投資信託とは? 基本のしくみから、金融機関選びのポイントまで解説

100円単位での超少額から始められ、「つみたてNISA」制度を使えば20年間非課税で利益を受け取れるなど、投資初心者からも注目を集める「投資信託」。ここでは、投資信託が気になっているけれど、「どんな仕組みなのかがよく分からない」「投資は難しそう」という人に向けて、投資信託の仕組みや、初心者におすすめの理由と選び方のポイントについて紹介する。リスクを含めてしっかりと理解し、投資信託を始める際の参考にしてもらいたい。
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投資信託とは? プロが運用してくれる「金融商品の詰め合わせ」

  • 画像/投資信託の基本

投資信託(投信、ファンド)とは、「複数の投資家から集められた資金をまとまった資金として、専門家がさまざまな株や債券などの金融商品に投資・運用していくこと。そして、この分散投資によって得た収益を投資家に分配還元する金融商品」となっている。
投資信託の仕組み

投資信託の仕組み


「金融商品の詰め合わせ」のようなもので、「A社の株だけ」という単品ではなく、「A社の株、B社の株、C社の株…」といったように、株式や債券を中心とした、いろいろな金融商品を詰め合わせて個人向けに小口で売られているイメージだ。

さまざまな株を個別に買おうとすると大きな資金が必要だが、株を詰め合わせた投資信託を1本1万円で買えたとしたら、1万円の投資したその投資信託の中には、A社の株が数十円分、B社の株が数十円分…などと、少しずつ複数の銘柄を買うことができる。

投資信託が初心者におすすめの理由、「少額投資、分散投資、プロによる運用」

  • 投資信託のメリット

    投資信託のメリット

投資家一人一人の投資額が少額でも、1,000人、1万人…と大勢の投資額が集まることで大きな資金となり、株価の高い銘柄も組み入れることができる。加えて、たとえ1つの株が大暴落という事態になってもリスクを軽減させる分散投資もしやすくなるほか、初心者でも、プロにより効率良く運用してもらえるのが投資信託の魅力だ。

ただし、個別で株を購入するときと同じように、投資信託にも元本保証はない。購入時の金額を下回ってしまうリスクが存在するのは理解しておこう。
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「確定拠出年金」「つみたてNISA」の対象にも、投資信託は身近な存在!

もともと投資信託は、証券会社だけが販売していた。それが1998年12月に銀行窓販が解禁されて以降、現在では銀行(ゆうちょ銀行やネット銀行などを含む)や信託銀行、信用金庫、信用組合、JA、保険会社など、幅広い金融機関等で販売されている(投資信託は銀行で販売されていても元本保証ではない点はご注意を)。

また、金融商品仲介業者として証券会社等に登録している税理士やFP(ファイナンシャルプランナー)も、投信販売を行えるようになり、投資信託の販売に関わる人は、ここ20年近くで飛躍的に増加したといっていいだろう。

そして、投資信託がより身近になったきっかけの一つが、2001年に導入された確定拠出年金(DC)制度。企業型(企業型DC)、個人型(iDeCo)ともに運用商品のラインアップに投資信託が用意されているケースが一般的だ。

さらに、2018年から始まった「つみたてNISA」は、年間40万円の投資分で得た利益が20年間非課税となる制度だが、その投資対象はほとんどが投資信託だ(※)。税金がかからず、有利に運用できるということでさらに間口を広げた。このように、いまや多くの人にとって、金融商品といえば、個別の債券や個別の株式よりも、投資信託の方が身近な存在になってきているといえる。
(※)つみたてNISAの投資対象は、全214本のうち207本が公募の投資信託、残り7本がETFとなっている。また、購入方法は積立購入(投信積立)に限る(2022年7月29日時点)。

利益はどうやって出す? 売買と「分配金」の基本の仕組み

投資信託で得られる利益の基本
・投資信託は、価格変動型の商品…1万口(もしくは1口)当たりの値段は“基準価格”で表す
・利益を得るためには
1. 「安いときに買って、高いときに売る」
2. 「分配金を受け取る」、もしくは「分配金を再投資して投資額を底上げする」

