現金0円で衣食住をまかなう! 桐谷さんに聞く「株主優待付き銘柄の賢い選び方」
株主優待生活で話題の“桐谷さん”こと桐谷広人氏が、投資初心者向けて株取引の“イロハ”を指南する連載『教えて桐谷さん「投資のイロハ」』。第2回目は、桐谷さんにとって文字通り“ライフワーク”である、『株主優待付き銘柄の選び方』を伝授! リーマン・ショックで億単位の損失を出した桐谷さんが、生き延びる術として選んだ“株主優待生活”の全容に迫ります。家賃、衣服、食事に自転車まで!? 桐谷さんを形成する“優待要素”を徹底解剖し、目指せ優待生活!!
洋服、外食、スポーツジムまで!! 桐谷さんの優待生活を大解剖
桐谷さんの人生に大きな衝撃を与えたリーマン・ショック。「あの時は、株主優待付き銘柄を残して、ほかの株をすべて売り払ってやりくりをしていました。財産がすっからかんになりましたから、とにかく現金が全くない。配当を家賃などにあて、手元に残しておいた優待株の商品や特典を、ムダなくフル活用して生活するしか方法がなかったんです」と笑う、桐谷さんの私生活とは?
まずは、桐谷さんの1日をチェック。24時間のうち、どれぐらい時間を株取引に費やしているのでしょうか?
「朝の9時から15時まではほとんど、パソコンに向かって株取引をしています。食事は、お昼や夕ごはんは優待券を利用して外食。コンビニやスーパーでの買い物も、優待品のQUOカードやお米券を使います。大好きな映画(年140本以上鑑賞!!)も、すべて優待。夕方になれば、お風呂もかねてスポーツジムへ行きますが、これも優待。移動の時に使うおなじみの自転車も優待のギフトカードで買いました(笑)」。
おしゃれも株主優待でまかなう桐谷さん。気になる“優待ファッション”をチェックしていきましょう。
洋服は、紳士服を扱う『タカキュー』やスポーツ用品店『アルペン』で買うことが多いそう。(写真内)右下のウエア―は、バラエティ番組のラスベガスロケ用にと、アルペンで優待券を使って購入した一枚。カジュアル着がそろう『ライトオン』なども利用するとか。『サンリオ』の優待品のキティちゃんのスポーツタオルも、もちろんご愛用です。
いつも持ち歩いている紫色のボストンバックは『ジーンズメイト』の優待券で購入。毎日、自転車で移動するので、リュックや肩かけタイプが便利でお気に入り。バックの中身ももちろん優待品ばかりで、冷やした缶コーヒーやジュース、スポーツジムセット、優待券がぎっしり入った長財布タイプの“優待券ケース”などが入っています。
最近履いているウォーキングシューズは、優待券を使い『ヒマラヤスポーツ』で購入したもの。とても歩きやすく、サイドがファスナーになっていて、脱ぎ履きしやすいのがポイントだそうです。
■専門店でこだわり+割安に
『靴下屋』などを運営する株式会社タビオの優待券を利用して、こだわりの一足を買うことも多いとか。女性用靴下やタイツなどの印象が強いが「メンズソックスも種類が豊富」とのこと。
使い方次第で、節約を実現し、使い道の幅がグンと広がるのが優待券。現金を使わず食べ歩くコツとは?
■優待券はどのお店で使えるか? 系列店はくまなくチェックするべし
一人暮らしの桐谷さんは、外食が主流。「私のお気に入りは、西新宿野村ビル49階にある『響』。和食の居酒屋ですが、私は夜ではなくランチタイムに利用しています。サラダや総菜などがバイキング形式なので好きなだけ食べられますし、なんと言っても、新宿を一望できる景色が抜群なんですよ。実はここ、外食店を数多く手掛ける『ダイナック』という企業が運営していて、優待券は他のお店でも使えます」。
また『吉野家ホールディングス』の優待券は、牛丼チェーン『吉野家』でしか使えないと思ったら大間違いとのこと! 「系列の『京樽』(持ち帰り寿司店)や『海鮮三崎港』(回転寿司店)でも同じ優待券が利用できるんですよ。さらに今年2月権利確定分の優待券からは『はなまるうどん』(うどん店)でも使えるようになります」とアドバイス。優待券を楽しむテクニックの1つとして、系列店のチェックは必須といえそう。
日常生活で愛用している、あんなものや、こんなものも紹介します!
