた控除額が適用される
・他の公的年金と合算して課税
・安定した収入を得たい人
・公的年金収入が少ない人
・他の年金収入と合算されることで税率が上がる可能性がある
併用方式 両方の控除を適用 ・一部を一時金、残りを年金として受け取る
・それぞれに適切な控除を適用
・一時金と年金両方のメリットを活かしたい人 一時金方式と年金方式の両方の注意点が該当する
10年ルールの影響を受ける会社員は、一時金ではなく年金形式での受け取りを検討するか、NISAなど他の制度との併用を考慮するとよいでしょう。

2027年1月|加入可能年齢が70歳未満へ

これまでiDeCoへの加入は、第1号・第3号被保険者は原則60歳未満(任意加入者は最長65歳)まで、第2号被保険者(厚生年金加入者)は65歳未満までとされていました。

2027年1月からは、この加入可能年齢が70歳未満に引き上げられます。

老齢基礎年金やiDeCoの老齢給付金を受け取っていなければ、定年退職後も積立を継続でき、iDeCoを使った資産形成をより長く続けることが可能です。

一定以上の所得があれば節税効果が期待できるため、65歳以降も働き続ける人にとっては資産形成の選択肢が広がることになります。

ただし、一度iDeCoの積立資産を受け取り始めると、その後は掛金を積み立てることはできません。年金を受給しながら積み立てを続けることはできないため、受給開始時期は慎重に検討する必要があります。

2027年1月|拠出限度額の大幅引き上げ

前述のとおり、2027年1月の引き落とし分から拠出限度額が引き上げられます。

今回の改正の特徴は、これまで設けられていた「iDeCo単体での上限」が撤廃される点です。

企業年金のない第2号被保険者であれば、従来の月額23,000円から月額62,000円へと約2.7倍に拡大されます。

iDeCo改正によるメリット

iDeCo改正によるメリット

2024年12月の改正および2025年予定のiDeCoの制度改正は、老後の資産形成を考える人に大きなメリットがあります。具体的なメリットを数字を交えて紹介します。

iDeCoメリット

長期運用による資産形成の可能性

iDeCo改正による掛金上限額の引き上げと加入可能年齢の拡大は、長期的な資産形成の可能性を大きく広げます。加入年齢上限が70歳未満に延長されることで運用期間が最大5年間拡大し、複利効果による資産増加が期待できます。

以下は、年率3%の積み立てを掛金額と積立期間を変えて試算した比較表です。
              
ケース 掛金 運用期間 想定運用
利回り
元本合計運用益最終資産額
改正前制度 月額2.3万円 30年間 年3% 828万円 503万円 1,331万円
改正後
(5年延長)
月額2.3万円 35年間 年3% 966万円 726万円 1,692万円
改正後
(掛金増額)
月額6.2万円 30年間 年3% 2,232万円 1,356万円 3,588万円
改正後
(掛金増額+5年延長)
月額6.2万円 35年間 年3% 2,604万円 1,956万円 4,560万円

参照:金融庁の「つみたてシミュレーター」で試算

表のシミュレーション例を見ると、月額6.2万円を30年間積み立てた場合、元本は2,232万円、運用益は1,356万円となり、最終的な資産額は3,588万円に達します。

さらに運用期間を35年間に延ばすと、元本は2,604万円、運用益は1,956万円となり、最終資産額は4,560万円まで増加します。ただし、これは試算なので、実際の運用は必ずしもこのようにならない点に注意してください。

自分に合った積立プランを検討する際は、金融庁つみたてシミュレーター」を活用すると便利です。長期・積立・分散投資の効果を実感できるでしょう。

税制優遇メリットの拡大

iDeCo改正により、税制優遇のメリットが拡大します。iDeCoには以下の3つの税制優遇があります。

<iDeCo改正による税制優遇>
■掛金が全額所得控除
■運用益は非課税で再投資
■受取時にも所得控除あり(公的年金等控除または退職所得控除)

改正による大きな変化は、掛金上限額の引き上げにより、所得控除の節税効果が増大する点です。

なお、iDeCoのように税の優遇を受けられる制度にNISA(少額投資非課税制度)がありますが、掛金が所得控除されるiDeCoと違い、NISAは掛金に対する税制優遇はなく、運用益の非課税が主なメリットです。
以下で掛金の増額による税控除額の増加を年収別に試算します。
         
