ネット証券は危険?店舗型証券との違いとデメリット・リスクを解説

ネット証券は危険?店舗型証券との違いとデメリット・リスクを徹底解説

ネット証券は、手数料が安く、金融商品の種類も充実していることで人気を集めています。時間・場所を問わずに手軽に取引ができるネット証券は、多様化するライフスタイルに合った柔軟性の高い投資方法といえるでしょう。
一方、ネット証券には手軽さゆえのデメリットやリスクがあることも確かです。セキュリティリスクや商品の誤発注リスクなどが不安で、利用を躊躇している人も多いのではないでしょうか。

今回は、ネット証券と店舗型(対面)証券の違いや、ネット証券のデメリット・リスクのほか、ネット証券に向いている人などについて詳しく解説します。

ネット証券とは?店舗型(対面)証券との違い

証券会社には、実店舗で営業担当者が取引をサポートする店舗型(対面)証券と、実店舗を持たず、インターネット上で取引が完結するネット証券があります。まずは、それぞれの違いをしっかりと把握しましょう。

店舗型(対面)証券

店舗型(対面)証券とは、実店舗を持つ証券会社のことです。店舗型(対面)証券に口座を持つと、個別に営業担当者がつき、手厚いサポートが受けられることが特徴です。営業担当者からは、最新のマーケットの動向や、保有している商品の見通しなどについてアドバイスを受けることができます。自分で調べているだけではアクセスしにくい情報をいち早く提供してもらえるため、取引の機会を逃しにくくなります。

また、PCやスマートフォンの操作やセキュリティ対策に不安がある人にとっても、店舗型(対面)証券は使いやすいでしょう。店舗型(対面)証券では口座開設時の手続きをはじめ、取引や資産運用に関する相談も営業担当者が対応してくれることも、心強いポイントです
一方で、店舗型(対面)証券は店舗や営業担当者からのサポートが充実している分、ネット証券と比較して取引手数料が高くなる傾向があります。また、営業担当者から投資商品の営業を頻繁に受けることもあり、わずらわしく感じる人もいるでしょう

なお、最近ではインターネットやスマートフォンの普及により、店舗型(対面)証券でもオンライン取引ができるケースが増えています。状況に応じて店舗とオンラインを使い分けると利便性が高くなります。

ネット証券

ネット証券とは、インターネットを通じて株式の売買や証券の取引を完結できる証券会社のことです。ネット証券は、店舗型(対面)証券とは異なり、店舗や営業担当者が存在しません。そのため、店舗の営業時間を気にせず、自分の好きな時間や場所で取引を行うことが可能です

店舗型(対面)証券のようにアドバイスやサポートを行う営業担当者がつかない代わりに、手数料は安く設定されています。自分のペースで投資を行いたい人には合ったやり方ですが、取引の経験が浅く「どの商品を買えばよいかわからない」という人は不安を感じることがあるかもしれません
ネット証券の公式サイトやアプリに掲載されている銘柄やサービスの詳細を確認したり、株式を購入したい企業の決算情報や株価情報などを調べたりするなど、知識を深めてから取引を行いましょう
ネット証券の概要については、こちらの記事をご覧ください。
ネット証券とは?メリット・デメリットから窓口証券会社との違い

ネット証券の口座を開設するには?

ネット証券の口座開設は、郵送またはWebで行えます。口座開設については、ネット証券も店舗型(対面)証券も基本的に無料ですが、口座開設後、店舗型(対面)証券は口座管理料がかかることがあります。ネット証券は管理料が無料のため、初期費用やランニングコストをできるだけ抑えたい人にはおすすめです

ネット証券で口座を開設する際の一般的な流れは、下記のとおりです。詳しくは、各証券会社の公式サイトをご確認ください。

<郵送でネット証券の口座開設をする流れ>
1. 電話やWebサイトから口座開設のための申込書を請求
2. 個人情報や口座情報など、申込書に必要事項を記入し、必要書類(本人確認書類など)を添えて郵送
3. 審査完了後、郵便で口座開設完了の完了通知が届く

<Webでネット証券の口座開設をする流れ>
1. Webサイトで個人情報や住所などの必要情報を記入
2. 必要書類(本人確認書類など)のデータを提出
3. メールもしくは郵送で口座開設完了の通知が届く

このほか、スマートフォンでの口座開設に対応している証券会社もあります。一般的には口座開設から取引開始まで、郵送での申込みなら1〜2週間程度、Web申込みなら1〜3日程度かかりますが、eKYC(オンライン上で本人確認を完結できる仕組み)を導入している証券会社なら、最短即日で口座開設できることもあります
ネット証券のシェアについては、下記の記事をご覧ください。
ネット証券のシェアを比較!おすすめの人気証券会社はどこ?