投資信託は運用状況(集めた資金での投資で利益が上がっているかどうか)で価格が上下する“価格変動型”の商品。なので、投資家が利益を出す基本は、株式と同じく「安いときに買って、高いときに売る」こと。自分が購入した時点より運用実績が上がっていれば、売るときの価格は高くなり、逆に運用成果が悪ければ、価格は安くなるという仕組みだ。

投資信託を運用する上で、まず知っておきたいのが“基準価格”という用語。これは、「投資信託は今、いくらなのか?」という投資信託の値段を意味している。基準価格は、投資信託の取引単位である1万口(もしくは1口)当たりの値段で算出され、運用の成果によって変動する。

多くの場合、投資信託では運用開始から1年ごとに「決算」が行われ、利益が出ていれば、その中から投資家に”分配金”が支払われる。つまり、運用の調子がよければ、「投資信託を持っているだけで、定期的にお金が入ってくる」という、うれしい状況になることも。

また、その分配金を同じ投資信託にそのまま再投資する再投資型の投資信託もあり、投資額を底上げして、さらに多くの分配金を得る…という好循環を狙うことも可能だ。
●ご利用の際のご注意事項(必ずお読みください)(外部リンク)

これだけは知っておきたい、投資信託の基本用語

ひとくちに投資信託といっても、運用方法はさまざま。投資対象に加えて、購入タイミングや換金可能なタイミングも商品ごとに異なるため、購入を判断する際には要チェックだ。

ファンドごとに発行される目論見書の中には、こうした運用方法に関する重要な項目がまとめられているが、初心者にとってはなじみのない用語が並んでいる。そこで、ここでは基本的な運用方法を理解するために、(1)購入方法(2)投資対象 (3)運用方針の点から投資信託でよく使われる用語を簡単に紹介しよう。

(1)購入方法

購入方法で注目したいのが「購入のタイミング」「換金可能なタイミング」。それぞれ2つのパターンがある。
購入のタイミング
単位型(ユニット型) 「当初募集期間」といわれる投資信託の立ち上がり期間のみ購入できる
追加型(オープン型) 投資信託の運用中なら基本的にいつでも購入できる。最近では「追加型」が大半

換金可能なタイミング
オープンエンド型 運用期間中にも換金(解約)できる
クローズエンド型 運用期間中は換金(解約)できない
例えば、短期的な売買で利益を上げたい人は「オープンエンド型」を選ぼう。一方で、投信積立(投資信託を定期的に積立購入)など資産状況に応じて追加投資を考えている人は、「追加型」の商品を検討しよう。

(2)投資対象

“どんな投資対象(商品の種類、投資地域)を、どのように詰め合わせるか”、具体的な運用内容も商品によって異なる。
投資先商品の種類による分類
株式型 主に株式が詰め合わされたファンド
債券型 主に国債や社債などの債券が詰め合わされたファンド
不動産型 不動産を中心に運用されるファンド。投資家の資金をまとめて購入した不動産を運用、その利益(例えば賃料など)を分配。不動産投資信託(REIT、リート)といわれる。
バランス型 株式・債券など複数種類の資産に投資する。種類が異なれば、値動きの状況も異なる可能性が大きいので一般的にリスクが分散できるとされる。資産複合型ともいわれる。
投資地域による分類
国内 投資先が日本国内(国内株式など)
海外(先進国) アメリカや欧州諸国を指す。
海外(新興国) エマージングともいわれる。
リスクとリターンの大小を検討する際に重要な“値動きの幅”も、投資対象の違いによって変わってくる。

例えば、値動きの幅が大きい、つまり値動きの変動が大きい順に並べると、一般的には【国内株式や外国株式>外国債>国債】となることが多い。つまり、株式で運用している投資信託は、それだけ値動きは大きくなるし、国内債券で運用している投資信託は、それほどの値動きはしない、ということが期待される。投資信託を運用する前には、各金融商品の性質も把握することが大切だ。

