国債とは? 個人で買える国債の基本のしくみ&メリット・デメリットを紹介
■国債とは
■国債の仕組み
発行の仕組み
発行の頻度と募集期間
額面金額と発行金額
償還期間(満期までの期間)
利率と利回り
■国債のメリット
メリット@ 種類が豊富
メリットA 定期預金と比較して金利が高い
メリットB 国が破綻しない限り、利息や元金は確実に受け取れる
メリットC 買付手数料がかからず、口座開設・維持手数料は無料
メリットD債券は、ペーパーレスで取り扱いやすい
■国債のデメリット
デメリット@ 保有することで発生する収入(利子)に対して税金がかかる
デメリットA 大きなリターンは期待できない
■個人で買える2種類の国債 「個人向け国債」と「利付国債」
個人向け国債の特徴とメリット・デメリット
利付国債(新窓販国債)の特徴とメリット・デメリット
■「個人向け国債」は“ローリスク商品の代表”! 2つの国債を比較
■国債に向いているタイプは? 特徴を理解して、資金手段として活用しよう
国債とは
国債は、銀行や証券会社など金融機関の窓口やインターネット経由で購入できる。さらに、ペーパーレス化されて口座の記録上での取り扱いとなるため、より身近に扱えるようになっている。
国債は種類によって、2年、3年といった比較的償還期限が短いものか、10年、中には40年といった超長期の 償還期間(満期までの期間)があらかじめ設定されていて、購入者は満期になるまで利子を定期的に受け取る。そして満期を迎えると元本(額面金額という)が戻ってくるという仕組みだ。「国への融資」であり、国が利子と元本を保証しているので流通数も多く、株式や投資信託など数ある投資商品の中でも安全性はトップクラスといわれている。
大きなリターンを求める人には物足りないが、一般的な定期預金よりも金利が高めなので、投資に興味があるがリスクが怖い人の投資の入り口として向いている。
なお、日本で現在発行されている個人投資家向けの国債は、大きく分けて「個人向け国債」と「利付国債(新窓販国債)」の2種類となる。
債券には、国債のほかにも地方公共団体が発行する「地方債」、民間企業が発行する「社債」がある。国債や地方債を、公的な債券として「公債」と分類することもある。ちなみに、国債は日本だけに限られた仕組みではなく、外国政府が発行したものは外国債と分類され、日本人も買うことができるものもある。
債券とは? 基本の仕組みから活用方法まで、メリットとリスクを紹介
外債については、下記の記事をご覧ください。
高金利が魅力? リスク分散に役立つ?? 初心者でもわかる「外債」とは
国債の仕組み
発行の仕組み
発行元「日本政府」→販売窓口の「金融機関」→購入(融資)する「投資家」
日本政府から投資家へ「利子」(半年ごと)が支払われる、満期時には「元本」が償却(返却)される。
発行の頻度と募集期間
募集期間 4月7日〜28日 / 発行日 5月16日
となり、この募集期間は月ごとに微妙に異なっているので、購入するときには注意しよう。
額面金額と発行金額
発行金額 債券発行時の実際の価格、額面金額とは異なる場合がある。額面金額は100円だが、実際の購入価格は発行金額によって上下する。ただし、償還金額には額面金額が適用される。
償還期間(満期までの期間)
償還期間はあらかじめ設定されていて、国債の種類ごとに異なっている。「2年」や「3年」などの短期から「10年」またそれ以上の長期まで選ぶことができる。
利率と利回り
@「額面金額×利率=年間で受け取れる利子の金額」となるが、現在発行される国債では、利子が半年に1回(年2回)支払われるので、1回ごとに支払われる利子は、「@の金額×1/2」となる。
変動金利型 半年ごとに適用利率が変動するので、それに伴って利子の金額も上下する。ただし、最低金利が0.05%に保証されている。
もう1つ、投資家の収益の大きさを表す「利回り」という用語がよく使われる。これは、投資金額に対して1年当たりどれくらいの利益を得られるかという割合(%)を示したもの。
国債のメリット
メリット@ 種類が豊富
メリットA 定期預金と比較して金利が高い
メリットB 国が破綻しない限り、利息や元金は確実に受け取れる
国債を含む債券は、民間会社によって「格付け」されている。これは「きちんと利息と元本が支払う能力があるか」という債券の信用度を計るもの。日本では金融庁の登録を受けた7社が信用格付けを行っている。AAA(トリプル・エー)からC(シングル・シー)までの9段階で評価されることが多く、ランクが高いほど信用度も高い。日本の国債は、信用力が高いとされるAランクを維持している。
メリットC 買付手数料がかからず、口座開設・維持手数料は無料
ただし、中途換金時には手数料がかかるほか、利子は通常の株式などと同様に所得税・復興特別所得税・地方税20.315%課税されるので注意が必要だ。
メリットD 債券はペーパーレスで取り扱いやすい
国債のデメリット
デメリット@ 保有することで発生する収入(利子)に対して税金がかかる
また、国債の1つである「個人向け国債」は、満期になる前に換金(解約)すると中途換金手数料がかかってしまう。
