『iPhone7』は日本の文化が世界に広がるきっかけになる!?

 森永卓郎氏の連載コラム「経済×トレンド講座」第二弾では、9月16日に米アップル社が発売した新型スマートフォン『iPhone7』を取り上げる。大きく進化したのは、まずFelica(IC)チップ内蔵で“おサイフケータイ”として使えるようになった点。また、耐水性能を備えた上でカメラ機能も拡充。特に『iPhone7 Plus』には、広角・望遠のデュアルレンズが搭載され、話題になった。

 『iPhone7』の事前予約件数は、NTTドコモ、KDDI(au)、ソフトバンクの3社とも過去最高に達したという。今、“最強のスマホ”とも呼ばれているが、経済効果は期待できるのか? 森永卓郎氏が分析していく。
■Topics
>>新機能搭載の背景にあるのは、“日本がiPhone成長市場”という現実

>>最大の効果は“おサイフケータイ”の国際化 売れるほど日本メーカーも儲かる

新機能搭載の背景にあるのは、“日本がiPhone成長市場”という現実

 まずはアップルの売上を見ていきましょう。実は売上高の6割以上がiPhoneなんですが、減少してきているのが実情です。実際、伸びているのは日本だけで、今年の4〜6月期は欧州で前年同期比7%減、米国では同11%減、中国にいたっては同33%減でした。

  • 【画像】アップルストア銀座店

 なぜ、日本だけが“iPhone成長市場”になったのか? もともとスマホが普及し始めた際、iPhoneとAndroidには大きな差がありました。そのとき、iPhoneに人がドーっと流れて、アップルの世界にハマっていったんだと思います。ですが、今や品質差はまったくなく、Androidはどんどん安くなっている。そこで、し烈な価格競争が起こっている中国などでは、Androidが優勢なのです。

 創業者のスティーブ・ジョブズ氏が亡くなったことも大きいですね。彼は徹底的にユーザーの立場で発言をする人だったので、次々に斬新な製品を開発することができた。それが、iPhoneひいてはアップル成長の源泉でした。彼亡き後にできた『iPhone6/6s』などには、画期的な機能の追加はできていなかったと、僕は思います。

 だからこそアップルは追い詰められて、最後の牙城である日本で受ける機能、Felicaを搭載してきたのでしょう。

最大の効果は“おサイフケータイ”の国際化 売れるほど日本メーカーも儲かる

  • 【画像】iPhone7とiPhone7 Plus

 これまでアップルがFelicaの搭載を拒否してきたのは、ソニーが生産しているからだと思われます。アップルにとってはライバルですからね。ですが、もうそんなことは言っていられない。日本で広く普及しているFelicaの搭載こそ、日本でのポジションを守るための最大の武器であることは間違いないのですから。まさにアップルにとっての正念場、分岐点になると思います。

 僕もそうですが、“おサイフケータイ”は一度使うとやめられません。こんなに便利なものはないですよ。コンビニで買い物するのも、電車や飛行機に乗るのも、スマホをピっとかざせばできる。その癖がつくと、乗車券や搭乗券なんて探していられなくなるんです(笑)。日本ではすごく大きな需要が出ると思いますよ。

 これは、我々日本人だけが嬉しい、ということに留まらないはず。普及しているのは世界で日本のみですが、『iPhone7』をきっかけに“おサイフケータイ”の国際化が現実的なものになると思うのです。それこそ最大の効果ではないでしょうか。日本から世界を変えていく――すごくいいと思いますね。

 また、iPhoneの大半の部品には、日本メーカーのものが使われている点も忘れてはいけません。ソニーをはじめ、『iPhone7』が売れることで、儲かるメーカーは多いのです。経済効果としては見逃せないポイントですね。

 世界中、どこに行ってもスマホ一台で買い物から飛行機搭乗まで可能という便利さを知ってしまえば、その機能ほしさに『iPhone7』を買う人は多いでしょう。Androidにとっては脅威といえますが、現在は格安スマホも台頭してきています。新しいライバルに『iPhone7』は勝つことができるのか? これからも注目していきましょう。
(2016/10/31)
■Profile/森永 卓郎(もりなが たくろう)
1957年7月12日生まれ、東京都出身。東京大学経済学部卒業。日本専売公社、日本経済研究センター、経済企画庁総合計画局などを経て、1991年から株式会社三和総合研究所(現:三菱東京UFJリサーチ&コンサルティング)の主席研究員を経て、現在は獨協大学教授。専門分野はマクロ経済学、計量経済学、労働経済、教育計画。

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