証券会社の口座開設審査に落ちるのはなぜ?審査基準や対処法を解説

証券会社の口座開設審査に落ちるのはなぜ?審査基準や対処法を解説

ネット証券は、手数料が安いことや手軽な取引ができることで人気を集めています。ネット証券の利用を始めたいと思ったら、最初にすべきことが口座の開設です。しかし、ネット証券の口座開設には審査があるため、審査内容や審査基準などがわからず、不安を抱く人も多いのではないでしょうか。

ここでは、ネット証券の口座開設の審査内容や基準のほか、審査に落ちてしまった場合の対処法などについて解説します。

mokuji目次

  1. 証券会社の口座開設には、なぜ審査がある?
    1. 犯罪行為に利用されるのを防ぐため
    2. リスクの高い取引で顧客が大きな損失を出すのを防ぐため
  2. 証券会社の口座開設の審査基準
    1. すべての証券会社に共通する審査基準
    2. 多くの証券会社に共通する審査基準
    3. 一部の証券会社の審査基準
  3. 証券口座の審査に落ちてしまったら?その後に審査を通す方法
  4. 証券会社を選ぶ際のポイント
    1. 信頼性・安全性の高さ
    2. 取引手数料の安さ
    3. 取扱商品の豊富さ
    4. 分析ツールや投資情報の豊富さ
  5. 信用取引口座、FX口座、法人口座開設時の審査基準
    1. 信用取引口座開設の審査基準
    2. FX口座開設の審査基準
    3. 法人口座開設の審査基準
  6. 証券口座開設の審査についてよくある質問
    1. Q. 証券口座開設の審査にかかる日数は?
    2. Q. 借金があると審査に落ちますか?
    3. Q. ブラックリストに載っていても証券口座の開設はできますか?
    4. Q. 収入がない場合でも証券口座は開設できますか?
    5. Q. 学生は証券口座の審査に通りますか?
  7. 証券口座の審査について理解し、口座を開設してみよう

証券会社の口座開設には、なぜ審査がある?

そもそも、証券口座の口座開設にあたり、なぜ審査が必要なのでしょうか。理由は大きく下記の2つです。
<証券会社の口座開設に審査がある理由>
・犯罪行為に利用されるのを防ぐため
・リスクの高い取引で顧客が大きな損失を出すのを防ぐため
つまり、証券会社の口座開設時の審査は、証券会社を利用する人の資産を守るために行われているのです。
それぞれの理由について詳しく見ていきましょう。

犯罪行為に利用されるのを防ぐため

証券会社は、審査時に本人確認を行うことによって、証券口座が犯罪行為に利用されることを防いでいます。

違法に得た資金を架空口座や他人名義の口座を転々とさせることで出どころを隠し、正当な取引で得た資金であるかのように見せかける「マネーロンダリング」と呼ばれる犯罪に、証券口座が使われることがあるからです。

証券会社は、口座開設時に厳格な本人確認を行うことで、犯罪行為を防止しています。

口座を開設する本人からの申込みが必要になっているのも、犯罪と思われる取引があった際に確実に本人を特定するためです。

リスクの高い取引で顧客が大きな損失を出すのを防ぐため

証券会社の口座開設時に審査を行うもうひとつの理由は、顧客の投資への知識・経験を確認し、顧客が大きな損失を出すのを防ぐためです。

株式は常に変動し、初心者には予測できない値動きをすることも珍しくありません。

投資経験が浅い人が高リスクの商品に投資すれば、生活にダメージを及ぼすほどの大損失を出すこともあります。

こうした事態を防ぐため、金融商品取引法の第40条では、証券会社に「顧客の知識、経験、財産、目的」に即した販売を義務付けています。

口座開設時に審査を行うことで、顧客が大きな損失を出してしまうリスクを低減しているのです。
「損益通算」の仕組みについては、下記の記事をご覧ください。
投資の“損失”は、確定申告で節税! 「損益通算」の仕組みを解説

証券会社の口座開設の審査基準

証券会社の口座開設の審査基準

ここからは、証券会社の口座開設時の一般的な審査基準について見ていきましょう。ただし、審査基準は証券会社ごとに異なるので、詳細は各証券会社のWebサイトで確認してみてください。

すべての証券会社に共通する審査基準

下記に挙げたのは、すべての証券会社に共通する審査基準です。
あてはまらない場合、どの証券会社の審査にも通ることができません。
・反社会的勢力の関係者でないこと
証券会社の審査によって反社会的勢力の関係者あることが判明した場合、口座を開設することはできません。また、口座開設後に反社会勢力との関わりが判明した場合には、即座に口座が凍結されます。

・証券口座を開設する本人からの申込みであること
本人からの申込みであることも、証券会社の審査基準のひとつです。本人以外からの申込みである場合、なりすましなどの犯罪の可能性が考えられるため、必ず本人確認書類を提出の上で審査が行われます。
いずれの審査基準も、マネーロンダリングや詐欺などの犯罪に証券口座が利用されるのを防ぐために設けられています。