以前、スポーツジム『ルネサンス』には金券の優待があり、スイムウエアと帽子を購入。複数のスポーツジムの株を保有し、優待をうまくやりくりしながら、自宅付近のスポーツジムだけでなく、大好きな映画を見た帰りにも各地のジムにも立ち寄って泳ぐそう。
『ノエビア』の優待品である育毛剤と整髪料は、スポーツジムに必ず持っていく際の必需品なのだとか。
また、はみがき粉『シュミテクト』などは、桐谷さんいわく「最安値で売っている『ドン・キホーテ』」にて、お米券を使って購入。どんな金券でも購入可能なのだが、ギフト券は百貨店や家電量販店など幅広く使えるため、ここではお米券を利用するのが桐谷流。
食品メーカー『キユーピー』は、昨年11月に権利確定を迎え、3月に優待品が届いたばかり。100株(投資金額約15万円)でマヨネーズやジャム、ソースなどバラエティあふれるラインアップが魅力。コーヒーや紅茶、クッキーなども優待品だ。
優待品としてカタログギフトが送られてきて、好きなものを選択できるケースも増えている。桐谷さんも「食品やファッション、日用品などジャンルも様々で、ほしいものが手に入って便利」と太鼓判を押す。不定期で届くチラシタイプはファイルに入れて管理している。
QUOカードや図書カードを優待品としている企業も多い。他では手に入らないデザインのものもたくさんあり、毎回注目しているとか。実は「オリコン」の株主でもある桐谷さんによると、タレントオリジナル図書カードは人気が高いそう。
桐谷さんが選ぶ「持っていてよかった!」優待ベスト3
第1位 コロワイド(東証1部/7616)
「居酒屋『甘太郎』に代表されるチェーングループです。500株以上保有すると半年で2万ポイントのカードがプレゼントされ、「1ポイント=1円単位で使えるため利便性も良い!」のが1位の理由ですね。『北海道』や『ラ・パウザ』などでも使えるほか、全国の特産品がいくつか用意されていて、それぞれ2000〜1万ポイントで交換することもできますよ」
第2位 ビックカメラ(東証1部/3048)
「100株以上500株未満で、2月に2000円、8月に1000円の買物優待券がもらえます。さらに2年以上の長期保有者なら、8月にさらに2000円が加算され、配当+優待の利回りは8%以上。家電だけでなく、薬やお酒など何でも買えるところもgood!」
第3位 TOKAIホールディングス(東証1部/3167)
「婚礼10%割引券とお食事20%割引券にプラスして、4種類の商品から1つを選べるという【優待券+商品】のダブルプレゼントを展開。配当も高く、優待と合わせるとなんと15%近い利回りになります。わたしはペットボトルの水12本セットをもらっています」
そこが知りたい! 失敗しない「株主優待付き銘柄の選び方」
桐谷さん自身は『会社四季報』といった株式情報を読むのが苦手で、その会社の事業や成長性についてもあまり調べないとのこと! ただし「30年来培ってきた、自分なりの銘柄選びのルールあり、それは“割安である”こと」と断言。たくさんの失敗もしたうえでたどりついた「安い銘柄を選んで」かつ「優待も配当もGET」という桐谷式の銘柄選びを直伝します!
1)割安株か割高株かを見極める
「まず、その銘柄の株価が高いか、安いかを調べましょう。安い株かどうかの見極め指標は、PER(株価収益率)15倍以下、PBR(株価純資産倍率)1倍以下という2つに絞っています。ネット証券の分析ツールなどを使って検索すれば誰でも調べられますよ」
2)配当が出ているかどうかチェック
「私は過去に『株価が安いから』といった理由で買った優待銘柄が、結局倒産してしまうという憂き目に何度なくあっています。そこで分かったことは“配当ゼロ=無配当の会社は潰れる可能性が高くなる”ということ。無配会社には手を出さないのが無難です」
3)できる範囲で情報収集をしてみる
「『会社四季報』が読めなくとも、候補になりそうな銘柄のピックアップは可能です。たとえば、ネット証券が提供しているスクリーニング機能を使い、いくつか条件を入力して、絞り込み検索するというのも方法の一つ。同じくネット証券のメルマガや日経新聞などで、株式概況などを定期的に読むのも、市場の流れが分かり、下手な銘柄に手を出さずにすみます」
4)優待をもらえるからと闇雲に選ばない
「いくら株主優待がもらえると言っても、近所に優待券を使える店がなかったり、そもそも自分で利用しないサービスだったりしたら、宝の持ち腐れ。金券であれば、金券ショップに売るという手もありますが、せっかくもらえるなら、自分で使えるものを選びましょう」
・PERとPBRの2つの指標で、割安株か割高株かを見極めよう
・無配の銘柄を選ばない
・ネット証券の提供サービスなどを利用して、できる範囲で情報収集をしよう
・もらえる優待内容をしっかり吟味しよう
・使えない優待の銘柄は最初から選ばない
桐谷氏の“イチオシ”株主優待付き銘柄を毎回ご紹介します! 今月末に権利確定を迎える中から桐谷氏が選んだのはこの銘柄!
【キャンドゥ】
桐谷氏コメント:1単元で100円券20枚=2000円分の金券が5月と11月に送られてきます。こちらの金券は税込み価格で、消費税が8%に上がりましたので、正確には“108円券”ということになりますね。税金分を現金で払わなくて良く、増税に強いサービスといえ大満足です! 私は「西武新宿ぺぺ店」で、ちょっとお得な“お楽しみ袋”をよく買っていますよ。
必要最低投資金額:約16万円/上場市場:東証1部/コード:2698/売買単位:100株/株価:1592円(5月7日時点)/配当利回り:0.94%(2014年5月7日時点)
※株価は該当日終値
桐谷広人(きりたにひろと)
1949年生まれ。広島県出身。元プロ棋士七段で、2007年に引退。その後は、所有する優待銘柄をやりくりして生活費をまかなうという“異色のライフスタイル”と、明るい人柄がテレビなどで取り上げられ話題に。著書に『桐谷さんの株主優待生活』(KADOKAWA角川書店)、『桐谷さんが教える はじめての株主優待』(総合法令出版)などがある。4月下旬よりガチャガチャアイテム『桐谷さんの株主優待生活 クリーナーストラップ』(タカラトミーアーツ)が販売されている。