なお、ファンドの一覧は口座開設していなくても閲覧可能なので、各社のホームページでどんなものが扱われているかをチェックしてみよう。

(3)運用方針

「安定した動きを求めるか」「リスクは高くなっても、より大きなリターンを追求したいか」といった運用方針によっても2つタイプに分類できる。
インデックス型 
特定の株価指数(=インデックス)の動きに、連動することを目標として運用されるファンドを「インデックス型」という。積極的に運用するアクティブ型と比較してパッシブ型ともいわれる。

株価指数とは、株価の動きを見るための指標。日経平均株価やTOPIX、S&P500などいくつかの指標があるが、例えば日経平均株価(日経225)は、日本経済新聞社が東証プライム市場に上場する代表的な225銘柄を選定して指数を算出している。インデックス型では、こうした株価指数の中から目標とする指標(ベンチマーク)が決められている。このベンチマークと同じような動きをするように、専門家は運用していくのだ。

では、インデックス型はどのように運用されているのか? 基本的にはファンドを構成する銘柄を、ベンチマークに採用されている銘柄とほぼ同じようにしている。組み入れ比率も指数への影響度に応じた割合にして、運用を行っている。

運用する専門家は、銘柄を選択するために大量の情報を収集する必要もなく、銘柄入れ替えの頻度も少なくなる。そのため、運用コストが安くなる。

アクティブ型
一方、アクティブ型とは、株価指数に連動するのではなく、それを上回る収益を目指す運用手法のこと。収益が大きくなる期待の一方で、元本割れのリスクも高くなる。

ファンドマネージャーが、市場や銘柄などのさまざまな情報の収集・分析に基づいて投資対象を決定するため、運用コストが高くなる傾向がある。
インデックス型の特徴
・株価指数に連動する動きが期待される=予想が比較的つきやすいので運用コストが安い

アクティブ型の特徴
・指数を上回る収益を目指す運用
・リスクも高くなるが大きなリターンも見込める
・運用コストは高くなる傾向

ネット証券が最適? 金融機関選びの4つのポイント

実際に投資信託を運用したいとなったら、どのように金融機関を選ぶのがいいのだろうか? 運用する金融機関を選ぶには、(1)手数料(2)取り扱い商品の種類の豊富さ(3)ポイントなどの特典・キャンペーン(4)検索機能・スクリーニング検索の4つのポイントを押さえよう。

(1)投資信託の運用にかかわる「手数料」で比較

投資信託はメリットも大きいが、その裏ではそれなりのコスト、つまり手数料がかかることも知っておきたい。そしてこのコストはどの金融機関、どのファンドを選ぶかによっても変わってくるので重要な比較ポイントだ。

投資信託にかかるコストとして知っておきたいのは、証券会社などの販売窓口に支払う「販売手数料」と、自分の代わりに運用・管理をしてもらうために日々支払う「信託報酬」、そしてファンドによっては換金するときに支払う「信託財産留保額」の3つ。
投資信託にかかる3つの手数料
販売手数料
【支払うタイミング】購入時
販売手数料は、購入時に支払う手数料。無料に設定している所も多く、そうしたファンドは“ノーロード(またはノーロード・ファンド)”ともいわれる。同じファンドを購入する場合でも、販売する金融機関によって異なるので比較が大事だ。

運用管理費用(信託報酬)
【支払うタイミング】保有期間は毎日
運用管理してもらうための手数料で、投資信託を持っている間、日割り計算されて毎日支払う。株式を個別に購入する場合にはないものなので、大きく異なる点だ。手数料は、年間0.1%〜およそ3%と投資信託の商品によって異なる。毎日少額ずつ運用資金から差し引かれていくので、運用実績が上がらないと投資金が目減りしていく…ということも考えられる。よって、こうした目に表向き見えない費用についてもしっかりと把握しておく必要がある。