多くの証券会社に共通する審査基準

多くの証券会社に共通する審査基準として、下記の2点が挙げられます。

「該当してしまうが、証券口座を開設したい」という場合は、これらの審査基準を基準としていない証券会社を探してみましょう。
・金融関係や証券会社の役員や従業員でないこと
証券口座を開設する本人が金融関係や証券会社の役員や従業員である場合、証券口座の審査に通らないケースが多くあります。理由は、業務を通じて取引に有益な情報を得られる可能性が高いためです。
ただし、証券会社によっては、勤務先の制限を設けていなかったり、勤務先が金融関係や証券会社であっても取引の内容を限定して口座の開設をしてくれたりします。

・居住地が日本国内であること
ほとんどの証券会社では、日本国内に居住していないと口座開設ができません。
すでに証券口座を持っており、海外赴任などで居住地が海外になる場合、原則として取引の継続はできなくなります。

一部の証券会社の審査基準

一部の証券会社では、世帯主の勤務先、本人の年齢や投資経験なども審査基準のひとつとしています。
よく設けられている審査基準は、下記の3点です。
・世帯主の勤務先が金融関係や証券会社でないこと
一部の証券会社では、証券口座を開設する本人だけでなく、世帯主の勤務先が証券会社などの金融機関である場合でも審査に通らないこともあります。

・年齢に応じた一定の基準を満たしていること
証券会社によっては、15歳未満や未成年の証券口座開設を受け付けていない場合もあります。
15歳未満や未成年であっても証券口座を開設したい場合は、口座開設に年齢制限を設けていない証券会社を選びましょう。
未成年が口座を開設する場合は、親権者との続柄を確認できる書類を提出すること、親権者のいずれか1名も証券口座を開設することなどの条件があります。

・金融商品のリスクを十分理解していること
金融商品のリスクへの理解があるかを審査基準としている証券会社もあります。
金融商品の取引にはリスクが伴うため、知識や経験が浅いまま取引をした結果、大きな損失を出してしまうケースも少なくありません。
そのため、一部の証券会社では、口座開設を希望する人に投資経験をヒアリングし、大きなリスクがないかを確認しています。
取引で想定されるリスクについては、口座開設申込み時に渡される重要説明事項を必ず確認しましょう。

証券口座の審査に落ちてしまったら?その後に審査を通す方法

審査結果の通知方法は、証券会社のマイページで確認したり、メールや郵送で届いたりと、証券会社によってさまざまです。
申込みの時点で、審査結果の確認方法もチェックしておくといいでしょう。

では、審査に落ちてしまったら、どのように対処すればよいでしょうか。

まずは、通知内容や証券会社のWebサイトをよく読み、審査に落ちた理由を突き止めます。
わからない場合、問い合わせれば理由を教えてくれる証券会社もあります。

証券口座の審査基準は、クレジットカードとは異なり信用情報にもとづくものではありません。そのため、審査に落ちても社会的な影響はなく、同じ証券会社にも別の証券会社にも、もう一度申込みをすることができます。

なお、審査に落ちた証券会社に再度開設の申込みをする際には、審査落ちの理由を改善してから申し込むことをおすすめします。

審査落ちの理由が書類の不備や手続きのミスであれば、改善すれば2回目の審査に通る可能性が高いからです。

別の証券会社に申込みをする場合は、あらためて審査基準をしっかり確認してから申し込みましょう。

1社目と審査基準が変わる場合は、1社目と同じ条件のまま申し込んでも、審査に通る可能性があります。

証券会社を選ぶ際のポイント

証券会社を選ぶ際のポイント

初めて証券会社の口座開設をするときは、どの証券会社を選ぶかが重要です。選び方のポイントを押さえ、自分に合った証券会社を選びましょう。証券会社を選ぶ際のポイントは、下記の4点です。

信頼性・安全性の高さ

初めて証券会社を選ぶ際は、知名度が高く豊富な実績がある証券会社を選ぶことがポイントです。

よく名が知れた証券会社を選べば、安全性はある程度担保できるといえます。

おすすめのネット証券 オリコン顧客満足度ランキング・比較」での評価も参考にしてみてください。

ほかには、気になる証券会社のWebサイトで、口座開設数や自己資本規制比率などを調べて比較検討するという方法もあります。

SBI証券とマネックス証券を徹底比較!手数料やNISAの違いを解説

取引手数料の安さ

証券会社を選ぶ際には、取引手数料の安さも大きなポイントです。

特定の金融商品はどの証券会社で購入しても価格が変わらないため、投資の利益を左右するのは手数料の安さです。

なるべく手数料が安い証券会社を選びましょう。

最近では、特定の条件を満たすと手数料が無料で取引を行えるネット証券もあります。
ネット証券の手数料については、下記の記事をご覧ください。
ネット証券大手会社の手数料を比較!おトクに利用するための選び方