年収 毎月の掛金
(改正前)
年間節税額
(改正前)
毎月の掛金
(改正後)
年間節税額
(改正後)
節税額の増加分
400万円 2.0万円 3.60万円 6.2万円 11.16万円 7.56万円
500万円 2.0万円 4.80万円 6.2万円 13.21万円 8.41万円
700万円 2.0万円 7.20万円 6.2万円 19.01万円 11.81万円
900万円 2.0万円 7.20万円 6.2万円 22.32万円 15.12万円
1,200万円 2.0万円 7.92万円 6.2万円 24.55万円 16.63万円

参照:iDeCo公式サイト「かんたん税制優遇シミュレーション」で試算

<試算の前提条件>
・社会保険料控除は年収の14.39%
・課税所得は「年収−給与所得控除−社会保険料控除−基礎控除」として、端数金額は処理しない
・住民税額は一律10%

上記のように、掛金増額によって税の軽減効果も大きくなるとわかります。ただし、iDeCoは原則として60歳まで資産の引き出しができないため、掛金額は無理のない範囲で決めるようにしましょう。

iDeCo改正で考慮すべき注意点

iDeCo改正で考慮すべき注意点

iDeCoの制度改正によって資産形成の選択肢が広がる一方で、いくつかの重要な注意点があります。これらを理解し、自分に合った運用戦略を立てましょう。

iDeCo改正の注意点

退職金を受け取るタイミングによっては控除額が減少する可能性あり

2026年1月1日以降にiDeCoの一時金を受け取る場合、「10年ルール」が適用されます。

退職金と同時期に受け取ると退職所得控除の適用額が減る可能性があるため、受け取り時期を10年以上空けるなどの調整が必要となります。ただし、60歳でiDeCoを受け取り70歳で退職金を受け取るというスケジュールは現実的には難しいケースが多いでしょう。

この影響を受ける可能性が高いのは、会社から支給される退職一時金がある人や、60歳または65歳の定年で退職金を受け取ることが確定している人となります。該当する場合は、受け取り時期や方法について事前に検討しておくことをおすすめします。

受け取り時の税負担増の可能性および手数料の発生に注意

掛金上限額の引き上げで多くの資金を積み立てられるようになりますが、これは将来の受取時に税負担が増加する可能性も意味します。特に高所得者は注意が必要です。

また、iDeCoには国民年金基金連合会や金融機関への口座管理手数料給付手数料が発生します。年金形式で受け取る場合は、毎回の受取時に手数料がかかるため、長期的なコスト計算も重要です。

さらに、掛金増額と加入期間延長により運用資産が増えるため、自分のリスク許容度や投資期間に合わせた運用商品の選択がより一層重要になってきます。

iDeCo改正を活用してより良い資産形成を始めよう

iDeCoの制度改正により、資産形成の可能性が大きく広がりました。

掛金上限額の引き上げ加入可能年齢の拡大は、長期的な資産形成と税制優遇のメリットを最大限活用することにつながります。

しかし、改正に伴う注意点も忘れずに、自身の状況に合わせた運用戦略を立てることが重要です。iDeCoを活用し、老後の経済的安定を目指しながら、柔軟で効果的な資産形成プランを実現しましょう。

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iDeCoの利用を検討される際はこちらもぜひご参考いただき、自分に合ったより良い選択肢を見つけてみてください。
金子 賢司

監修者金子 賢司

東証一部上場企業(現在は東証スタンダード)で10年間サラリーマンを務める中、業務中の交通事故をきっかけに企業の福利厚生に興味を持ち、社会保障の勉強を始める。
以降ファイナンシャルプランナーとして活動し、個人・法人のお金に関する相談、北海道のテレビ番組のコメンテーター、年間約100件のセミナー講師なども務める。趣味はフィットネス。健康とお金、豊かなライフスタイルを実践・発信しています。
・CFP® 資格(資格番号:90260739)
・日本FP(ファイナンシャルプランナー協会)幹事

ホームページ:https://fp-kane.com/

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