デメリットA 大きなリターンは期待できない
そのほか、債券市場で売買ができる「利付国債」という国債では、売却値段が購入時より低くなるなど、国債の種類ごとに特有のリスクを抱えていることもある。
個人で買える2種類の国債 「個人向け国債」と「利付国債」
個人向け国債の特徴とメリット・デメリット
個人の投資家が買いやすいように最低購入額がより少額に設定され、金利が最低0.05%保証されているのも初心者に向いている理由の1つだ。個人向け国債には、変動金利型で償還期間が10年の「変動10年」、固定金利型で償還期間が5年の「固定5年」、同じく固定金利型で償還期間が3年の「固定3年」といった3種類が毎月発行されている。
3つの個人向け国債の概要を見てみよう。
ただし、売却先は国なので、債券の額面金額が市場の動向に影響されることなく受け取れる。
・1万円から(1万円単位)と比較的少額から購入できる。
・金利が固定型と変動型から選べる。
・金利変動型の場合も、最低金利0.05%が保証される。
デメリット
・発行から1年間は換金(解約)することができない。
・1年経過後でも、満期前に解約すると「中途換金調整額」として「直前2回分の各利子(税引前)相当額×0.79685」がかかる。
利益が出るためには……
・満期まで待つ
損が出る場合は……
・国が財政破綻して、債務不履行(デフォルト)に陥ると利子・元本が受け取れなくなる
・短期で中途換金してしまった場合
利付国債(新窓販国債)の特徴とメリット・デメリット
現在発行されている新窓販国債は固定金利制のみで、償還期間が異なる「2年固定」「5年固定」「10年固定」の3種類がある。
概要は下の通り。
固定金利制なので、利子の額は変わらないが債券自体の売買価格が変動するというのが、個人向け国債と大きく異なる点だ。
・いつでも中途解約可能な国債。ただし市場金利で売却するので、満期を待たずに解約すると元本割れのリスクもある。
・市場動向により償還日に元本増の可能性がある。
デメリット
・5万円から(5万円単位)の購入と、個人向け国債よりも高額。
・取り扱い機関が少ない。
利益が出るためには……
・満期まで待つ。
・売却時の市場価格が購入時より高いこと。
損が出る場合は……
・国が財政破綻して、債務不履行(デフォルト)に陥ると利子・元本が受け取れなくなる。
・売却時の市場価格が購入時より低い。
「個人向け国債」は“ローリスク商品の代表”! 2つの国債を比較
分類 | 個人向け国債 | 利付国債 |
購入対象者 | 個人のみ | 制限なし |
償還期間 | 変動型 3年・5年/固定型 10年 | 2年・5年・10年 |
金利のタイプ | 変動/固定 | 固定 |
発行回数 | 毎月 | 毎月(※発行されないこともある) |
購入単位 | 1万円 | 5万円 |
購入上限 | なし | 1申し込み3億円 |
利子の受取頻度 | 半年に1回 | 半年に1回 |
変動金利型の利率 | 半年ごとに変動 | 市場動向によって発行ごとに変動 |
最低金利保証 | 0.05% | なし |
中途解約可能期間 | 1年目以降 | 制限なし |
中途換金調整額 | 直前2回分の各利子(税引前) 相当額×0.79685 | なし |
売却先 | 国(財務省) | 債券市場 |
・国が国債を買い取るので「買い手が付かない」ということがなく、基本的には元本割れのリスクがない。
・購入単位が1万円と小口で買い付けることが可能なので、比較的購入しやすい。
・利付国債にはない「最低金利」が保証されており、金利0.05%よりも下がらない。
こうした理由から、「個人向け国債」はローリスク商品の代表だともいわれている。
最後に注意点をもう一度確認しておこう。 個人向け国債は発行から1年経過するまで中途換金ができない。また、1年経過後であればいつでも中途換金できるが、満期前に売る(中途換金する)場合には、「中途換金調整額」として直前2回分の各利子(税引前)相当額×0.79685の手数料を支払う必要があるので、中途換金の可能性がある人は購入前に吟味しよう。
国債に向いているタイプは? 特徴を理解して、資金手段として活用しよう
この記事の監修者:市川雄一郎
グローバルファイナンシャルスクール校長。CFP(R)。1級ファイナンシャル・プランニング技能士(資産設計提案業務)。日本FP協会会員。日本FP学会会員。1969年生まれ。グロービス経営大学院修了(MBA/経営学修士)。日本のFPの先駆者として資産運用の啓蒙に従事。ソフトバンクグループが創設した私立サイバー大学で教鞭を執るほか、金融機関の職員や顧客に対する講義や講演も行う。「日本経済新聞」「日経ヴェリタス」「朝日新聞」「東洋経済」「週刊ダイヤモンド」などへの原稿執筆・コメント提供のほか、ラジオ日経などのメディア出演も多数。主な著書に『投資で利益を出している人たちが大事にしている45の教え』(日本経済新聞出版)がある。
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