ネット証券の複数口座については、下記の記事をご覧ください。
ネット証券の口座は複数開設するべき?使い分けて利益を増やす方法

ネット証券のデメリット

ネット証券のデメリット

気軽に口座開設や取引ができ、比較的手数料が安いことで人気なネット証券ですが、デメリットがあることも事実です。続いては、ネット証券を利用する前に知っておきたいデメリットをご紹介します。

証券会社の担当者からアドバイスやサポートを受けることができない

ネット証券のデメリットは、店舗型(対面)証券とは異なり営業担当者からアドバイスやサポートを受けられないため、自分で情報を収集したり、投資方法を比較検討したりする必要があることです。専門知識を持った営業担当者に相談しながら取引を行いたい人にとっては、物足りなく感じるかもしれません。

また、知識が不足していると取引で収益を上げるのは困難です。投資初心者や経験が浅い場合、自己判断の投資で損をするリスクがないとはいえません
ネット証券は、すべての取引を自己責任で行う必要があります。専門家のアドバイスが受けられないことによる資産配分のミスや、投資先の選定ミスを防ぐには、知識量を増やすことが何よりも大切です。

まずは、ネット証券の公式サイトに掲載されている投資情報に目を通したり、ネット証券が主催するセミナーに参加したりしてみましょう。正しい知識を身に付ければ、自信を持って取引ができるようになります。

注文を間違えても自己責任になる

すべて自分で商品の選択や取引を行うネット証券では、商品の注文内容を間違えてしまっても自己責任になることがデメリットです。ネット証券の注文画面がわかりづらく、商品数や金額を大幅に間違えて注文してしまったとしても、自分以外に気づいて注意してくれる人はいません。10株のはずが100株注文してしまった場合でも、基本的には注文した本人の責任になります。

ネット証券での失敗を防ぐため、注文画面では情報を確定させる前にしっかり確認することが大切です。移動中などに焦って注文するのは間違いの元。自宅などの落ち着ける環境でじっくり考えて投資するようにしてください。
注文完了後に間違いに気づいても、すぐにネット証券の問い合わせ窓口に相談をすれば、注文を取り消せる可能性もあります

一方で、店舗型(対面)証券であれば、実店舗で営業担当者と対面で取引が行えるため、注文内容の誤りに気づきやすくなります。わからないことが多い投資初心者にとっては安心感があるでしょう
なお、最近では店舗型(対面)証券でもオンライン取引を導入していることが増えてきました。店舗型(対面)証券で口座開設をしても、オンライン取引を中心に行う場合は、間違いに気づきにくくなるので注意が必要です。

セキュリティリスクにさらされる可能性がある

ネット証券のデメリットのひとつとして、適切な対策をしないと、セキュリティリスクにさらされる可能性があることが挙げられます。ネット証券のログインIDやパスワードが流出したり、パソコンやスマートフォンなどのデバイスを紛失してしまったりすると、第三者に勝手に取引を行われてしまい、大きな損失が出る場合があります。
ネット証券を利用する場合は、セキュリティ対策をしっかり行うことが大切です。個人でできるセキュリティ対策には、下記のようなものがあります。

・IDとパスワードをブラウザに記憶させない
ネット証券のWebサイトにログインするには、IDとパスワードが必要です。ログインのたびに毎回入力するのは面倒ですが、ブラウザに記憶させて自動入力する機能を安易に使うのは避けましょう。ウイルス感染など何らかの形でデバイスに第三者のアクセスがあった場合、簡単に不正取引などをされてしまうためです。

・パスワードの使い回しをしない
ネット証券をはじめ、さまざまなサイトやアプリの認証でIDとパスワードの入力が求められますが、管理の煩雑さからすべてのパスワードを同一にしている人もいるようです。しかし、どれか1つのサイトが攻撃を受けると、芋づる式にすべてのサイトから情報が漏洩する危険があります。面倒でも、パスワードは一つひとつ変えることでリスクを回避できます。

・生体認証や二要素認証を活用する
ネット証券で利用するデバイスの生体認証や二要素認証なども活用しましょう。IDとパスワードのみの管理に比べて、セキュリティリスクを大幅に軽減できます。

不安定な通信環境による機会損失のリスクがある

ネット証券では、通信環境が不安定な場合、商品を注文したいときにWebサイトがうまく動作せず、機会損失をしてしまう可能性があることもデメリットといえます
適切なタイミングで取引を行えるよう、自宅の通信環境は高速で安定したものにしておくことをおすすめします。不安定な通信環境によるリスクを避けるため、公共交通機関での移動中や、カフェなどのフリーWi-Fiを使用中の取引は控えましょう

ネット証券のメリット

ネット証券のメリット

ネット証券には、前述のようにさまざまなデメリットがあります。しかし、取引の手軽さや手数料の安さなど、多くのメリットも存在します。ネット証券の主なメリットは、下記のとおりです。

手数料が安い

ネット証券を利用する最大のメリットは、店舗の管理費や営業担当者の人件費が不要な分、手数料が低く設定されていることです。特定の金融商品の販売価格はどの証券会社から購入しても変わらないため、手数料の価格が利益を大きく左右します。
代表的な店舗型(対面)証券とネット証券の手数料をまとめました。
■店舗型(対面)証券とネット証券の手数料の比較