取扱商品の豊富さ

取扱商品のラインナップの豊富さも、証券会社を選ぶ際のポイントのひとつです。

投資信託や外国株、IPOなどに興味がある場合、証券会社によって取り扱いの有無や銘柄数がかなり異なります。

取扱商品が豊富だと投資先の選択肢も増えるので、利益を上げるチャンスにも恵まれやすくなります。

分析ツールや投資情報の豊富さ

分析ツールや投資情報の豊富さも、証券会社を選ぶ上での重要なポイントです。

ほとんどの証券会社では、証券口座を開設すると株チャートなどの分析ツールが使えるようになります。

分析ツールを利用すると、1日、1週間、1ヵ月といった期間の株価の値動きやトレンドを、グラフなどで視覚的に確認できるのが特徴です。

自分の投資スタイルに合った分析ツールが備わっているかを確認しましょう。

例えば、デイトレードに重点を置く人は10秒足や5秒足が使えるチャート、海外株投資をする人は海外株式の日足以上のチャートなどが使えるかなどが証券会社選びの基準となります。

また、証券会社が提供している投資情報やセミナーを活用すると、投資のトレンドをつかんだり方針を決める手掛かりになったりするため、充実度を確認しておくことをおすすめします。

証券会社を選ぶ際は、オリコン顧客満足度ランキングのような比較サイトの評価を参考にするのもおすすめです。

手数料、分析ツール、顧客満足度など、さまざまな切り口で証券会社の比較検討をすることができます。ぜひご活用ください。
証券会社の選び方については、下記の記事をご覧ください。
ネット証券会社を徹底比較!証券会社の選び方を4つのポイントから解説

信用取引口座、FX口座、法人口座開設時の審査基準

証券会社で開設できる口座には、証券口座のほかに信用取引口座、FX口座、法人口座などがあります。これらの口座の審査基準について見ていきましょう。

信用取引口座開設の審査基準

信用取引とは、現金や株式を証券会社に預けて担保とし、取引に必要な現金や株式を借りて行う取引のことです。

信用取引を行う場合、現物株式の取引で使う口座を持っていても、別途審査をして信用取引口座を作らなくてはなりません。

理由は、信用取引は自己資金が少なくても借りた現金や株式を使って大きな取引ができる分、株価が大きく値下がりすると、自己資金以上の損失が発生し、負債が残る可能性があるからです。

信用取引の審査基準としては、一定の年齢基準を満たしていること十分な金融資産や証券知識があることのほか、信用取引や現物株式の投資経験があることなどが定められています。

FX口座開設の審査基準

FXとは「外国為替証拠金取引」と呼ばれる投資で、Foreign Exchangeの略称です。

ある国の通貨を別の国の通貨に交換することで利益を出します。

FXは、証拠金と呼ばれるお金をFX口座に預け入れ、これを担保として為替取引を行います。

少ない証拠金で大きな金額の取引ができるのが特徴ですが、元本保証がないため、証拠金として預けた金額以上の損失を出すことがあるハイリスクな取引です。

そのため、FX口座の開設にあたっては、年齢や年収に加え、「投資資金が生活資金や借金でないこと」も審査されるケースが多くあります。

法人口座開設の審査基準

証券会社では、法人名義でも証券口座の開設が可能です。

開設にあたっての審査項目は証券会社によりますが、取引の目的や事業内容が明確であること資本金が少なすぎないことなどが重視されます。

また、代表者の反社会的勢力とのつながりの有無自己破産の有無なども審査項目です。
NISAの口座開設については、下記をご覧ください。
NISA口座開設“よくあるQ&A”

証券口座開設の審査についてよくある質問

Q. 証券口座開設の審査にかかる日数は?

審査にかかる日数は証券会社によりますが、一般的には口座開設から取引開始まで、郵送での申込みなら1〜2週間程度Web申込みなら1〜3日程度かかります。

eKYC(オンライン上で本人確認を完結できる仕組み)を導入している証券会社なら、最短即日で口座開設できることもあります。

Q. 借金があると審査に落ちますか?

借金が過去にあった、あるいは現時点で借金があっても、証券口座開設の審査に影響はありません。

証券会社は口座開設した人にお金を貸すわけではないためです。

証券口座の開設で重視されるのは、取引のリスクに耐えうる十分な資金が手元にあるかどうかです。

Q. ブラックリストに載っていても証券口座の開設はできますか?

ブラックリストに載っていても証券口座の開設はできます。

証券会社が口座を開設した人にお金を貸すわけではないからです。

そもそも、証券会社が個人の信用情報を見ることはできません。

Q. 収入がない場合でも証券口座は開設できますか?

専業主婦/主夫や定年退職者など、収入がない人でも証券口座の開設は可能です。

ただし、無職の人で配偶者控除や扶養控除を受けている場合、確定申告をすると扶養から外れてしまうため、源泉徴収ありの特定口座で口座を開設しましょう。

Q. 学生は証券口座の審査に通りますか?

学生でも、成人であれば証券口座を開設できます。

未成年であっても、親権者の同意と協力があれば開設できる場合がほとんどです。

証券口座の審査について理解し、口座を開設してみよう

ネット証券は、手数料の安さや取引の手軽さが魅力の証券会社です。ネット証券の利用を始めるにあたり、まずは証券口座の開設を行いましょう。証券口座開設には審査がありますが、審査内容や審査基準などを正しく理解すれば不安を感じる必要はありません
たとえ審査に落ちてしまったとしても、原因がわかれば同じネット証券や別のネット証券に再度申込みが可能です。

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