信託財産留保額
【支払うタイミング】運用期間の途中で換金(解約)時
あらかじめ信託期間が定められている場合、その運用期間の途中で換金(解約)する場合に徴収される手数料で、中にはそれがかからない場合もある。信託期間は無期限の場合もあり、各ファンドの目論見書で確認することができる。
※そのほかのコストとして、決算ごとにかかる「監査費用」、運用者が株式や債券を売買する際にかかる「売買委託手数料」も少額ながら負担することもある。
販売手数料や、信託財産留保額は発生しないファンドもあるが、必ず発生するのが、運用管理費用と呼ばれる信託報酬だ。そのため、同じような運用が行われている商品が複数ある場合は、なるべく信託報酬が安いものを選ぶべきだろう。

販売手数料が無料、つまり「ノーロード」の投資信託は、現在ネット証券を中心に販売されているなど、投資信託の手数料は多くの場合、店舗型の証券会社や銀行よりもネット証券の方が安く抑えられている。コストを抑えて利益を最大にしたいなら、ネット証券を選ぶのがおすすめだ。

(2)取り扱い商品の種類の豊富さ

上場株式とは違い、投資信託は販売会社(金融機関)によって、商品の品ぞろえは大きく異なっている。

投資信託には、「投資対象」や「投資地域」、「運用方針」によって商品の特徴が分類できるが、こうした取り扱い商品の種類が多ければ多いほど、柔軟な投資計画が立てやすくリスク分散につながるので、金融機関選びの際には注目すべき点の1つだ。

例えば、「国内の主要株のみで安定した利益を目指す“国内株式インデックス型”」「さまざまな国の株式や債券がミックスされた“グローバルバランスファンド”」のほか、債券だけ、不動産だけで組み合わせた商品など、投資商品の種類や投資先の地域もバラエティーが豊かなので、ホームページから商品をチェックするだけでも楽しい。

中でもネット証券は投資信託の取り扱い本数が多く、大手では2,600銘柄以上を取りそろえているところもあるので、商品ラインアップの点からも大手のネット証券はおすすめだ。

(3)ポイントなどの特典・キャンペーン

手数料以外でおトク度に差が出るのが、販売会社が各自で実施している入会キャッシュバックキャンペーンやポイントプログラム。特にポイントは、投資信託の保有額に応じて毎月または毎年獲得でき、ほかのポイントや電子マネー、マイル・現金に交換できるため、ぜひとも貯めておきたいもの。ただしポイントの有効期限は、事前に確認しておこう。

(4)検索機能・スクリーニング条件

使い勝手を左右するのが、投資信託について調べる際の検索機能だ。キーワード検索はもちろんのこと、ファンドタイプや信託報酬、運用会社など、検索対象を絞る(スクリーニングする)条件の豊富さは決め手の1つ。いくつか候補の金融機関が挙がったら、実際にそれぞれのホームページで使い勝手をチェックしてみるのがいい。


投資信託は、運用のプロであるファンドマネージャーに投資先を選んでもらい、自分の資金を運用してもらう金融商品。少額からの分散投資が可能なので、投資の初心者に特におすすめだ。中でも、ネット証券を利用することで、信託報酬や販売手数料といった投資信託ならではのコストを抑えることもできるので、まずは投資の目的やリスクの許容度などを踏まえて投資計画を立て、自分に合った投資スタイルで運用できるようにしたいところだ。

この記事の監修者:市川雄一郎

生活者目線の自由なトークが持ち味。物腰やわらかで明快な講義は、全国に多数のファンがいる。
グローバルファイナンシャルスクール校長。CFP(R)。1級ファイナンシャル・プランニング技能士(資産設計提案業務)。日本FP協会会員。日本FP学会会員。1969年生まれ。グロービス経営大学院修了(MBA/経営学修士)。日本のFPの先駆者として資産運用の啓蒙に従事。ソフトバンクグループが創設した私立サイバー大学で教鞭を執るほか、金融機関の職員や顧客に対する講義や講演も行う。「日本経済新聞」「日経ヴェリタス」「朝日新聞」「東洋経済」「週刊ダイヤモンド」などへの原稿執筆・コメント提供のほか、ラジオ日経などのメディア出演も多数。主な著書に『投資で利益を出している人たちが大事にしている45の教え』(日本経済新聞出版)がある。
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