取引金額が10万円の場合

取引金額が100万円の場合

店舗型(対面)証券

約2,800円

約1万2,150円

ネット証券

約105円

約570円

ネット証券大手会社の手数料については、下記の記事をご覧ください。
ネット証券の口座維持には手数料はかかる?費用についての解説
※表中の手数料は複数社平均
 なお、手数料が0円のプランを提供しているネット証券会社もあります。

手軽に取引ができる

時間・場所を問わず、パソコンやスマートフォンから手軽に取引ができることも、ネット証券のメリットのひとつです。デバイスと通信環境さえあれば、仕事や家事の合間に情報収集や取引ができるため、忙しい人でも手軽に利用できます。
店舗に行って対面で取引を行うよりも、日々の隙間時間に取引を行いたい人にとっては、ネット証券で十分なことが多いでしょう。

自分のペースで取引ができる

ネット証券のメリットとして、自分のペースで取引ができることも挙げられます。店舗型(対面)証券の場合、営業担当者から興味のない商品の案内があったり、営業電話が頻繁に来たりすることがあります。自分で商品を選定し、好きなタイミングで取引を行いたい人にとっては、わずらわしいと感じることもあるでしょう。
営業担当者がつかないネット証券であれば、営業担当者からの営業や干渉にわずらわされずに取引を行うことができます

取扱商品の種類が多い

豊富な商品を取り揃えていることも、ネット証券のメリットです。多くの商品から自分に合ったものを選ぶことで、利益を出せる可能性が高まります。投資信託や債券などのラインナップが多いことも特徴です

豊富な投資情報が手に入る

ネット証券を利用すると、豊富な投資情報を得ることができることもメリットです。ネット証券のWebサイトやアプリで銘柄の検索ができる上、企業の決算情報、株価情報、分析チャートのほか、アナリストレポートなどの豊富な情報を簡単に入手することができます。ネット証券が主催するセミナーやYouTubeチャンネルを利用することで、投資のコツや戦略を学ぶことも可能です

ここまでご説明してきたネット証券と店舗型(対面)証券のメリットとデメリットをまとめると、下記のとおりです。
■ネット証券と店舗型(対面)証券のメリット・デメリット

メリット

デメリット

ネット証券

・手数料が安い
・手軽に取引できる

・自分のペースで投資できる
・取扱商品の種類が多い
・豊富な投資情報が手に入る

・営業担当者からアドバイスを受けられない
・取引はすべて自己責任
・セキュリティリスクがある
・通信環境による機会損失のリスクがある

店舗型(対面)証券

・個別に営業担当者がついてサポートが受けられる
・商品の紹介をしてもらえる

・手数料が高い
・不要な商品の営業電話がかかってくることがある
・時間や場所の制限がある

ネット証券が向いている人

ネット証券での取引が向いている人は、下記のような考え方や特徴がある人です。ネット証券か店舗型(対面)証券で迷っている人は参考にしてみてください。

手数料を抑えることが最優先である

できる限り手数料を抑えて利益を出すことを優先したい人には、ネット証券がおすすめです。ネット証券は、店舗型(対面)証券と比べて手数料を安く抑えられます。10万円以下の株取引であれば、手数料が100円以下のネット証券も少なくありません。

自分で投資情報を収集し、判断ができる

投資情報の収集や取捨選択、売買の判断まですべて自分で行うことができる人には、ネット証券が向いています。
株式の取引を成功させるためには、適切な情報収集が欠かせません。情報収集はネット証券のWebサイト、新聞、本のほか、証券会社が開催するセミナーでも行うことができます。集めた情報にもとづき、取引の判断をすることに抵抗を感じない人には、ネット証券の利用がおすすめです

セキュリティ対策への意識が高い

ネットリテラシーが高く、セキュリティ対策への意識が高い人にも、ネット証券はおすすめできます。普段からパスワードのこまめな変更やログイン時の二要素認証などを行っている人であれば、セキュリティリスクにさらされる可能性を下げることができるでしょう。

デバイスの操作やインターネットの利用に苦手意識がない

ネット証券の取引には、アプリやWebサイトの活用が必須なため、デバイスの操作やインターネットの使用に苦手意識がない人が向いています。
通信トラブルやデバイスの故障などへの対処も必要になる可能性があるため、普段からインターネットを利用していて、各種デバイスの操作に慣れていることが望ましいです。
ネット証券の選び方については、下記の記事をご覧ください。
ネット証券会社を徹底比較!証券会社の選び方を4つのポイントから解説

ネット証券のデメリットとリスクを把握して、上手に利用しよう

ネット証券は、店舗や営業担当者が存在する店舗型(対面)証券とは異なり、インターネットを通じて株式の売買や証券の取引を完結できる証券会社です。
手数料の安さや取引の手軽さといったメリットがある一方、自己責任で取引を行わなければならないことや、セキュリティリスクにさらされる可能性があることなど、デメリットとリスクもしっかり理解した上で口座を開設しましょう。

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